箱根駅伝だけじゃない! 都内私大受験で「駒沢大学」の志願者が大躍進したワケ

大学受験で有名私立大学が避けられつつあるなか、上智・学習院・立教・駒澤大学が志願者数を伸ばしています。今回注目するのは駒沢大学です。教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。


都内私立大学で志願者が増えたのは一握り

 受験生の「安全志向」が加速して有名私立大学が避けられている――。こうした文言が近年の大学受験の関連ニュースをにぎわせています。またこの1年で、新型コロナウイルスの感染拡大による影響も加わり、都内の私立大学を取り巻く状況は混迷を極めています。

 2月13日(土)に発生した福島県沖地震による影響で、慶応大学(港区三田)や日本大学(千代田区九段南)は3月に追試験を行うものの、大半の私立大学は入試ピークが過ぎ、終わりを迎えつつあります。

世田谷区駒沢にある駒澤大学(画像:写真AC)



 2021年の私立大学入試は、入試制度の変更などによる志願者数の減少も見られました。都内の有名私立大学のうち、2020年より志願者が増えたのは

・上智大学(千代田区紀尾井町)
・学習院大学(豊島区目白)
・立教大学(豊島区西池袋)
・駒澤大学(世田谷区駒沢)

の計4校にとどまっています(2月26日時点)。その理由もさまざまです。

試験回数が増えた上智・学習院

 上智大学が志願者数減少の連鎖に終止符を打てたのは、大学入学共通テストへの参加です。上智大学は31年間行われてきたセンター試験にこれまで参加せず、2020年の一般入学試験は「TEAP利用型」と「学科別」の2方式のみでした。なおTEAPとは、Test of English for Academic Purposes(アカデミック英語能力判定試験)の略です。

 しかし2021年からは大学入学共通テストに参加し、受験方式も「TEAPスコア利用型」「学部学科試験・共通テスト併用型」「共通テスト利用型」の3つへと変更。その結果、総志願者数は2万6270人と、2020年より114人増えました。

豊島区目白にある学習院大学(画像:写真AC)

 こうした傾向は、上智大学と同様に大学入学共通テストを導入を決めた学習院大学でも見られました。2020年までの一般選抜「コア試験」「プラス試験」に「大学入学共通テスト利用入学者選抜」が加わったことで、志願者数は2020年よりも176人多い、1万7108人となりました。

 とはいえ、受験機会が増えたにも関わらず知名度の高い両大学ですら大幅な増加には至りませんでした。それだけ安全志向やコロナ禍の影響が大きかったと考えられます。

全学部日程を導入した立教大学

 2021年は早稲田大学(新宿区戸塚)の看板学部である政治経済学部の入試改革(大学入学共通テストの必須化、募集人員削減)が行われて注目を集めましたが、ほかにも同等の入試変更を行った大学があります。それは青山学院大学(渋谷区渋谷)と立教大学です。

 青山学院大学は「大学入学共通テスト利用試験」「全学部日程」「個別学部日程」の3方式で一般選抜を実施。そのなかでも最も募集人員が多い「個別学部日程」は大半の学部で大学入学共通テストを必須化。大学独自の問題は、記述式を含む問題や小論文としました。そのため、合格するには共通テスト対策もしっかり行う必要が出てきました。

 入試改革の裏には、学力の高い学生に入学してもらいたい大学側の思惑があります。しかし「個別学部日程」の変更もあり、青山学院大学の志願者数は2020年と比べて大幅に減少。しかしマークシート方式の「全学部日程」の志願者は増えていることから、受験生の安全志向が働いたと見られます。

豊島区西池袋にある立教大学(画像:写真AC)



 一方、立教大学は2020年まで一般選抜における同学科の受験機会は最大2回でしたが、2021年は全学部日程に統一したことで、最大5回(文学部では6回、理学部では2回)に増加。入試内容は大きく変わらず、受験機会が増えたことや併願校として選ばれる青山学院大学の変更もあり、志願者は2020年より4000人以上も増えました。

駒澤大学は人気学科の影響で志願者増

 上智大学や学習院大学、立教大学の共通点は、受験機会が増えたことです。ある意味妥当といえば妥当ですが、大きな変更がないにもかかわらず志願者数が増えた大学があります。それが駒澤大学です。

千代田区紀尾井町にある上智大学(画像:写真AC)



 同大の「一般選抜 T方式(3月)」「大学入学共通テスト利用選抜 後期日程」の志願者はまだ確定していませんが、2月26日(金)時点ですでに2020年の志願者数を超えています。

 特に増えたのは経済学部の現代応用経済学科と、グローバル・メディア・スタディーズ学部のグローバル・メディア・スタディーズ学科です。両学科とも志願者が440人以上増えています。

 新型コロナウイルスの感染拡大による経済不安を背景に、今後、就職氷河期が再来すると危惧されています。不景気になると人気を集めるのが就職に強い学部学科(理系を除き、法学部・経済学部・外国語学部など)です。駒澤大学の2学科が今回人気を集めたのも「就職活動で有利」という受験生の心理が働いたと考えられます。

 現代応用経済学科では、1年次と2年次に経済学と経営学の基礎を学びます。学科の所属は経済学部ですが、経営学の知識も学べるため、就職活動で即戦力としてアピールできます。

 グローバル・メディア・スタディーズ学科が学ぶのは、英語とITリテラシーです。この1年間、経済ニュースでその好調さが取り上げられるのは世界的なIT企業ばかり。IT系の専門知識を学びながら英語力の向上を目指すグローバル・メディア・スタディーズ学科が人気を集めるのは、至極当然といってよいでしょう。

 2021年の受験生は大学入学共通テストの記述式問題や英語民間試験導入の見送り、新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休校など、数々の波乱に見舞われました。

 今後、コロナ収束など明るい兆しが見えれば、東京の私立大学にまた受験生が戻ってくる可能性は十分ありそうです。


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