本日開業「高輪ゲートウェイ駅」 最先端技術と「明朝体」問題が同居、未来は一体どうなる?

3月9日に報道公開された、約半世紀ぶりに誕生する山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」の今後の課題について、フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


ゴシック体の持つ視認性の高さ

 ゴシック体は明朝体と並ぶメジャーな書体で、縦・横の太さが均一になるため装飾性がなく、それが視認性を高める効果につながっています。

 いわば、ゴシック体は「誰にでも読みやすい」「識別しやすい」という特徴があります。

 そのため、不特定多数の人が往来する駅の表示はゴシック体が採用される傾向が強いのです。

 報道公開の映像を目にした視聴者からは、「明朝体は読みにくいのではないか?」「明朝体の駅名標示は、デザイン的にもダサい」といった声が出ています。

開業前の高輪ゲートウェイ駅は、駅構内はもちろんこと、駅前広場などにも入ることはできない。取り付け道路で通行止めになっている(画像:小川裕夫)

 JR東日本は高輪ゲートウェイ駅を「次世代型の駅」と位置づけており、あらゆる面で力を入れてきました。また、高輪ゲートウェイ駅の設計を担当した建築家・隈研吾さんは和風の駅舎をイメージし、明朝体の駅名標示も駅舎に合わせて採用されたようです。

 JR東日本は交通バリアフリー法にもとづき、サインマニュアルを制定しています。駅名標の書体は、それらにのっとって決定しています。マニュアルには視認性についての規定もありますが、特にゴシック体が義務づけられているわけではありません。視認性が確保できれば、ほかの書体でも可としています。

 とはいえ、高輪ゲートウェイ駅は多くの乗降客が見込まれる山手線・京浜東北保線の駅です。スタンダードなゴシック体の駅名標を採用した方が、万人にて見やすく、使い勝手のよい駅になったことでしょう。挑戦的とも思える明朝体駅名標示にしたことで異議が噴出し、JR東日本は出鼻をくじかれた格好になりました。

 明朝体による駅名標示の問題は、見た目のかっこよさだけの話ではありません。視認性の問題は、いわばバリアフリーの問題でもあります。「ダサい」という、センスの話に矮小(わいしょう)化できないのです。

どうなるQRコードきっぷ

 使い勝手という面では、高輪ゲートウェイ駅は最新鋭の技術が盛り込まれています。慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、最先端技術を用いた設備・施設を使いこなせれば今まで以上に便利で快適な駅になります。

 自動改札は、QRコードを読み取れる装置がつけられました。現在、JR東日本の自動改札機は、きっぷ裏面の磁気から情報を読み取っています。

QRコードのイメージ(画像:写真AC)

 磁気券は広く普及していますが、自動改札で回収された磁気券は産業廃棄物として処分します。そのため、処分費用が鉄道事業者に大きな負担になっていたのです。

 QRコードきっぷは可燃ゴミとして捨てることができます。そうした面から、QRきっぷの導入は「エコロジーかつエコノミー」を目指したものといえます。

 QRコードきっぷを導入することは、JR東日本にとって大きなメリットがあります。

 一方、JR東日本の駅は大半がQRコード非対応の自動改札機のままです。

 高輪ゲートウェイ駅からQRコードを読み取らせて乗車しても、ほかの駅ではそのまま下車できません。いくら高輪ゲートウェイ駅が「次世代型」といっても、ほかの駅と歩調を合わせなければ新技術は効果を発揮できません。

急がれる駅周辺の開発


【画像】3月23日から発売 「高輪ゲートウェイ駅の香り」って何?

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