幕末の偉人・ジョン万次郎も漂着した、アホウドリの楽園「鳥島」をご存知ですか【連載】東京無人島めぐり(1)
2020年5月30日
知る!TOKYO東京都内に330もある島――その中でも無人島の歴史についてお届けする本連載。1回目となる今回の島は「鳥島」。案内人は、ライター・エディターの大石始さんです。
絶海に浮かぶ孤島
19年3か月――。これは、日本における最長の無人島生活日数といわれています。
探検家・作家の高橋大輔の著作『漂流の島 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う』(草思社)によると、1719(享保4)年11月、遠州新居(現在の静岡県湖西市)の甚八ら12人を乗せた千石船が遭難。
翌年の1月末、甚八たちは命からがら伊豆諸島の最果ての島に漂着しました。それから19年もの歳月が経過した1739(元文4)年に新たな遭難船が漂着し、甚八たちが脱出に成功したときには、最初12人だった船員はわずか3人になっていたといいます。

甚八たちが流れ着いたその島とは、東京から南へ約600kmという絶海に浮かぶ孤島、鳥島でした。
アホウドリの繁殖地
特別天然記念物に指定されているアホウドリの繁殖地ともなってきたこの島は、周囲約7kmほどの火山島。現在は無人島となっていますが、記録として残されているだけでも数多くの遭難者が流れ着きました。

井伏鱒二の『ジョン萬次郎漂流記』(1938年)で取り上げられた、ジョン万次郎こと中浜万次郎もそのひとり。1841(天保12)年1月に鳥島に漂着した万次郎たちはアホウドリなどを食べて約4か月を生き抜いたあと、アメリカの捕鯨船に救出されます。
ただし、当時の日本は鎖国状態。そのため、万次郎は他の乗員がハワイで下船するなか、そのまま捕鯨船に乗ってアメリカ本土へ。捕鯨船や金鉱で資金を得ると、1853(嘉永6)年には故郷・土佐への帰郷を果たしました。

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