おしゃれカフェとは年季が違う! コロナ以前から存在した老舗の激うま「テイクアウト弁当」を訪ねて

  • おでかけ
おしゃれカフェとは年季が違う! コロナ以前から存在した老舗の激うま「テイクアウト弁当」を訪ねて

\ この記事を書いた人 /

増田剛己のプロフィール画像

増田剛己

散歩ライター

ライターページへ

新型コロナの感染拡大で、お出掛けも思うようにできない2020年夏。散歩ライターの増田剛己さんは「こんなときこそ散歩を」と勧めます。散歩の楽しみのひとつとして挙げるのが、町の老舗店で買う「テイクアウト弁当」です。

早起きして散歩に出てみたら

 散歩の原稿を書くようになって閉口したのは、真夏の日差しです。

 照りつける夏の日差しに日傘などを差して対策をするのですが、それでも防ぎきれるものではありません。

 そこで、夏は日が落ちてから散歩をするようにしていました。夜の散歩で何本か記事を書きましたが、さすがにバリエーションはそんなにありませんでした。繁華街などは明るいのですが、住宅街を歩くと暗くて景色もなにも見えません。

 また、真っ暗な住宅街の路地などを歩いているといきなり玄関先の明かりがつくことがありました。防犯のために設置しているのでしょうが、いきなり照らされるのは心臓によくありません。

 あと、いきなり犬にもほえられます。

 そこで、夜ではなく早朝に散歩をするようにしました。しかし、これもけっこう大変でした。

モーニングを食べ、また散歩

 それまで夜に原稿を書き、明け方から眠るというライフスタイルだったからです。これを朝型に変えるのは容易ではありませんでした。なんとか少しずつ早起きをするようにして、やっと日の出とともに起きて散歩できるようになりました。

コロナ禍で一気に広まった「テイクアウト弁当」、東京の老舗店には、もともと販売していた店も多い(画像:増田剛己)



 天気がいい日は、わが家からぶらぶら歩いて喫茶店を探したりしました。今から15~16年前、喫茶店は減りつつありましたがまだいくつかあって、モーニングサービスなどもやっていました。そこで朝食をいただいて、また歩きます。

 朝の景色はそれまであまり見ていなかったので、発見も多くありました。例えば早朝からやっているパン屋さんです。

ベンチ探しもけっこう楽しい

 たしか、朝5時くらいからやっていたと思います。昭和から営業しているような佇(たたず)まいのパン屋さんです。昔ながらのガラスケースがあって、その中にいろいろなパンが並んでいます。

 お店の店員さんに欲しいパンを告げると出してくれるスタイルです。決して入り口でトレーを取ってトングで好きなパンを取ってレジに並ぶといったスタイルではありません。やっていらっしゃる人もたいてい高齢だったと思います。

 そんなお店に昼過ぎに行くと、ほとんどのパンが売り切れています。僕(増田剛己。散歩ライター)はコロッケパンだとかたまごパンなどを買っていました。味は今風ではなく、昔風の素朴な味わいでした。

公園のテーブルでいただく、素朴なたまごサンド(画像:増田剛己)



 パンを買って、ベンチのある場所を探します。ベンチ探しもまた楽しいものです。公園へ行けばベンチがあります。一番いいのはテーブルと椅子が一体になったものです。公園を捜す途中に新聞の販売店などがあれば、朝刊を買ったりもしました。

 公園ではラジオ体操をやっていたりして、僕もはじっこのほうで参加してりもしていました。

 僕がよく行った昭和レトロなパン屋さんは北新宿や代々木にありましたが、今はいずれもお店を閉めています。昔ながらのパン屋さんがどんどん減っていくのはさびしいですね。

 その後、新宿区から台東区に引っ越したのですが、台東区には昔ながらのパン屋さんが何軒もあってうれしい限りです。また、パン屋さんだけではなく早朝からやっているお弁当屋さんもあったりします。こうして、現在は台東区の早朝散歩を満喫しています。

レトロ店の粋なテイクアウト

 散歩する町で飲食店を訪ねるのもいいのですが、早朝散歩で知ったテイクアウトの楽しさも捨てがたく、ランチ時もお弁当屋さんやパン屋さんを探すことも多くなりました。

 ちなみに、僕は散歩に出掛ける前、行く予定の町についてざっくりネットで検索しますが、この店へ行こうと決めて出掛けることはありません。

 それは飲食店などは、定休日ではなくても臨時休業していたりすることもあるからです。決め打ちして出掛けると臨時休業だった場合、ショックが大きいからです。

 なので、いくつもの選択肢を持ちながらも、実際に現地に行って歩いてみてから決めることにしています。その方が新しい発見もあるわけで、ネットだけではわからない情報をつかむこともできます。

 お弁当屋さんなどをいろいろ見て歩くと、町によっていろいろなお店があるのがわかります。

お店によって違うテイクアウト弁当、魅力はさまざま(画像:増田剛己)



 例えばお肉屋さんがやっているお弁当屋さんは、肉中心のお総菜が入っています。魚屋さんがやっているお弁当屋さんがあります。お米屋さんがやっているのはおにぎり専門店だったりします。

 もちろんお弁当専門店もあって、昼前には多数のお弁当が並んでいるのですが、13時過ぎに再びのぞいてみると、残っている弁当はわずか。しかも少し値引きされていたりします。そんな光景を見るのも楽しいものです。

 大阪の大学を出て上京したのが1980年代半ばでしたが、東京ならではのテイクアウトで驚いたものがあります。それはおすしのテイクアウトです。

どの町にもある魅力的なお店

 おすしといってもにぎりや海鮮丼ではありません。大阪ならバッテラ(酢で締めた塩サバの押しずし)などのテイクアウトが多かったのですが、東京でのそれは、いなりずしとかんぴょう巻きでした。

 老舗の店が多く、若い頃は敬遠していたのですが、散歩の仕事をするようになってから、一度食べてハマりました。昔ながらの甘いおいなりさんは、歩いて疲れた体に染みるのですね。

 神田、四谷、人形町、浅草などの町には、そんなテイクアウトのできる老舗があります。

散歩の途中で食べるテイクアウト弁当もまた、散歩の大事な楽しみのひとつ(画像:増田剛己)



 本来ならこういった原稿は、いくつかお店を紹介したほうがいいのかもしれませんが、ウィズコロナの時代、散歩をするためにわざわざ電車に乗って東京をお出掛けしてよいものかとためらい、今回は控えることにしました。

 僕も東京ではいろいろな町に住みましたが、どこにも魅力的なテイクアウトのお店がありましたからね。皆さんもまずは自分の家から歩いて行ける場所でテイクアウトのお店を探してみてはいかがでしょう。

関連記事