大人は理解不能? 若者にひそかなブーム、インスタ使った「#にんじんリレー」とは何か

新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛が続くなか、「Z世代」と呼ばれる若者の間でひそかに流行している「#にんじんリレー」をご存じでしょうか。上の世代にとっては、なかなかにジェネレーションギャップを感じさせられるこの遊び、Z世代のトレンドを分析する「Z総研」の道満綾香さんが背景も含めて解説します。


スマホで「にんじん」の絵を描く遊び?

 新型コロナウイルスの世界的感染拡大によって外出自粛が強いられるなか、日本(特に東京)の若者の間でひそかに流行している「#にんじんリレー」という遊びをご存じでしょうか?

「#にんじんリレー」とは、定番SNSの「Instagram(インスタグラム)」にある「ストーリーズ」(24時間で消える短尺動画機能)を使って行うリレー式のお絵かきのことで、「#にんじんチャレンジ」とも呼ばれています。

 友人・知人から自分のところに指名が回ってきたら、指名してくれた人のストーリーズのスクリーンショット画像を画面左上に貼り付けて、お絵かき機能でにんじんの絵を描き加え、次に描いてほしい人を指名。ストーリーズを投稿します。

 こうして、にんじんの絵が次々とリレーのように連なっていく様が面白いと、日本の「Z世代(1996~2012年に生まれた若者たち)」の間でちょっとしたブームになっているのです。

Z世代の間で流行している「#にんじんリレー」という遊び。あなたはご存じでしたか?(画像:Z総研)



「#にんじんリレー」がなぜにんじんだったのかは定かではありませんが、描く絵は今やにんじんだけにとどまらず、ドラえもんやミッキーマウスなどの人気キャラクター、自分自身の幼少期の写真や絵しりとりなど、さまざまなものに派生していっています。

 Instagramのストーリーズのお絵かき機能は想像以上に扱いづらいため、うまく描けず妙に味わい深い絵に仕上がってしまったり、反対に機能を使いこなして驚くほど上手な絵を描く人がいたりと、その絵柄はさまざま。

 お絵かきというシンプルな遊びは意外にも没入感が高く、ちょっとした暇つぶしになるのかもしれませんが、それにしても、「#にんじんリレー」がここまでの広がりをみせた理由は何なのでしょうか。

ハードルの低さと、参加型の楽しみ

 東京に住む女子大生のひとりは「#にんじんリレー」についてこんなふうに話しています。

「外出自粛要請が出た3月下旬の土曜日から、ストーリーズのほとんどがにんじんで埋め尽くされています。このストーリーしか出てこなくて、むしろすでに飽きたくらいです(笑)。新型コロナの影響で友達と直接会いづらくなっているので、人と接している感じが得られたり、コミュニケーションのきっかけになったりしているのではやっているのかなと思います」

 Z世代の若者に対する定期的なヒアリングや流行の調査・分析を行っている私たち「Z総研」としては、Z世代の発信力やクリエーティブな性質が今回の流行を後押ししたのではないかと考えます。

にんじんだけでなく、イラストでしりとりをする「絵しりとり」も人気(画像:Z総研)



 Z世代は生粋のデジタルネーティブ。初めて手にした携帯はスマートフォン、という人も少なくありません。SNSもはじめから発達していた彼らは情報を受け取るだけでなく自ら発信する能力にたけています。

 人気SNSのひとつ「TikTok(ティックトック)」ではやっている「meme(ミーム)」を例に見てみましょう。

 これは、2019年にさまざまな著名人も参加して一大ブームを起こした「ボトルキャップチャレンジ」のように、ほかの人をまねして自分も投稿するというもの。その簡単さが参加のハードルを下げ、さらには自分なりのアレンジを加えられるという楽しみも相まって、次々と投稿されるようになりました。

 特に今(2020年4月現在)は、新型コロナウイルス感染拡大により東京などでは外出自粛の要請が敷かれている状況です。家の中でできることが限られているなか、おうち時間を少しでも楽しく過ごそうと考えるZ世代のクリエイティビティが、「#にんじんリレー」をはじめとする「チャレンジ系」の遊びを進化させ、さまざまな派生形を生み出していく形になったのでしょう。

かつての「チェーンメール」との大きな違い

 このような「〇〇チャレンジ」は、海外セレブの間でよく流行していたように思います。始まりとされるのは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の認知を高める目的で2014年に日本でも注目された「アイスバケツチャレンジ」です。

 セレブや有名人のまねをすることでその仲間に入ったような感覚が得られることも、このようなチャレンジがさまざまにアレンジされ、流行する理由のひとつだと思います。

 ところで、「#にんじんリレー」のように何人かを指名してほかの人へと次々に回していくという仕組みそのものは、1990年代後半から2000年代初頭、携帯電話の黎明(れいめい)期に流行していたチェーンメールとも似ているところがあります。

 しかし、チェーンメールと大きく違うのは、参加型であるということ、さらに周りの人へ悪影響を与えないという点が挙げられます。

 チェーンメールと違って「#にんじんリレー」などは、人から回ってきた内容に自分自身も描き加えるという特長があるため「はやりのものに参加している」感をいっそう強く感じられます。チェーンメールのように回ってきたものを同じようにただ回す(転送する)だけのものであれば、ここまで流行していなかったでしょう。

にんじんだけでなく、イラストでしりとりをする「絵しりとり」も人気(画像:Z総研)



 また、Z世代はデジタルネーティブということもあり、それ以前の世代より比較的ネットリテラシーが高いとも言われています。チェーンメールは時に脅迫的な内容やデマ情報などが出回ることもありましたが、このようなあからさまなデマ情報というのはZ世代には響きにくいとの指摘もあります。

 知らない誰かが流すデマまがいのチェーンメールより、仲間と一緒にクリエイトするお絵かきの方が、Z世代にとってはよほど面白みを感じられるのでしょう。

自己アピールの主戦場となる、SNSという舞台

 Z世代の多くは、自己表現の能力にたけています。インスタ映えや「いいね」の数を気にすることから、自分をよく見せることが好きだとも言われています。

 Instagramのストーリーズで指名し合うことは仲の良い友達同士という証明のようなもの。指名されればされるほど「#にんじんリレー」の投稿が増え、友達が多いという潜在的アピールにつながり、優越感を得られるのではないでしょうか。

「自分自身の個性を主張したい」という願望は、どの世代でも見受けられる若者特有の承認欲求です。それを満たすための自己アピールの“主戦場”が、今のZ世代にとってはSNSになっているのです。


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