歌舞伎座でなんと毒殺事件がーー現代によみがえる横溝正史の世界、『仮名手本殺人事件』を読む
2020年5月16日
ライフ『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『江戸川乱歩と横溝正史』(集英社)など、歌舞伎とミステリに詳しい作家の中川右介さんが、2020年2月発売の『仮名手本殺人事件』の魅力について解説します。
いつまで続く「歌舞伎のない東京」
新型コロナウイルスは、演劇や音楽の興行に大きな影響を与えています。
歌舞伎公演も3月以降すべてが中止となり、5月から始まる13代目市川團十郎白猿襲名披露公演も6月、7月まで含め中止が決定しました。他の劇場も、いまのところ7月までの公演は全て中止になりました。
これまでも建て替え工事で何年にもわたり歌舞伎座(中央区銀座)で公演できなかったことはありますが、その間、新橋演舞場(同)などの劇場で上演されていたため、東京で5か月にわたり歌舞伎公演がまったく行われないのは、明治になってから、もしかしたら江戸時代を含めても初めてかもしれません。
戦争末期の1944(昭和19)年3月、第一次決戦非常措置令により歌舞伎座などの大劇場は閉鎖命令が出ましたが、対象外の劇場もあり、敗戦まで日本のどこかでは歌舞伎が上演されていました。
そして8月15日に敗戦が決まると、全国で演劇・映画の興行は自粛されましたが、歌舞伎は9月1日に東京劇場(いまは映画館の東劇、同区築地)で2代目市川猿之助(初代猿翁)の一座が公演をはじめました。
もし「歌舞伎のない東京」が8月まで続くと、戦争中よりも長くなってしまいます。どうにか8月には再開してほしいものです。
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