会社に属して働くことの価値とは? 新型コロナと「在宅勤務」を機に考える

新型コロナウイルス感染拡大で、在宅勤務という「疑似フリーランス」を経験している人が増えています。その今後について日沖コンサルティング事務所代表の日沖健さんが解説します。

新型コロナがきっかけになるか

 新型コロナウイルスへの対応で、テレワークや在宅勤務を導入する会社が増えています。

 特に2020年3月25日(水)夜に小池都知事が緊急会見を行い、都民に対して不要不急の外出を控えるだけでなく、平日も仕事はできるだけ自宅で行うよう要請したことから、都民は働き方の変更を迫られています。

 今のところテレワークや在宅勤務は、新型コロナウイルスという危機に対応するための時限的措置という位置づけです。ただ、これをきっかけに、都民・日本人の働き方が大きく変わるかもしれません。

フリーランサーのイメージ(画像:写真AC)



 いろいろと予想される変化の中から、「フリーランサー化」という現象について考えみましょう。フリーランサーとは「特定の組織などに属さず、独立してさまざまなプロジェクトに関わり自らの専門性などのサービスを提供する、多様で柔軟な働き方」(内閣府)です。

今後、世界の潮流に

 つい1か月前まで、東京など首都圏に働く多く人にとって、どこかの会社に所属し、電車など公共交通機関を使って通勤し、9時から17時までとか決められた時間を働くというのは、ごく普通のことでした。

 ただ世界的にフリーランサーが増加しています。

フリーランサーのイメージ(画像:写真AC)

 アメリカでは、全労働者の35%に当たる5670万人がフリーランサーとして働き、その収入は建設・交通など主要産業の規模をすでに上回っています(米UpWork「Freelancing in America 2019」)。

 今後も会社員は減る一方、フリーランサーは増え、2027年にはアメリカの労働者の半数がフリーランサーになる予測されています。

タニタがけん引する「フリーランサー化」

 日本のフリーランサーは341万人とアメリカに遠く及びませんが、増加傾向です。

 フリーランサーが増えているだけでなく、会社員の働き方もフリーランサー化しています。テレワークや在宅勤務より前に、短時間勤務やフレックスタイム制が普及しており、「決まった場所で決まった時間を働く」というのは、常識でなくなりつつあります。

タニタの外観(画像:(C)Google)



 体脂肪計や「タニタ食堂」で知られるタニタ(板橋区前野町)は、社員が独立し、フリーランサーになるのを支援する制度を導入しています。今後、各社でこういう動きが活発化し、日本人の働き方はフリーランサー化することでしょう。

会社員として働くことの価値

 フリーランサー化が進むと、会社員として働くことにはどういう価値があるのか、という疑問が出てきます。世の中にとって、会社員として働くことの価値はふたつあります。

フリーランサーのイメージ(画像:写真AC)

 ひとつは、個人では対応できない大きな仕事ができるということです。例えば自動車は1台当たり2~3万点の部品で作られており、個人が組み立てるのは物理的に困難です。多数の作業員が役割分担して共同作業をする必要があります。

 もうひとつ、イノベーション(革新)を起こしやすいというのも、大きなメリットです。イノベーション、例えば新商品開発は、研究者がひとりでじっと考え込むよりも、多数の研究者が自由闊達(かったつ)にディスカッションする場で生まれやすいとされます。

 もちろん、フリーランサーが集まってプロジェクトを組んで自動車組み立て作業や新商品開発に取り組めば良いではないか、という考えもあります。理屈はそうですが、プロジェクトを企画し、フリーランサーを募集し、作業の進捗(しんちょく)を管理し、というのは調整の手間・コストがかかり過ぎます。

 組織を作ってメンバーを固定化すると、コミュニケーションが円滑になりますし、知識・ノウハウが蓄積されます。それによって調整の手間・コストが下がるというのが、会社員として組織で働く価値なのです(以上は、「コースの定理」という経済学の理論です)。

捨てがたい「所属欲求」「収入」

 逆に、多数の作業者を必要としない小さな仕事、これまでと同じやり方をするような仕事は、フリーランサーの方が向いていると言えます。この2点だけではないでしょうが、会社員に向く仕事とフリーランサーに向く仕事があるということです。

いまだ大企業信仰が強い日本(画像:写真AC)

 なお、以上は社会から見た会社員という働き方の価値で、働く側から見ると、所属欲求の充足や収入の安定といった価値があります。

危機を発展につなげたい

 今回、多くの会社員が期せずしてフリーランサーを疑似体験しています。ネットにはいろいろな感想が寄せられています。

「通勤もないし、好きな時に仕事ができて、意外と快適」
「ネット環境が良くなったといっても、やっぱり何かと不便だな」

フリーランサーのイメージ(画像:写真AC)



 この体験から、新型コロナウイルスが終息した後も見据えて、以下の観点から自分自身の働き方を見つめ直すのはどうでしょう。

・あなたの仕事のうち、会社員の立場でやった方が良いもの、フリーランサーとしてやった方が良いものは何ですか?
・あなたは会社員の働き方に強みがありますか、フリーランサーの働き方に強みがありますか?
・あなたは将来、会社員的な働き方をしたいですか、フリーランサー的な働き方をしたいですか?
・あなたは会社員またはフリーランサーとして、仕事の生産性をどう上げますか?

 新型コロナウイルスを災難・悪夢で終わらせず、日本人の働き方を変える発展のきっかけにしたいものです。

【資料】2019年12月にフリーランス協会が公開した「副業解禁企業12社の運用制度に関するリポート」を見る

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