猫カフェから水族館まで――動物愛護意識の高まりで問われる、都市型施設の姿勢と役割とは
2019年9月10日
お出かけ2010年代に端を発した動物愛護・自然保護意識が高まりを受けて、動物のレジャー施設を取り巻く環境が変化しています。いったいその背景には何があるのでしょうか。文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナーの中村圭さんが解説します。
インバウンドにも大人気の動物カフェ
動物を見たりふれあったりできるレジャー施設は、年齢・性別を問わず根強い人気があります。特に「動物カフェ」は、都市部で動物と直接ふれあえる施設として近年注目されています。

猫カフェから始まった動物カフェですが、現在はウサギやフクロウ、豆柴、コツメカワウソなど、種類が増加しています。これらは今人気の高い動物で、ペットで飼いたいと思っている人は少なくないでしょう。
しかし、都心の単身世帯ではペットが飼えない、フクロウやコツメカワウソなどをペットとして飼うのはハードルが高いなど、中々実現できません。動物カフェはそのような人を含め、動物好きに人気の施設となっています。また、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」のランキング上位に入るなど、外国人観光客の利用も多く見られます。
動物を使った集客ビジネスに覚える、一抹の不安
国内で動物とのふれあいを謳ったレジャー施設は、1990年代に登場した犬のテーマパークが筆者の記憶にあります。入場料金を払うと園内でさまざまな種類の犬とふれあえるほか、別料金で自分の好きな個体にエサをあげたり、散歩が一定時間できたりというシステムでした。
当時はペットブームの拡大期であり、テーマパークということもあって幅広い層を集客しました。ビジネスモデルに関心が持たれ、大型施設も開業し、このまま全国に拡大する勢いでしたが、結果的にほとんどの施設が閉鎖しています。
閉鎖には施設ごとの事情があるでしょうが、モラルのないブリーダーの動物虐待がペットブームに水をさし、犬のテーマパークも大型犬を小型の犬舎で飼うなど、劣悪な飼育環境が批判の対象になりました。これらの施設は、「生き物をレジャーにすること」の危うさを世に掲示したと言えます。

過去の犬のテーマパークと比較すると、現在の動物カフェはおおむね室内で飼育できる小動物が対象です。テーマパークのような大規模施設ではなく、小規模な施設で飼育数が限られることなど、当時とは事情が異なるため、飼育に配慮が行き届きやすい状況と言えます。
また元々動物の飼育・販売を手掛けていた専門業者が、一般人に理解を深めてもらうために運営している施設や、飼い主同士の交流・情報交換の場となっている施設など、すべての施設が集客目的と言う訳でもありません。
しかし飼育環境や動物のストレスが問題となった施設もあり、集客ビジネスとして展開していくためには、やはり危うさを感じてしまいます。
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