本日開業「高輪ゲートウェイ駅」 最先端技術と「明朝体」問題が同居、未来は一体どうなる?

3月9日に報道公開された、約半世紀ぶりに誕生する山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」の今後の課題について、フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


ダイヤ改正の要因とは

 JR各社が3月14日(土)、ダイヤ改正を実施します。

 ダイヤ改正は社会状況・利用状況の変化に応じて鉄道の発着時刻を調整することを目的としています。

 社会状況の変化とは、私たちの生活スタイルの変化、人口の増減によるものです。

 ダイヤ改正が実施される要因はそれ以外にも、列車の運行速度向上、新駅の誕生といった要因があります。

 東京という視点で今回のダイヤ改正を眺めると、目玉トピックは約半世紀ぶりに誕生する山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」(港区港南)の開業でしょう。

工事中の高輪ゲートウェイ駅(画像:小川裕夫)



 奇抜な駅名が発表された当初、「山手線らしくない」「駅名として長すぎる」といったネガティブな声が相次ぎました。

 そうしたネガティブな声があふれても、JR東日本(渋谷区代々木)は決意をひるがえさず、開業に向けて着々と準備を進めました。

駅名が「明朝体」で話題に

 そして3月9日(月)、JR東日本は高輪ゲートウェイ駅を報道公開。その様子はテレビや新聞、雑誌、インターネットなどでも広く伝えられています。

 世間に高輪ゲートウェイ駅の映像が流れると、再びネガティブな意見が相次ぎました。

 その理由は、駅の改札口に表示された「高輪ゲートウェイ駅」という文字が明朝(みんちょう)体で書かれていたからです。

泉岳寺駅の改良工事のため、道路に植えられている樹木は伐採される(画像:小川裕夫)

 明朝体はパソコンで作成されるビジネス文書や新聞・書籍などで広く使われている書体です。

 一般的になじみのある書体ですが、鉄道駅でお目にかかることはまずありません。駅などの施設では、ゴシック体が主流です。

ゴシック体の持つ視認性の高さ

 ゴシック体は明朝体と並ぶメジャーな書体で、縦・横の太さが均一になるため装飾性がなく、それが視認性を高める効果につながっています。

 いわば、ゴシック体は「誰にでも読みやすい」「識別しやすい」という特徴があります。

 そのため、不特定多数の人が往来する駅の表示はゴシック体が採用される傾向が強いのです。

 報道公開の映像を目にした視聴者からは、「明朝体は読みにくいのではないか?」「明朝体の駅名標示は、デザイン的にもダサい」といった声が出ています。

開業前の高輪ゲートウェイ駅は、駅構内はもちろんこと、駅前広場などにも入ることはできない。取り付け道路で通行止めになっている(画像:小川裕夫)



 JR東日本は高輪ゲートウェイ駅を「次世代型の駅」と位置づけており、あらゆる面で力を入れてきました。また、高輪ゲートウェイ駅の設計を担当した建築家・隈研吾さんは和風の駅舎をイメージし、明朝体の駅名標示も駅舎に合わせて採用されたようです。

 JR東日本は交通バリアフリー法にもとづき、サインマニュアルを制定しています。駅名標の書体は、それらにのっとって決定しています。マニュアルには視認性についての規定もありますが、特にゴシック体が義務づけられているわけではありません。視認性が確保できれば、ほかの書体でも可としています。

 とはいえ、高輪ゲートウェイ駅は多くの乗降客が見込まれる山手線・京浜東北保線の駅です。スタンダードなゴシック体の駅名標を採用した方が、万人にて見やすく、使い勝手のよい駅になったことでしょう。挑戦的とも思える明朝体駅名標示にしたことで異議が噴出し、JR東日本は出鼻をくじかれた格好になりました。

 明朝体による駅名標示の問題は、見た目のかっこよさだけの話ではありません。視認性の問題は、いわばバリアフリーの問題でもあります。「ダサい」という、センスの話に矮小(わいしょう)化できないのです。

どうなるQRコードきっぷ

 使い勝手という面では、高輪ゲートウェイ駅は最新鋭の技術が盛り込まれています。慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、最先端技術を用いた設備・施設を使いこなせれば今まで以上に便利で快適な駅になります。

 自動改札は、QRコードを読み取れる装置がつけられました。現在、JR東日本の自動改札機は、きっぷ裏面の磁気から情報を読み取っています。

QRコードのイメージ(画像:写真AC)

 磁気券は広く普及していますが、自動改札で回収された磁気券は産業廃棄物として処分します。そのため、処分費用が鉄道事業者に大きな負担になっていたのです。

 QRコードきっぷは可燃ゴミとして捨てることができます。そうした面から、QRきっぷの導入は「エコロジーかつエコノミー」を目指したものといえます。

 QRコードきっぷを導入することは、JR東日本にとって大きなメリットがあります。

 一方、JR東日本の駅は大半がQRコード非対応の自動改札機のままです。

 高輪ゲートウェイ駅からQRコードを読み取らせて乗車しても、ほかの駅ではそのまま下車できません。いくら高輪ゲートウェイ駅が「次世代型」といっても、ほかの駅と歩調を合わせなければ新技術は効果を発揮できません。

急がれる駅周辺の開発

 そのほか、高輪ゲートウェイ駅では省人化を徹底するべく、人工知能(AI)やITをフル活用。ロボットが案内・警備・清掃を担当します。

 同じく駅売店は無人店舗となり、支払いはスマートフォンなどに搭載されたキャッシュレス機能がフル活用されます。

無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」(画像:JR東日本スタートアップ)



 未来を感じさせる高輪ゲートウェイ駅は開業を迎えますが、一方で駅周辺はいまだ開発途中です。JR東日本も2020年に駅を開業、2024年に「まちびらき」としています。

 2024年のまちびらきに合わせるべく、高輪ゲートウェイ駅と隣接する京急電鉄・都営地下鉄浅草線の泉岳寺駅でも駅の改良工事が始まっています。

 駅名は異なりますが、泉岳寺駅は高輪ゲートウェイ駅の目の前にあり、ほぼ同じ駅です。

 高輪ゲートウェイ駅が開業することで、泉岳寺駅の利用者が増加することは間違いありません。そのため、駅が混雑しないように、混雑しても利用者の安全が確保できるように駅ホームの拡幅が進められています。

 ひとまず駅は開業しますが、駅前を含む周辺整備は現在進行中です。駅ビルや駅周辺に飲食店・ショップなどが充実し、街がにぎわうようになるのはまだ先のようです。


【画像】3月23日から発売 「高輪ゲートウェイ駅の香り」って何?

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