【東京カフェチェーン評論】ゆったりくつろげるお店は地方から到来? 「コメダ珈琲店」「宮越屋珈琲」

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【東京カフェチェーン評論】ゆったりくつろげるお店は地方から到来? 「コメダ珈琲店」「宮越屋珈琲」

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飯塚めり

喫茶店観察家、イラストレーター

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5月に発表された「一番くつろげるカフェチェーンランキング」を基に、喫茶店観察家の飯塚めりさんがランキング上位店とおすすめ店の魅力について解説します。

アンケート結果はコメダ珈琲店が1位

 ようやくカフェチェーン店も再開。筆者(飯塚めり。喫茶店観察家)もまだまだ気をつけて過ごさなければ、と思いつつ、日常が戻ってきていることにやはりほっとするこの頃です。

 さて、エヌ・ティ・ティレゾナント(港区芝浦)が運営する総合ランキングサイト「gooランキング」が2020年5月、「一番くつろげるカフェチェーンランキング」(総投票数2184票)を発表しました。ベスト10位は、次のとおりです。

1位:コメダ珈琲店(550票)
2位:スターバックス コーヒー(284票)
3位:ドトールコーヒーショップ(215票)
4位:星乃珈琲店(141票)
5位:喫茶室ルノアール(116票)
6位:タリーズコーヒー(115票)
7位:サンマルクカフェ(88票)
8位:上島珈琲店(67票)
9位:カフェ・ベローチェ(64票)
10位:珈琲館(57票)

 ダントツの票数を集めて1位の「コメダ珈琲店」(以下、コメダ)。名古屋発の喫茶店らしく、家族連れも若者もお年寄りも、誰でも過ごしやすいということが、人気の一番の理由でしょうか。

「コメダ珈琲店」公式サイトより(画像:コメダ)



 木のぬくもりある、ちょっとなつかしさを感じる空間に、サービス精神あふれすぎるメニュー構成。家族で行きやすいということもあり、テーマパークのようにわくわくさせてくれます。

 チェーン店は「個人的な思い出の残る場所」という考えを持っています。

 例えば、あの町のドトールが自分にとって特別なドトール、とか。同じお店であっても、お客さんそれぞれに思い出や思い入れがあり、その「味付け」によってその店舗が特別になります。

 ということで、筆者も個人的な思い出とともに、カフェチェーン店を語らせていただきます。

コメダのボリュームに敗北した過去

 コメダが関東に上陸した2003(平成15)年当時、まだまだカフェチェーン界にはスターバックスからの「シアトル系」の波が続いていました。

 ただ時期は「上島珈琲店」と「カフェ・ミヤマ」(ルノアール系)の誕生と時を同じくしており、ちょうど、なつかしいニオイを感じさせるお店を再度求める流れがきていたのかもしれません。

 ネット掲示板からその存在を知り、コメダの関東上陸を待ちわびていた筆者も、初めて通ったころは勝手がわからず、無邪気にいろいろと頼んでしまい(だって、そんなボリュームとは思わないから……)、胃袋的に「大敗北」した苦い思い出があります。

「大敗北」のイメージ(画像:写真AC)



 甘めのミルクコーヒーや家族で通いやすい雰囲気など、東日本在住の筆者には、ひどく新鮮なものでした。今となっては、ネットやテレビなどの存在もあってか、東京のみなさんもすっかりこのスタイルになじんだ感がありますね。

「想像の1.5倍くらい」という攻略法

 現在は、そのボリュームについてもたびたび話題になるコメダ。これに対してはなんとなくの攻略法を編み出せていて、

「だいたいが想像の1.5倍くらいで出てくる」

というアタリをつけて、あとは価格の差で想像する(とはいえ、経験則がないとむずかしいかも……)というのが、コメダにおけるメニューの「読み方」ではないかと。

 それでも不安なときは、店員さんに「これって多すぎないボリュームですか?」などと確認してから頼むこともします(店員さんのホスピタリティの高さもコメダのすばらしいところです)。

 しかしそれはコメダにあって、「逃げの姿勢」なのでよろしくないのかも……などと思ったりもして。いったい何と戦っているんでしょう……。

5月27日(水)から季節限定で全国販売している「カリーメンチカツバーガー」。こちらもボリュームたっぷり(画像:コメダ)

 ファミリー単位で訪問して、わいわいと頼めばボリューミーさも楽しめて、名古屋喫茶店らしい味わい方ができますね。

大人の雰囲気で落ち着ける「宮越屋珈琲」

 さて、ランキング上位には入っていなくとも、思い入れが強くて個人的に語りたいカフェチェーンもあります。そちらも少しだけ、ご紹介させてください。

 今回のピックアップは、20位にランクインしている「宮越屋珈琲」(以下、宮越屋)です。札幌で生まれ、その後全国に進出しつつある……というローカルカフェチェーンという意味では、名古屋発のコメダと似ています。

「宮越屋珈琲」公式サイトより(画像:宮越商事、ミヤコシヤサンズ)



 ローカルチェーンという点で共通してはいるものの、宮越屋珈琲の喫茶店としての方向性はだいぶ違っています。

 ファミリーでレストランのように楽しめる名古屋喫茶の系譜のコメダに対して、宮越屋は激渋でオーセンティックなコーヒー店の系譜。流れるBGMはジャズで、オーディオにこだわりあり。

 店内はカフェチェーン随一といえるほど抑えた照明で、でも読書はできるくらいという絶妙さ。店員さんはぱりっとした正装で、メニュー構成もコーヒーと紅茶、トースト、シンプルめのケーキと、ストイックです。

チェーンなのに漂う「居場所」感

 筆者は、ワイワイ複数人で喫茶店に通うタイプではない……「陰」のキャラなので、こういった正統派コーヒー店らしいお店がチェーンで存在するというのは、とてもありがたいのです。

渋谷区恵比寿にある「宮越屋珈琲 恵比寿店」(画像:(C)Google)

 座席も、高めの背もたれがごく自然に席を区切ってくれていて、暗さもあいまってとっても「ひとり」になれ、すごく快適。「居場所」感があります。

 あとは……子どものころを札幌で過ごした筆者は、地元のスポーツチームを応援するような気持ちもあったりします。ローカルチェーンにはそういう推し方もあるかもしれません。

 そんな宮越屋珈琲、東京では、新橋や恵比寿など、8店舗あります。見つけたら、フラッと立ち寄ってみてくださいね。

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