買い占めはNG 新型コロナ禍で思い出す「平成の米騒動」とタイ米の記憶
2020年3月26日
ライフ新型コロナウイルス騒動で相次ぐ「買い占め」。そんなときこそ、思い出さなければならない出来事があります。平成の米騒動です。ルポライターの昼間たかしさんが解説します。
27年前に日本を襲った大危機
新型コロナウイルスの流行で、東京の街には不安が渦巻いています。とりわけ恐ろしいのは、新型コロナウイルスそのものよりも、物資の不足でしょう。
マスクは相変わらず入手困難。これに加え、「トイレットペーパーがなくなる」というデマが流れ、多くの人が急いで買いに走った結果、店頭から消えてしまう騒動も起こりました。また残念なことに、トイレットペーパーだけでなくカップラーメンなどの保存食も店頭から一時的に消えてしまいました。
さらに小池百合子都知事が3月25日(水)、今週末の不要不急の外出自粛を要請しました。しかし東京は交通網が非常に整備された街で、容易に食糧危機になるとは到底考えられません。
しかし不安になるのが庶民感情というものですから、理解できないことはありません。なぜならば今の40代くらいまでの人は、「いつも食べているものが不足する」ということを一度経験しているからです。

そう、1993(平成5)年に起こった平成の米騒動です。
米がひと粒も収穫できない地域も
1993年の夏は、日本人があまり体験したことのないような寒い夏でした。原因は1991年のフィリピン・ピナツボ山の噴火といわれています。
また梅雨も例年より長く、気象庁は梅雨明け宣言を一度発表したものの、8月下旬になって取り消すという異常な事態が発生しました。夏の気温は平年より2度、ひどいところになると3度下がりました。
日本各地で行われている稲作には、夏の太陽が当然欠かせません。太陽にカンカンに照らされることで、秋に稲穂が実るのです。

秋になって寄せられる「作況指数」は、ひどいものでした。
作況指数は平年を100として示すものですが、全国で著しい不良の水準となる90を大幅に下回る74が平均値に。とりわけ東北地方では青森県28、岩手県30、宮城県37という大凶作になったのです。中でも青森県の各地では数値が0、米がひと粒も収穫できない地域が続出しました。
秋を迎えたにもかかわらず田んぼには青々とした稲があるという、不気味な光景が10月になっても見られました。
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