一体何があった? 明星チャルメラのおじさんが「10頭身イケメンキャラ」に大変身した理由

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一体何があった? 明星チャルメラのおじさんが「10頭身イケメンキャラ」に大変身した理由

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おなじみ即席袋麺「明星チャルメラ」のキャラクターであるチャルメラおじさんが、このたび10頭身のイケメンキャラになって登場しました。え、一体どうして……。

長く深く愛されてきた、おじさんが

 インスタントラーメン――。

 世界で年間1064億食超(2019年、世界ラーメン協会調べ)が食べられている、日本発祥の定番食です。食べたことがない、という人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

 その中のひとつ、JR原宿駅(渋谷区神宮前)近くに本社を構える明星食品(同区千駄ケ谷)の「明星 チャルメラ しょうゆラーメン」は、1966(昭和41)年9月7日(水、大安)に発売されました。

1966(昭和41)年発売当時のパッケージ復刻版。おなじみのおじさんが描かれている(画像:明星食品)



 ホタテのうまみと秘伝スパイスが特長という本品。パッケージはおなじみ、ラーメンの屋台を引く「おじさん」が、明かりのともる夜の町角にチャルメラ(楽器)を高く吹き鳴らすイラストです。発売から半世紀以上、商品とともに変わらず愛されてきたキャラクターでした。

 ところがその「おじさん」、つい先日公開された広告ビジュアルで、なぜか目力強めでふわっとパーマの今風イケメンキャラとして登場したのです。

 なぜおじさんをイケメン化したのか。ありのままのおじさんでも十分皆に愛されていたのに。

 読めば広告の趣旨は「新旧チャルメラおじさんのラップバトル」で、イケメンの隣にはおなじみのおじさんの姿も。

 なぜラップ? なぜ片方のおじさんは今風イケメン? 企画の趣旨を、同社に尋ねてみることにしました。

当初の商品を復刻版として限定発売

 明星食品の担当者によると、今回の企画は同社の創立70周年に合わせて実施するもの。

 記念商品として1966(昭和41)年発売当時の「初代チャルメラ」の味を再現した「明星 チャルメラ しょうゆラーメン 復刻版」(5食パック、555円)を、創立日と同じ2020年9月7日(月)から数量限定で発売。それに当たって、ブランドキャラクターの初代おじさんと現代のおじさんがラップバトルを繰り広げるウェブ動画「チャルメラップ」を公開したと言います。

新旧おじさんによる、ウェブ動画「チャルメラップ」。審査員席では、長尾ねぎ、煮豚まつり、2eggの3人が勝負の行方を見守る(画像:明星食品)



 あらためて、なぜラップなのか。

「まず今回、初代チャルメラの復刻版を発売するので、現在のチャルメラと復刻版のチャルメラを食べ比べてもらいたい、という思いがありました。そこでチャルメラ発売当初からいるチャルメラおじさんを使って、『初代おじさんと現在のおじさんの対決構図をつくる』というイメージを描きました」(同社担当者)

「そして、おじさんというキャラに加えてもうひとつ、チャルメラには『チャルメラの音』という大きな資産があります」

 チャララ~ララ、チャラララララ~、という、あれですね。

「そう、あの音です。あれを生かすために、『新旧ふたりのおじさんの対決 × チャルメラの音』と着想し、ふたりのラップバトルという企画にたどり着きました」

 なるほど、少し分かったような気がします。でもやっぱり、ラーメン(チャルメラ)とラップの関係が少し分かりにくいようにも思うのですが、

「動画を見ていただけると分かるのですが、ラップバトルの背景音に、CMでおなじみのチャルメラの音を使っています」(同社担当者)

「それから、ヒップホップカルチャーでは親しい間柄の人を『マイメン』と呼ぶそうなので。今回、ふたつの味を食べ比べて投票してもらう企画なので、自分の好きな方の麺、つまりマイメンを選ぶという意味とも掛かっていたりもします」

イケメン化の理由は「思い出補正」

 そしてやはり気になるのは、なぜ現代おじさんが今風イケメンになっているのかということ。

「これ、イケメンになっているのは、実は初代の方のおじさんなのです。70周年を機に時を超えて現代にやってきたことで、なぜかイケメンキャラになっていたという設定です。俗にいう『思い出補正』というものでしょうかね」(同社担当者)

 なんと。今風にイケメン化したのは、現代おじさんではなく初代おじさんの方だということでした。

 公開された動画を見てみたところ、確かにイケメンは初代の方。

 3頭身の現代おじさんに対してイメチェン初代を計ってみたところ、およそ10頭身。「イメチェンも度を越してんだろ」と、現代おじさんも突っ込まずにいられないようでした。

あまりのイメチェンぶりに現代おじさんも思わず「度を越してんだろ」とツッコミ(画像:明星食品)



 ラップバトルはさておいても、今から54年前に発売当初のチャルメラの味には、やはり少し興味があります。

 1966(昭和41)年といえば、日本の総人口が1億人を突破し、TBSテレビ系の「ウルトラマンシリーズ」や日本テレビ系の「笑点」の番組放送がスタート、北区王子本町の銭湯に日本初のコインランドリーが設置され、世界的ロックバンドのビートルズが来日した年です。

 人気のお菓子ポッキーも、この年に生まれた“同級生”です。

 終戦からまだ20年ほどしかたたない当時の日本人が食べていたインスタントラーメンは、一体どんな味がするのでしょうか。図らずも日本の現代史に思いをはせる機会になるかもしれません。

 そして何より、おなじみのおじさんがイケメンに完全リニューアルされたわけではないと分かって、少しホッとしたような気もします。

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