若者の「洋楽離れ」は本当か? その実態を90年代から振り返る

若者の洋楽離れが進んでいるといわれます。その実態とはどのようなものでしょうか。東京の音楽シーンの変遷について、音楽ライターの高橋美穂さんが考察します。


その実態は?

 若者の洋楽離れが指摘されて久しい現在。一般社団法人日本レコード協会のデータによると、オーディオレコード(CDやアナログディスク、カセットテープなどの物理的なメディア)全体の生産実績における邦楽と洋楽の比率は、2009年に邦楽78%、洋楽22%だったのに対し、2018年は邦楽88%、洋楽12%となっています。

 10年前から邦楽が優勢でしたが、確かに、洋楽が占める割合が下がっていることは否めません。

若者の洋楽離れが進んでいる?(画像:写真AC)



 とはいえ、オーディオレコード自体の生産や売り上げが下がっているので、このデータですべてを判断することはできません。

 同じく、一般社団法人日本レコード協会のデータによると、オーディオレコード全体の生産実績の数量は、2009年の約2億1433万枚に対し、2018年は約1億3934万枚。およそ10年間でオーディオレコードの生産量は約半数近く減っています。

 その一方で、YouTubeで音楽を発掘したり、ストリーミング・サービスを愛用したりする人は急増しました。オーディオレコードしかなかった時代に比べて、洋楽はずっと触れやすいものになっているといえるでしょう。

 それも相まって、音楽を「邦楽」「洋楽」で括ることはもはやナンセンスではないだろうか?というのが、音楽ライターである近年の筆者の考えです。ここに関しては、後に触れます。

フェスが洋楽への扉を開いた

 邦楽と洋楽との関係性についてさかのぼればきりがないですが、筆者がリアルタイムで体感した1990年代から書いていきたいと思います。

 ミリオン・ヒットが連発されていた当時、学生だった筆者の周りの友人たちは、ほとんどが邦楽を中心に聴いていました。現在と比べれば、洋楽の売り上げもずば抜けていたのですが、邦楽の方がポピュラーな存在であったことは確かです。

 そんな状況を、(かなりざっくり言うと)「洋楽ってクール!」と思わせるような印象にもっていったのは、1990年代末から増えていったフェスの影響が大きいでしょう。1997年には「フジロック・フェスティバル」が、2000年には「サマーソニック」が始まりました。

 海外アーティストの単独公演に払うチケット代にいくらか足すと、多くの海外アーティストを観られるフェス。それは、若い世代に洋楽への扉を広く開いたと思います。

 そしてフェスは「ライブを観る場所」以上の、ファッションやカルチャーも含めたイベントとして定着し、コアな音楽ファン以外も集うようになりました。

 ほぼ時期を同じくして、邦楽アーティストを中心としたフェスも、たくさん生まれました。

 フジロックやサマーソニックにも初回から邦楽アーティストは出演していましたが、「ライジング・サン・ロックフェスティバル」(北海道)、「アラバキ・ロックフェス」(宮城県)、「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」(茨城県)、「ラッシュボール」(大阪府)、「モンスターバッシュ」(香川県)、「スカイ・ジャンボリー」(長崎県)など、邦楽アーティストのみが出演するフェスが全国区に広がったことで、邦楽はさらに盛り上がっていきました。

音楽シーンのボーダレス化が進む

 それと並行して、2000年代は「着うた」、そして2010年代からはYouTubeやストリーミング・サービスと、音楽の聴き方そのものも変化していきました。CDショップがない街が増えるなど、「音楽不況」という言葉も叫ばれるようになります。

 しかし実際には、フェスの盛り上がりは続いており、2019年のサマーソニックは20回目の開催を記念して3日間に(通常は2日間)、ロック・イン・ジャパン・フェスティバルも20回目の開催を記念して5日間に(近年は4日間)となっていることからも、より「ライブ主義」「現場主義」になったのではないでしょうか。

音楽ファンの「ライブ主義」「現場主義」化が進んでいる(画像:写真AC)



 また、YouTubeやストリーミング・サービスが普及することで、CDショップでCDを探すしかなかったときよりも、邦楽/洋楽を区別せずに好みの音楽を選びやすい時代になったのではないか、というのが筆者の考えです。

 ストリーミングに関して、海外アーティストで象徴的な存在といえば、チャンス・ザ・ラッパー。レコード・レーベルと契約せず、ストリーミングのみで、2017年にグラミー賞3部門を受賞したことが話題になりました。

 また逆に、邦楽アーティストの海外進出も目立っています。今年、アメリカのコーチェラ・フェスティバルでのパフォーマンスが話題を呼んだPerfume、結成からの夢を叶えて世界中をツアーしているONE OK ROCKなど……。こういった傾向をみると、より音楽シーンはボーダレスになっていく予感がします。

 とはいえ、せっかく東京にいるなら、街に出て、自らの足で音楽を探求してみたほうが面白いと思います。

 東京には、CDショップもありますし、ジャケ写や音質にこだわるならば、アナログ盤を購入できるショップもあります。通えるクラブやライブハウスもたくさんありますし、ちょっと足を伸ばせば洋楽フェスにも邦楽フェスにも行くことができます。

 東京は、邦楽/洋楽問わず、さまざまな音楽を自分らしく楽しむことができる場所なのです。


【写真】ロックな名言が心に刺さる!「NO MUSIC, NO LIFE.」ポスター最新版

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