有楽町、新宿、銀座……東京の地名ばかりが集まるエリアが「山口県」にあった いったいなぜ?
2020年7月26日
知る!TOKYO山口県の東南部に位置する周南市。同市の旧徳山市エリアには、なぜか東京の地名を模した地名が多く存在しています。いったいなぜでしょうか。フリーライターの県庁坂のぼるさんが解説します。
新宿から有楽町まであちこちに点在
よっぽど、東京が大好きなのでしょうか?
山口県の周南市は2003(平成15)年に徳山市・新南陽市・熊毛町・鹿野町の2市2町が新設合併し発足した街です。このうち旧徳山市は、興味深い地名がたくさんある土地として知られてます。
なんと、
・銀座
・有楽町
・代々木通
・新宿通
・原宿町
・青山町
など、街のあちこちに東京と同じ地名があるのです。
銀座と有楽町はJR徳山駅前の繁華街、その西側には代々木通と新宿通に原宿町、その隣は青山町となっています。

さらに海に突き出た工場地帯には晴海町という名前がありますし、晴海埠頭(ふとう)という埠頭もあるのです。おまけに代々木通には、代々木公園まで存在します。
同じ地名は、東京だけではありません。那智町に速玉町、新宮町と、なぜか和歌山県の地名まであります。
背景にある太平洋戦争の悲劇
徳山市は戦前から日本海軍の燃料廠(しょう)が置かれ、戦後もコンビナートで発展してきた街です。中心駅である徳山駅は新幹線の停車駅で、決して小さな街ではありません。
そうした街が東京の地名であふれているのは、いったいどのような事情があるのでしょうか。

これには戦後、焼け跡から復興した徳山市の歴史が関係しているようです。
太平洋戦争末期の1945(昭和20)年、徳山市は二度にわたって大規模な空襲を受けます。5月10日、豊後水道から侵入したB29約80機によって第三海軍燃料廠、大浦油槽所(ゆそうじょ)、徳山鉄板工場などの工場は壊滅し、死者500人を超える大きな被害を受けます。
被害はこれだけでは終わりませんでした。7月26日の23時頃、今度は100機にのぼるB29による空襲を受け、徳山市の市街地の9割近くが焼失してしまいます。

New Article
新着記事
Weekly Ranking
ランキング
- 知る!
TOKYO - お出かけ
- ライフ
- オリジナル
漫画