寒い時期なのになぜ? 東京で「そうめん専門店」が急増している7つの理由

これまでラーメンやそば、うどんなどの人気に押されていたそうめんですが、近年新店オープンが続いています。その背景について、そうめん研究家のソーメン二郎こと、テリー植田(イベントプロデューサー)さんが解説します。


通年で楽しめる専門店が都内に急増

 そうめん研究家のソーメン二郎こと、テリー植田(イベントプロデューサー)です。

 ここ数年、そうめんの話題を多く聞くようになっていませんか? 夏にはテレビ番組の特集をたびたび見たり、スーパーや百貨店、専門店などの小売店で全国ご当地のそうめんを見かけるようになったり、ラジオで話題になったり、ネット記事で読んだりすることも増えたのではないでしょうか?

 実際、私もソーメン二郎として多くのメディアに出させていただくようになり、その「ワイワイ感」を実感しています。

そうめんのイメージ(画像:写真AC)



 2019年は冷夏だったこともあり、そうめん業界もめんつゆ業界も7月は大苦戦。8月の残暑で少し盛り返すのが精いっぱいでした。私も7月にテレビ番組で企画していた番組がいくつか実現せずに流れてしまいました。

 一方、東京都内では秋冬になってそうめん専門店が急増しています。私が把握しているだけでも現在13軒あります。夏に家庭で食べるイメージが強かったそうめんですが、通年で楽しめる専門店が現在増えているのです。その理由は、次の7つ。

1.ラーメン、うどん、そば、パスタの次の麺は、そうめんしかない
2.オリンピックを前に、外国人観光客を狙っている
3.新しいレシピが出てきた
4.夏が前倒しになり、ゴールデンウィークから9月まで暑い
5.そうめん売り場の拡大と、ご当地そうめんの再認識
6.既存のそうめん専門店の成功
7.メディア露出の増加

 それでは、私なりにひとつずつ内容を検証していきます。

ブームけん引する店舗のレシピは800種類以上

 まずは、「ラーメン、うどん、そば、パスタの次の麺は、そうめんしかない」の考察から。

 ラーメンブームは言うまでもなく、日本人はもちろん外国人観光客にも今や定番の日本食で、海外への出店もめざましいです。つけ麺ブーム、ラーメン二郎ブームが起こり、煮干しラーメン人気も続いています。

 うどんについては、1988(昭和63)年に香川県で始まった讃岐うどんブームがありますね。田舎町のうどん屋に大行列ができ、セルフ方式で食べるシステムも面白く、香川県からついた讃岐うどんの火が、はなまるうどん、丸亀製麺などの讃岐うどん専門店のチェーン化につながりました。

 同年10月頃からイタリアンレストランが増え始め、「イタめし」という言葉が生まれました。この空前のブームでスパゲティはパスタになり、家庭でもパスタが食べられるようになり

そうめんの可能性

 一方、そうめんは、

・伝統的な歴史があり細く美しい麺は、外国人に人気となる可能性があるのではないのでしょうか?
・しかし、しょうゆ系のめんつゆにセパレートのそうめんをつけて食べるのは、難易度が高いのではないでしょうか?
・お中元でもらってばかりで家庭で食べていたそうめんが、外食産業として成立するのか?

そんなネガティブな声が聞こえてきそうですが、ご当地そうめんを使ったそうめん専門店はここ数年で確実に増えているのです。

 そうめんブームの火付け役である「阿波や壱兆」は本家(中野区東中野)に始まり、「肉とそうめん 阿波や壱兆はなれ」(同)、「阿波や壱兆 バイパス店」(杉並区阿佐谷南)、「肉とそうめん 五反田阿波や壱兆」(品川区西五反田)、「銀座 阿波や壱兆」(中央区銀座)など、計6店舗あります。

「阿波や壱兆」の外観と半田そうめんを使った「すだちそうめん」(画像:テリー植田)



 コシの強い極太麺である徳島の半田そうめんを使った斬新なレシピには、限りがありません。本家では毎日のようにメニューのレシピが変わり、なんと800種類以上あるといいます。具沢山、ぶっかけスタイルでいただけるのです。

歌舞伎町のど真ん中にもそうめん店

 香川県の小豆島そうめんのブランド「島の光」を使ったインスタ映え必至の美しいレシピで大人気なのは、「そそそ」(渋谷区恵比寿西)。ロック・フェスティバルとして知られるサマーソニックのフードコートにも出店し長蛇の列を記録したのが2019年の夏です。

 大井町の「そうめん屋 はやし」(品川区大井)では、奈良県の三輪地方で生産されている三輪そうめんを使ったランチが食べられ、姉妹店である「西麻布 〆る」(港区西麻布)は三輪そうめんと高級食材のトッピングで異次元そうめんレシピが楽しめます。

 最近オープンしたばかりのそうめん専門店も。西荻窪駅から少し歩いた住宅街にある季節の丼とにゅうめんの店「MAHOROBA」(杉並区西荻北)では、「そうめんバーガー」(フライドチキン/フライドフィッシュ)を新メニューとして発売し、人気のようです。半ゆでしてオーブンで焼き上げた新食感の手延べそうめんで具材が挟まれ、特製かつおぶしソースが絶妙にからむ逸品。極細麺の三輪そうめんなどご当地のそうめんも食べられます。

サマーソニックのフードコートにも出店した「そそそ」のそうめんと、「MAHOROBA」の「そうめんバーガー」(画像:テリー植田)



 11月には、新宿歌舞伎町のど真ん中に「素麺屋 糸」(新宿区歌舞伎町)がオープンしました。ゴージャスな内装で小豆島そうめんと三輪そうめんが選べ、冷たいそうめんや温かいにゅうめんのアレンジメニューが豊富。

まだまだ都内にあるぞ

 高円寺には「そうめん酒場 露 ARAWA」(杉並区高円寺南)がオープンしたばかり。お酒が飲めるおつまみメニューとともに三輪そうめんのアレンジメニューが気軽に楽しめます。

 そして、新宿歌舞伎町ゴールデン街の「ソーメン二郎のそうめんBAR」は土日の昼から夕方だけ営業する間借りスタイルで、お酒のつまみになるそうめんメニューを提供しています。

「ソーメン二郎のそうめんBAR」の様子(画像:テリー植田)

 西新宿には、台湾のにゅうめんと言われる「麺線」が食べられる「台湾佐記麺線&台湾食堂888」(新宿区西新宿)があります。レンゲで食べる台湾式煮込みそうめんが人気メニューで、具沢山でとろみあるカツオだしが香る台湾屋台の定番品です。

 ちなみに関西では、北新地に愛媛の五色そうめんを使ったメニューが食べられる「五色そうめんBar ぶろんれちゅ」(大阪市)がオープンし、「博多 元祖中洲そうめん 臣屋」(福岡市)は、飲んだ後に「〆そうめん」を食べるお客さんで大人気。

 以上、全国的にそうめん専門店が毎年できており、これはそうめんの歴史初の現象といえます。

「外に持って行く」という新しい食習慣

 さて、そうめん専門店が急増したそのほかの理由ですが、

2.オリンピックを前に、外国人観光客を狙っている
3.新しいレシピが出てきた
4.夏が前倒しになり、ゴールデンウィークから9月まで暑い
5.そうめん売り場の拡大と、ご当地そうめんの再認識
6.既存のそうめん専門店の成功
7.メディア露出の増加

のとおりです。

「オリンピックを前に外国人観光客を狙っている」説。東京の外国人観光客は空前の数を記録しており、2020年の東京オリンピックイヤーの外国人観光客の見込み数は4000万人です。彼らの大半はラーメン、うどん、そばを知っていますが、2020年に「次のジャパニーズ・ヌードル」を食べてみたい需要が高まるのではないでしょうか。

料理レシピサイトに掲載されたそうめん弁当のレシピ(画像:クックパッド)



 では「新しいレシピが出てきた」は、どうでしょうか。家庭向けではオリーブオイルと天然塩で食べるレシピや、離乳食としてのそうめんレシピが、料理レシピサイト「クックパッド」を中心にネットで話題になりました。その後、運動会用などに「そうめん弁当」が母親たちの間で流行。家庭内で食べるこれまでの定番スタイルから脱却し、「外に持って行く」という、新しい食習慣が生まれたのです。

天気はそうめんの味方であり、敵

 さらに「夏が前倒しになり、ゴールデンウィークから9月まで暑い」という天気の話が売り場に影響を与えています。ゴールデンウィークにはもう夏日になりTシャツで歩けるくらいの日も多くなりました。

 暑さが年々前倒しになるにともない、スーパーや百貨店のそうめん売り場が早いところでは4月末のゴールデンウィーク前に立ち上がっています。つまり、4月末から9月上旬までの半年間弱の期間、そうめん売り場が存在するようになっているのです。

 売り場拡大とともに揖保の糸をはじめ、三輪そうめん、小豆島そうめん、半田そうめん、島原そうめんなどの全国のご当地そうめんが店頭に並ぶようになりました。天気の影響がそうめん売り場面積の拡大を生み、仕入れラインアップを増やし、ご当地そうめんの再認識につながっていくようになったのです。冷夏になったり、暑さの前倒しだったりと、天気はそうめんの味方であり、敵でもあるのです。

「既存のそうめん専門店の成功」の事例が大きな理由のひとつになるでしょう。ご紹介したそうめん専門店「阿波や壱兆」、「そそそ」のような大人気店が生まれ、それに続けとフォロワー店が増加する現象に今まさになっています。

 そして、何と言ってもここ数年、そうめん特集がメディアで組まれることが多くなったことも、そうめんの魅力の波及や見直しにつながっているのだと感じています。

 ということで、早速お店に足を運んでみてはいかがでしょうか。


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