Mattの母校で立地はギリギリ東京都 2年で志願者数1万人増の「桜美林大学」とはどのような大学なのか

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Mattの母校で立地はギリギリ東京都 2年で志願者数1万人増の「桜美林大学」とはどのような大学なのか

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中山まち子

教育ジャーナリスト

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近年志願者数が急増しているのが、東京と神奈川の県境近くにある桜美林大学です。Mattの母校としても知られる同大について、教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。

ここ数年で1万人近く志願者が増えている

 若い世代を中心に画像加工「Matt(マット)化」の大ブームを引き起こし、モデル・アーティストと枠にはまらない活躍をしているMatt――実は、桜美林大学(町田市常盤町)の出身です。

町田市の桜美林大学。東京と神奈川の県境近くにある(画像:(C)Google)



 大学在学中からブライダルモデルとして芸能活動をスタートさせたMattの母校であり、東京と神奈川(相模原市)の県境近く約600mの場所にある桜美林大学は近年、志願者が急増しています。

 2018年度入学者選抜試験の総志願者数は1万4089人でしたが、2020年度は2万3772人と9683人も増加(編入学者を除く)しているのです。

 首都圏の私立大学は近年、定員厳格化を受けて「安定志向」が強まり、早慶(早稲田大学、慶応義塾大学)やMARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)といった有名私立大学を避ける動きが加速しています。

 そのため、今回ご紹介する桜美林大学などが受け皿となり、いわば安定志向を目指す学生の「駆け込み寺」のようになっていると考えられます。しかし都道府県別志願者数を見ると、一概に首都圏(1都3県)の学生たちが同大に集中しているわけではないことがわかります。

首都圏出身の志願者は平均未満

 2020年度に東京都の大学に入学した新入生の出身高校を見ると、首都圏出身者は69%以上を占めています。

 一方、桜美林大学における首都圏出身の志願者は68%と、平均をわずかに下回りました。

桜美林大学の全景(画像:(C)Google)

 前述の通り、志願者数は急増したものの、安定志向で桜美林に殺到したのは首都圏の受験生ばかりではないのです。

起源は戦前の北京の子女向け教育機関

 桜美林大学は他の大学とは少し異なり、その歴史は海外からスタートしました。

 大学の起源は、同志社大学(京都市)神学部出身の清水安三がキリスト教の牧師として戦前に布教活動を行っていた北京市で、貧困層の子女向けに設置した教育機関です。

 戦後、清水は日本に戻り町田に桜美林学園を設立。この大学名は清水が留学したアメリカのオーバリン大学(オハイオ州)を由来としています。

1967(昭和42)年発行の町田市の地図。桜美林学園の文字が見える(画像:時系列地形図閲覧ソフト「今昔マップ3」〔(C)谷 謙二〕)



 大学の認可を受けた1966(昭和41)年当初は文学部の1学部のみでしたが、2020年度は

・リベラルアーツ学群
・グローバル・コミュニケーション学群
・ビジネスマネジメント学群
・航空・マネジメント学群
・健康福祉学群
・芸術文化学群

の6学群(学部と同義)まで規模が広がっています。海外の提携校は34地域、190以上の機関に上ります。

リベラルアーツ学群に魅力

 ここ数年の志願者数の増加を詳しく見ていくと、リベラルアーツ学群の人気が高まっていることが分かります。

 2018年度から2020年度入学者選抜試験を比べると、定員数は950人と変わらないものの志願者数は6112人から9615人と実に3503人も増えているのです。

 理系・文系と早い段階から進路を決めなければならないのが大学受験のスタンダードですが、専門を早期に決めてしまうと幅広い教養を身につける機会を失うデメリットもあります。

桜美林大学「リベラルアーツ学群」の4年間(画像:桜美林大学)

 リベラルアーツはまず理系・文系にとらわれず、社会で生きていく上で必要な思考力や判断力、多角的なものの考え方を学びます。 

 創立者の清水自身が学んだオーバリン大学もリベラルアーツ大学の名門校であり、積極的にアメリカの教育システムを取り入れています。

 令和の現在は、経済状況によって雇用体系や働き方が大きく変わる時代です。不安定な時代に立ち向かうにはひとりひとりの思考力や解決力が必要となるため、他の大学にはない同大のリベラルアーツ学群に魅力を感じる受験生が増加していると言えます。

敷地面積3万平方メートルを超す新設キャンパス

 桜美林大学は2020年春、本部キャンパスと同じ町田市に東京ひなたやまキャンパス(町田市本町田)を新設しました。

桜美林大学のウェブサイト(画像:桜美林大学)



 閉校した本町田中学と本町田西小学校の跡地を取得して建設した新キャンパスは、敷地面積3.2万平方メートルを誇ります。

 コロナ禍により本格的な授業再開はまだ先ですが、芸術文化学群の学生がこの新しいキャンパスで学ぶことになっています。敷地には今後劇場や音楽ホールも整備される予定で、芸術系を学びたい受験生にとって充実したキャンパスと言えるでしょう。

 芸術文化学群もリベラルアーツ学群と同様、志願者が増えています。

学群にあうキャンパス移転を実施

 桜美林大学は本部を置く町田市だけではなく、最近の私立大学で見られる「都心回帰」の動きも見せています。

 2019年4月に開校した新宿キャンパス(新宿区百人町)には、ビジネスマネジメント学群が移転。単なる都心回帰ではなく、学群に適した場所を選んでいると言えるでしょう。

新宿キャンパスの所在地(画像:(C)Google)

 以上のことから、桜美林大学はそのフットワークの軽さやカリキュラムの充実ぶりで、今後目が離せない存在になりそうです。

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