結局、海外旅行はいつから行けるのか? 旅好きの意識調査から「本音」を分析してみた

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結局、海外旅行はいつから行けるのか? 旅好きの意識調査から「本音」を分析してみた

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シカマアキ

旅行ジャーナリスト、フォトグラファー

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海外旅行がはばかられる現在、旅行好きの人たちはどのような思いを抱いているのでしょうか。アンケートの調査結果をベースに、ジャーナリストのシカマアキさんが解説します。

海外旅行再開のめどは「2024年」と予測

 新型コロナウイルスの影響で、海外旅行を気軽にできない日々が続いています。オミクロン株も世界中で流行。再び海外旅行ができるのは、一体いつなのでしょうか。世界の航空会社で構成される国際航空運送協会(IATA)の予測では、国際線による航空旅行がコロナ前の水準に戻るのは「2024年」と発表されています。

羽田空港では国際線の便数が減り、駐機したままの大型機も多い(画像:シカマアキ)



 日本をはじめとするアジア諸国よりも先に、欧米諸国ではワクチン接種などを条件に入国後の隔離義務を免除するといった、ルールの緩和を行っています。一方、日本では全入国者に対する隔離義務が残り、ビジネスや留学などの渡航で3日、そのほかは14日(ワクチン接種とPCR検査で10日)がこれまでで最短となっていました。

 帰国後に国内線や鉄道、バスなどの公共交通機関が利用できない規制もあり、国際線の便数も以前よりかなり少なくなっています。東京発着(羽田・成田)の国際線も、数こそあるものの、現状、帰省やビジネスで利用する人が大半で、旅客を載せずに貨物便として運航している場合もあります。

 特に海外旅行が好きな人たちは今、どのような思いで日々過ごし、どのタイミングで再開しようと考えているのでしょうか。今後の海外旅行について、アンケート調査の結果をもとに分析しました。

「日本帰国後の隔離」が最大のネック

 世界最大級のオンライン旅行情報メディア「トラベルズー」が先日、日本国内の読者会員を対象に、今後の海外旅行についてインターネット調査を行いました(調査時期:2021年10月4日~10月11日、有効回答数:1706、平均年齢:57.6歳、男女比率:男性44.9%、女性54.6%)。

 海外旅行再開への意欲については、

1位:帰国後、日本国内での隔離期間等の各種措置が緩和されたら行きたい
2位:今行きたいと考えている国・地域が観光客を受け入れるようになったら行きたい
3位:海外旅行の自粛ムードが解消されたら行きたい

という結果に。

海外旅行再開への意欲、上位5項目で「隔離」がトップ(画像:トラベルズー)

 1位は「隔離」について。10日、14日という長さが日々の生活に支障をきたすことが最大のハードルとなっています。しかも、自主隔離中は

・待機場所の位置情報
・健康状態

の報告が義務付けられており、これを怠ると厚生労働省のサイトに一定期間、氏名が掲載されることもあります。空港からの公共交通機関の利用禁止も、レンタカーや自家用車で帰宅できない人や地方在住者にとって大きなハンディとなっています。

 しかし「現時点では海外旅行の再開を考えていない」(7.9%)と回答した人は全体の1割に満たず、海外旅行への熱意自体は高いことがわかります。

海外旅行の希望は2022年の早い時期が多数

 続いては、海外旅行の検討時期に関する質問です。トップ3はいずれも2022年で「4~6月」「1~3月」「7~9月」でした。来年の早い時期、年始や春休み、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏休みといったタイミングで、「海外へ行きたい」との希望を持っていることがわかります。

海外旅行を具体的にすでに計画、希望している人の「時期」は?(画像:トラベルズー)



 ただ、海外旅行に行くタイミングは、国内旅行以上に難しくなっています。特に今は国・地域ごとの入国基準が感染状況によって日々変わり、その都度の対応が求められます。しかも、帰国前に

・現地でのPCR検査
・政府指定の項目をすべて記載した書面の提出

が絶対条件。感染状況に合わせての変化に対し、臨機応変に対応するテクニックも求められます。国内旅行のように直前ですぐ予約などの手配を行うのは、海外旅行では至難の業です。

旅行者が海外にこだわる理由

 一方、国内ではなく海外旅行になぜこだわるのでしょうか。「最も重視する」ことの上位には

・異なる文化やライフスタイルを経験したい
・ストレスや緊張から解放されたい
・新しい場所、異なる場所を経験するため

が上位にランクイン。内容としては「歴史的建造物・遺跡などを楽しめる」「現地の食べ物を楽しめる」「自然景観が楽しめる」などが挙げられています。

「なぜ、海外旅行にこだわる?」 その最たる理由は……(画像:トラベルズー)

 異文化体験は、海外旅行の最大の魅力です。コロナ禍でオンラインツアーが増えたものの、結局リアルにはかなわないと実感した人も多いのではないでしょうか。

 特に言語の違いは大きく、日本語が簡単に通じる場所だと、旅という「非日常」から現実に戻される感覚を持ってしまいます。一方、海外は言語が異なるため、文化の違いが実感できます。例えば、アメリカやオーストラリアなどは国土が広く、土地の広さも異なるため、「こんな世界もあるのか」と感じられます。

「海外旅行にかける費用」はどのくらい?

 さらに、誰もが気になるであろう「海外旅行にかける予算」について。最も多い答えは「100,000~149,999円」で、以降は「60,000~99,999円」「150,000~199,999円」と続いています。

海外旅行にかける1人あたりの費用は10~15万円がトップ(画像:トラベルズー)



 10~20万円というと、ハワイやバリでの1週間程度の旅行が想定されます。10万円以下だと、物価がやや安いアジア諸国。ヨーロッパは物価が高いため、20万円以内で行けないことはありませんが、通常はもっと予算がかかります。アメリカのニューヨークやカナダなども同様です。

 今の状況を顧みると、もし行けるようになったら、以前よりも予算を奮発する人が多いかもしれません。航空券も以前よりも高めで、PCR検査の費用もかかります。それでも、

・お金よりも隔離がなくなれば行きたい
・隔離が3日程度になったら行けそう

という声を、筆者は多く聞きます。

 結局のところ、海外旅行の再開を考える人はまだまだ多いのです。

東京からの見込みは今後どうなる?

 東京発着(羽田・成田)を中心に、国際線の便数は若干増えています。 大阪や名古屋、福岡といった地方路線より、「まずは首都圏の路線から再開」という傾向が見られ、どの航空会社も再開の機会をうかがっています。

新型コロナ前の羽田空港国際線ターミナル(現在の第3ターミナル)の様子(画像:シカマアキ)

 この2年間で、羽田や成田の各空港から帰国者専用のバス・鉄道車両などが運行され、空港内にPCR検査場も新たに設置されました。日本に到着してからの書類提出、空港検疫の動線も当初よりスムーズになっています。

 ワクチン接種証明をはじめ、PCR検査、空港からの移動手段など、新たな様式に対応したウィズコロナの時代が到来するのはほぼ間違いありません。

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