小沢健二『愛し愛されて生きるのさ』――青山学院から「渋谷系」につながる若者音楽の系譜 渋谷区【連載】ベストヒット23区(19)

人にはみな、記憶に残る思い出の曲がそれぞれあるというもの。そんな曲の中で、東京23区にまつわるヒット曲を音楽評論家のスージー鈴木さんが紹介します。


サザン = 渋谷区?

 そして桑田佳祐が「青学作曲家」、ひいては「青学音楽家」の真打ちであることに、異論を挟む人はいないでしょう。サザンオールスターズといえば「湘南」となりますが、実は「渋谷区」でもあるのです。

桑田佳祐率いるサザンオールスターズ(画像:WOWOW)

 桑田佳祐、原由子、関口和之、大森隆志は青山学院大学出身。レコード会社・ビクターエンタテインメントの本社は、渋谷区東。彼らが数多くのレコーディングをしたビクタースタジオは渋谷区神宮前。所属事務所のアミューズは渋谷区桜丘町と、まさに渋谷区づくし。

 さらに桑田佳祐が属していた、青山学院大学の音楽サークル「BETTER DAYS」の後輩には、ピチカート・ファイヴの小西康陽(やすはる)がいて、サザンと「渋谷系」、渋谷駅の東側と西側をつなげる線が見えてきます。

風景は変われど受け継がれる「渋谷区音楽」

 そんな背景を受けて、今回の「ベストヒット渋谷区」は、ここでまた「渋谷系」の雄 = 小沢健二に戻って、名曲『愛し愛されて生きるのさ』(1994年)にしたいと思います。歌詞の中で唐突にサザンが登場するのです。

1994年に発表された、小沢健二『愛し愛されて生きるのさ』(画像:ユニバーサル ミュージックジャパン)

「♪10年前の僕らは胸をいためて“いとしりのエリー”なんて聴いてた」という歌詞で、サザンと「渋谷系」がつながります。続く「♪ふぞろいな心は まだいまでも僕らをやるせなく悩ませるのさ」というフレーズには、『いとしのエリー』が主題歌だった名作ドラマ『ふぞろいの林檎たち』へのリスペクトが感じられます。

 つまり、まさに「ベストヒット渋谷区」、まさに「ベストヒット渋谷区音楽の歴史」。

 JR渋谷駅の駅前風景は急変に急変を続け、「渋谷系」の頃からも、全く変わってしまいました。でも渋谷区はこれからも、若者音楽の中心地としてあり続け、桑田佳祐、いや、浜口庫之助からの「渋谷区音楽の歴史」は、綿々とつながれていくのでしょう。


【画像】小沢健二がこれまで発表したオリジナルアルバムをすべて見る(6枚)

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