危険がいっぱい!女性の東京暮らし、お役立ち護身防犯グッズとその誤解を解く

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危険がいっぱい!女性の東京暮らし、お役立ち護身防犯グッズとその誤解を解く

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女性の強い味方である護身防犯グッズ。そのトレンドを秋葉原にある専門店に聞きました。

実際に使うには、事前シミュレーションが必須

 毎日多くの犯罪が起こる大都会・東京。ひとり暮らしや夜のひとり歩きに不安を覚える女性も多いのではないでしょうか。

2017年度の東京23区内における刑法犯の検挙件数(画像:警視庁の統計をもとにULM編集部で作成)



 そんなときに頼れるのが護身防犯グッズです。女性にはどのようなものが人気なのでしょうか。2018年5月19日(土)にオープンした専門店「ボディーガード アキバ店」(千代田区外神田)に話を聞きました。

「ボディーガード アキバ店」の外観。お店は2階(2018年10月10日、國吉真樹撮影)

 銀座線「末広町駅」から徒歩約2分の同店。20坪の店内には護身防犯グッズのほか、武道具など約1000種類が置かれています。

「ボディーガード アキバ店」の店内の様子(2018年10月10日、國吉真樹撮影)
店内は写真撮影、SNS投稿ともに自由(2018年10月10日、國吉真樹撮影)

 今回、女性に人気のグッズを紹介してくれるのは、22歳の男性スタッフ・杉本拓哉さんです。

地方の大学を卒業後に上京した杉本さん。もともと護身防犯グッズに興味があったという(2018年10月10日、國吉真樹撮影)

「5月にオープンしたとき、ほとんどのお客さんは男性でしたが、今(10月)では女性が3割。そのため、当店では女性が気軽に相談できるよう、女性スタッフが2人常駐しています」(杉本さん)

笑顔を見せる女性スタッフ。同店の心づかいが垣間見える(2018年10月10日、國吉真樹撮影)

 それでは、さっそく紹介してもらいましょう。いったいどんなものが女性に人気なのでしょうか?

「紹介する前にひとこと言わせてください。まず、護身や防犯は『シミュレーション』がとても大切です。グッズを持っていても、いざというときに取り出せない、使えないと意味がありません。そのため、グッズを買う際は利用シーンをしっかりイメージして下さい。

 それに加えて、グッズを持ち運ぶときには必ず取り出しやすい場所に入れておくこと。利き手が右手の人はバッグやポケットの右側に入れてください。この2点がとても大切です。あと、護身や防犯の基本は『逃げる』ことで、相手と『戦う』ことではありません。腕に自信があっても必ず逃げて下さい」(杉本さん)

 なるほど分かりました。それでは改めて人気のグッズを紹介してもらいましょう。

催涙スプレーは、目を狙う必要ナシ!

 杉本さんによると、女性に人気のグッズは、催涙スプレーと防犯アラーム、スタンガンだといいます。まずは催涙スプレーの説明を聞いていきましょう。

「ボディーガード アキバ店」で販売されている催涙スプレー。右が「ホワイトウルフ トルネード20」、「ホワイトウルフ リップスティック型」(2018年10月10日、國吉真樹撮影)



「左が『ホワイトウルフ トルネード20』で、右が『ホワイトウルフ リップスティック型』です。リップスティック型は、女性が抵抗なくバッグに入れられるデザインになっています。ちなみに両方とも『液状発射』タイプです。『液状発射』とは水鉄砲のように『ピュッ』と発射するもの。スプレーですから『シュッ』という霧状をイメージする人も多いですが、護身防犯には『液状発射』が効果的です」(杉本さん)

 その理由は「風の影響を受けにくい」から。暴漢に襲われたときに向かい風が吹いていた場合、霧状だと自分自身にかかってしまう可能性があるといいます。それを防ぐためにも「液状発射」が効果的なのだそうです。

トウガラシ成分で暴漢を即撃退

 容器の中に入っているのは「OCガス」で、その主成分はトウガラシの辛さの素としておなじみのカプサイシンといいます。想像するだけで涙が出てきますね……

「催涙スプレーは、相手の目を狙って発射するイメージがありませんか? でも現実にはなかなか当たりませんよね、自分も動揺しているわけですから。しかも相手がメガネをかけていたら物理的に当たりません。しかしご安心を。目ではなく、顔の一部であれば十分効果があります。液体はすぐ揮発するので、その気体が少しでも相手の目に触れれば、もう目を開けていることができません」(杉本さん)

ストラップ型のミニスプレーも。子どもが携帯するのにピッタリとのこと(2018年10月10日、國吉真樹撮影)

 ちなみに、ボタンを押すと3~4秒間発射され、その飛距離は無風時で2~3mだそうです。価格は「トルネード20」が1190円(税抜)、「リップスティック型」が2980円(同)です。

防犯アラームは逃げる方向と逆に投げる!

 それでは次に、防犯アラームについて紹介してもらいましょう。とここで、杉本さんから意外なひと言が。

「人気商品は『握ると鳴る! 防犯アラーム』ですね…………あっ、売れ切れていたんだった。すみません……」

 う、売り切れ?まさかの事態が発生です。

取材当日は売り切れていた「握ると鳴る! 防犯アラーム」(2018年10月10日、國吉真樹撮影)



「握ると鳴る! 防犯アラーム」のイメージ(画像:ボディーガード アキバ店)

「飲食店のオーナーさんが女性従業員のためにまとめ買いされたんですよね。この商品は、左右のスイッチを同時に押すだけでアラームが鳴るので人気なんです……すみません」(杉本さん)

 最近では、お店の近くにある企業が社内配布用に買っていくとのこと。それでは仕方がありません。代わりの人気商品を教えて下さい。

「防滴型防犯ブザー」と「ガーディアン エンジェル 防犯ブザー」(2018年10月10日、國吉真樹撮影)

「分かりました。このふたつですね。左が『防滴型防犯ブザー』、右が『ガーディアン エンジェル 防犯ブザー』です。左は防水タイプで、ピンを引っ張るとアラーム音が鳴ります。こちらはピンが本体から抜けますが、『ガーディアン エンジェル』は抜けないタイプになります」

 杉本さんは、防犯アラームの効果的な使い方について次のように説明します。

「防犯アラームはその場で鳴らすだけではダメ。ピンを外してから『自分が逃げる方向とは逆の方向』に思いきり投げましょう。相手はアラームの音を止めようと(または壊そうとして)、アラームを取りに行きますから、その隙に逃げるんです。

 2台持ちで、それぞれを別々の方向に投げるのも、相手を混乱させることができます。音が違うアラームであれば、なお良しですね」

スタンガンの「放電音」で威嚇する!

 最後はスタンガンです。

店内のスタンガンコーナー。銃型の商品もある(2018年10月10日、國吉真樹撮影)



「テレビ番組の影響でしょうか、これについても皆さん誤解されていて。結論から言いますと、スタンガンは相手を『気絶させる』道具ではなく、『威嚇(いかく)』する道具なんです。皆さん、スタンガンに対して怖いイメージを『潜在的』に持っていますよね。それを利用するんですよ」(杉本さん)

 同店では、販売するスタンガンを「放電光」「放電音」「威力」の3つの指標(各5点満点)で評価しています。杉本さんが今回紹介してくれたのは「国内最強」という「タイタン スタンマスター」(1万5800円)と「158」(3528円)というもの。前者は「放電光」「放電音」「威力」すべてにおいて5点、後者はすべて2点ですが小型のため、女性が持ち運びやすいという点では有利だといいます。ちなみに点数は、「当店のオーナーが自分に当てて試してみた」結果とのこと。思い切り体を張っています。

放電中の「タイタン スタンマスター」。あおり運転対策に買う人も増えているという(2018年10月10日、國吉真樹撮影)
放電中の「158」。女性にも扱いやすい小型タイプ(2018年10月10日、國吉真樹撮影)

 実際に「タイタン スタンマスター」を放電してもらうと、「バリバリバリィィィ」という、耳をつんざくような音が店内に鳴り響きました。こんなのを見せられたら、どんな人でも尻尾を巻いて逃げそうな気がします……。

警官に職質されても大丈夫

 そのほかに、次のような商品もあります。

簡単に持ち歩けるコンパクトな特殊警棒。思いきり振ると、漫画「ドラゴンボール」の如意棒のように伸びる(2018年10月10日、國吉真樹撮影)
海外の警察が使用するという「スラッパー」。合皮ケースの先端内部には金属製のおもりが入っている(2018年10月10日、國吉真樹撮影)
辞書や空き缶に見えるが、実は貴重品やコレクションをそのなかに保管できる「セーフティボックス」(2018年10月10日、國吉真樹撮影)

 ここで疑問が。警察官から職務質問を受けたときに、スタンガンや警棒などを持っていた場合、さまざまな意味で怪しまれないのでしょうか?

「女性の場合は『護身用に持っている』としっかり伝えれば、怪しまれることはまずありません。あらかじめ、そのような際のシミュレーションを行っておくのも良いかもしれません」(杉本さん)

「まさか自分が」にならないために

 杉本さんは最後にこう話してくれました。

「東京はとても魅力的な都市ですが、危険も多い。犯罪にあった人は誰しも『まさか自分が』と思っているはず。護身防犯グッズを買うだけでなく、オートロックの物件を選んだり、1階に住むのは避けたりと、さまざまなことに気を付けてくださいね」

 自分の身を守るのは自分ーー。まずはそう心得ることが大切になりそうです。それにしても、あのスタンガンの音は夢に出てきそうです……。

●ボディーガード アキバ店
・住所:東京都千代田区外神田6-12-5 長谷川ビル 2F
・交通アクセス:東京メトロ銀座線「末広町駅」から徒歩約2分、JR秋葉原駅から徒歩約10分
・営業時間:11:00~20:00
・営業日:年中無休

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