拷問器具から妖怪まで……かなりディープな、知られざる「大学博物館」の世界

  • おでかけ
拷問器具から妖怪まで……かなりディープな、知られざる「大学博物館」の世界

\ この記事を書いた人 /

石渡嶺司(大学ジャーナリスト)のプロフィール画像

石渡嶺司(大学ジャーナリスト)

大学のキャンパスは、在校生でもない限り普段なかなか立ち入る機会のない場所。しかしそこには、誰でも入れて知的好奇心をくすぐる展示がたくさんあります。大学ジャーナリストの石渡嶺司さんがナビゲートします。

市民に開かれた知の「見学スポット」

 大学見学、と言えば受験生がするもの、とお考えの方も多いでしょうけど、そんなことはありません。

 いや、もちろん、普段、何もないキャンパスをうろついて面白がるのは、大学ジャーナリストを自称し続けて18年の私(石渡嶺司)くらいのものでしょう。

 ですが、平日であっても、大学によっては見学スポットがあります。一般の人でも入場可能であり、街歩きのついでに訪問するのも楽しいはず。見学スポットのひとつが「大学博物館」です。

拷問器具を唯一展示する明治大学

 東京都内でもっとも有名な大学博物館と言えば、明治大学です。

 JR御茶ノ水駅の御茶ノ水橋口から神田方面に下って歩くこと2分。右側に駿河台キャンパスの高層ビル、アカデミーコモン(千代田区神田駿河台)が見えてきます。ここの地階にあるのが「明治大学博物館」です。

 入場無料の同博物館は大学史展示室の他、3部門(商品、刑事、考古)に分かれています。このうち、よく知られているのが刑事部門。

「建学の理念『権利自由』にもとづき、刑事関係資料を展示しています」(同博物館サイトより)とありますが、刑事関係資料を収集・常設展示している博物館・資料館はそう多くありません。

欧州の刑罰具ニュルンベルグの鉄の処女とギロチンの再現模型が展示されている「明治大学博物館」(2019年11月、ULM編集部撮影)



 特に日本唯一の展示となっているのが「ギロチン」「ニュルンベルクの鉄の処女」。海外でもそうそう見ることのない、処刑台と拷問具がお茶の水、という東京のど真ん中で見学できるのはなかなかシュールです。

 商品部門では伝統工芸品である陶器、漆器などの製造工程が展示しています。考古部門では明治大学の考古学調査・発掘の成果を公開。細石器や土器などがズラリと並んでいます。

 早足で見学していけば30分ないし1時間程度。いずれかの展示に興味があれば、もう少し、余裕を見た方がいいでしょう。

村上春樹も通った演劇博物館

 早稲田大学・早稲田キャンパスの正門から歩くこと数分。6号館と4号館に挟まれたやや奥に位置するのが早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田)です。

 正式には「早稲田大学坪内博士記念演劇博物館」であり、早稲田大学OBの作家・坪内逍遥(つぼうち しょうよう)の名を冠しています。博物館内の常設展示にも逍遥記念室で逍遥の愛蔵品や著書・原稿などが展示されています。

作家・村上春樹も足しげく通った「早稲田大学坪内博士記念演劇博物館」(画像:(C)Google)



 他にも古代から近現代、世界の演劇関連の衣装や小道具などが展示されています。

 同博物館は図書室が有名です。1968(昭和43)年から1975年まで在籍していた作家・村上春樹が映画の脚本を読破していました。

 それもあってか、2019年、早稲田大学は早稲田大学国際文学館(通称・村上春樹ライブラリー)の設立を発表。村上氏の寄贈する生原稿やレコード等が展示される予定です。場所は演劇博物館に隣接する4号館で、大規模なリノベーションを実施。2021年4月に公開予定となっています。

東大付属と気づかれない植物園も

 屋内よりも、花や植物を愛(め)でたい、という方には「東京大学大学院理学系研究科付属植物園」(文京区白山)はいかがでしょうか。

 徳川幕府が1684(天和4、貞享元)年に開設した小石川御薬園が前身であり、面積は約16万平方メートル、植物標本は約70万点もあり、園内を一周するだけで1時間はかかるでしょう。

「小石川植物園」との通称が知られており、大学付属の博物館・植物園であることはあまり知られていません。なお、入園料は1回500円。

実は東大付属、16平方メートルに及ぶ通称「小石川植物園」(画像:東京大学ウェブサイト)

 何度も利用したい方には年間パスポートが2500円です。6回以上、利用するのであれば年間パスポートを購入する方がいいでしょう。

 園内には旧東京医学校の本館(1876年設立)があり、こちらは東京大学総合研究博物館小石川分館として、一般公開されています。館内には明治・大正期の校舎模型、民族学標本、空間標本などが展示されています。

 なお、東京大学は本郷キャンパス内に総合研究博物館もあります。ただ、こちらは耐震改修工事のため2019年8月から休館しています。

工学を楽しめる東京工業大学博物館

 東急目黒線・大井町線の大岡山駅を出ると目の前にあるのが東京工業大学。正門脇にあるのが「東京工業大学博物館」(目黒区大岡山)です。

電気、通信、建築、ロボットなど幅広い展示が魅力の「東京工業大学博物館」(画像:東京工業大学博物館ウェブサイト)



 大学の歴史の他に、「電気~光/通信の先端研究史」や建築模型、紡績機械、世界的技術遺産などを展示しています。

 ノーベル賞を受賞した大隅良典栄誉教授・白川英樹博士のメダル(レプリカ)も展示されています。

※ ※ ※

 こうした大学博物館は都内だと他に、国学院大学博物館(渋谷区東。考古学、神道など)、武蔵野音楽大学楽器博物館(練馬区羽沢。楽器など)、東洋大学井上円了博物館(文京区白山。井上円了・妖怪学など)、東京理科大学近代科学資料館(新宿区神楽坂。計算機・真空管など)なども有名です。

 大学博物館は2020年6月下旬現在、コロナショックの影響でその大半が休館となっています。しかし、コロナショックが収まってくると、以前と同じように公開される見通しです。

 街歩きの一環で訪問するも良し、子どもがいるのであれば長期休みの自由研究のネタ探しで行くのもいいでしょう。

関連記事