マツコ・デラックスのトークはなぜ共感されるのか? 秘密をひも解くカギは「東京」にあった
2020年2月26日
ライフテレビなどで、10年以上活躍しているマツコ・デラックス。その人気を支えるものはいったい何なのでしょうか。社会学者で著述家の太田省一さんが「東京」をキーワードに解説します。
トーク力、コメント力、演技力がある
マツコ・デラックスがいまを代表するテレビタレントであることに異論を唱える人は少ないでしょう。最初の冠番組である『マツコの部屋』(フジテレビ系)が始まったのが2009(平成21)年。それから10年以上、第一線で活躍し続けていることになります。

タレントとしての長持ちの理由は、ひとつではありません。
当初は「ゲイで女装家」という点が関心を引いた面もあったかもしれませんが、そのうちトーク力、コメント力、素人との絡みのうまさ、時々CMなどで披露する演技力など、タレントとしての多彩な才能が認められていったのは疑いのないところです。
そしてもうひとつ、豊富な知識も特筆すべきでしょう。毎回さまざまなジャンルの専門家やマニアが登場する『マツコの知らない世界』(TBSテレビ系)でも、場を盛り上げつつ幅広い知識でゲストと渡り合う姿はおなじみです。
マツコが披露する知識には、経験の裏付けが感じられます。本や学校で得た知識ではなく、自分の足で集めた知識と言えばいいでしょうか。かつて雑誌編集者でライターだったということもあってか、世間の実情にもよくアンテナを張り巡らせているのがうかがえます。
東京・近郊の街に関する知識がある
中でもそれが特にわかるのは、東京や東京近郊の街に関する知識です。「なぜそんなにいろいろな街のことをよく知っているのか?」と驚かされることが少なくありません。

例えば、『夜の巷を徘徊する』(テレビ朝日系)では、しばしばそんなシーンに遭遇します。街ブラ番組は多いですが、「高級」とか「下町」とかありがちな街のイメージではなく、どんなショッピングモールがあるとか、駅の周辺や商店街の特色など次々具体的な話が出てくるタレントは、マツコくらいしかいないような気がします。
そんな街へのあくなき興味の延長線上にあるのが、マツコが趣味だと語る東京の再開発についての妄想です。東京の地図などを広げながら、自分ならこの街をどう再開発するかを勝手に想像して楽しむのです。

New Article
新着記事
Weekly Ranking
ランキング
- 知る!
TOKYO - お出かけ
- ライフ
- オリジナル
漫画