迎賓館から妖しく光る「トンネル」へ 四ッ谷から始まるアナザー散歩

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迎賓館から妖しく光る「トンネル」へ 四ッ谷から始まるアナザー散歩

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鳴海侑

まち探訪家

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楽しい東京の街歩き。四ツ谷から新宿までって、意外と歩けるんです。まち探訪家の鳴海侑さんが解説します。

国道20号線沿いはダメ

 東京は意外とコンパクトで、「遠いだろうと思っていた場所」に気が付いたら着いていることがあります。今回紹介する四ツ谷から新宿へ向かうルートは、まさにそういう道です。私もお気に入りのコースで、何度か歩いています。

 JR四ツ谷駅は皇居の外堀を利用した場所です。上にかかる四谷見附橋や、外堀の部分だけ地上に顔を出す丸ノ内線が目を楽しませてくれます。

JR四ツ谷駅の様子(画像:写真AC)



 四谷見附橋の上を通るのは、国道20号線。国道20号線甲州街道を西に歩けば新宿ですが、ひたすら中小ビル街の中を歩くことになり、楽しさは大幅に減ってしてしまいます。

外堀通り沿いに南下

 まず、四ツ谷駅から外堀通り沿いに南下します。すると、右手にあるのは迎賓館赤坂離宮(港区元赤坂)です。元々は明治時代に東宮御所(皇太子殿下のお住まい、すなわちのちの大正天皇のお住まい)として建設されました。

迎賓館赤坂離宮の様子(画像:写真AC)

 鹿鳴館(ろくめいかん)を建築したジョサイア・コンドルの弟子に当たる片山東熊(とうくま)の手により、ネオ・バロック様式の建築となっています。戦後は財産が国に移管され、国立国会図書館(千代田区永田町)や前回の東京オリンピックの組織委員会でも活用されたそうです。迎賓館として海外からの国賓を招くようになったのは、1974(昭和49)年以降のことでした。

 現在は国賓が訪れるときを除き、本館と庭園に10時から17時の間、申し込み不要で入ることができます。大人の参観料金は1500円。入れるかどうかは、迎賓館のウェブサイトで確認できます。

幻想的なトンネルのような空間に遭遇

 さて、迎賓館の右手を通る外堀通りをさらに進んでいくと下り坂になり、赤坂御用地の森が左に見えてきます。

 天皇・皇后両陛下と敬宮(としのみや)さまは2021年、吹上御所(現在は一時的に吹上仙洞御所)が改修されるまでは、この赤坂御用地の赤坂御所に住まわれています。また移られたあとには上皇・上皇后陛下が移られ、赤坂仙洞御所になる予定です。

 赤坂御所地を左に見ながら、南元町交差点で右に曲がり、少し細い道に入っていきます。

 少し歩いたところにあるのが首都高速4号線の高架橋で、その下に道路が通っており、不思議な空間が広がっています。高架下のようで、どこかトンネルのような空間。オレンジ色のナトリウムランプが、どことなく幻想的な雰囲気を生み出しています。

首都高速4号線の下にある道路(画像:(C)Google)



 平日昼間に通りがかると、タクシーがここでよく休んでおり、ほっと一息つけるような場所なのかもしれません。

突如『君の名は』の聖地が現れる

 首都高速4号線の横には中央線が通っており、一気にどちらの下もくぐってしまうと住宅街の中に出ます。しかも山手線の内側であることを忘れるような住宅街。新しいマンションや古い家もあり、道なりに進んでいくと、両側に丘がだんだん迫ってきます。

須賀神社に続く階段の様子(画像:写真AC)

 そしてゆるやかなカーブを抜けた先の左手に、階段の見える道が見えます。この階段が新海誠監督の映画『君の名は』の重要なシーンで出てきた階段で、「聖地」として多くの人が訪れた場所です。階段を上がって右に行くと須賀神社(新宿区須賀町)があり、神社には須佐之男命(すさのおのみこと)と宇迦能御魂神(うかのみたまのみこと)が祭られています。

かつての花街も今や飲み屋街に

 再び先ほど歩いてきた道に戻ると、間もなくして右手の丘を上がり始め、国道20号線に出ます。国道20号線を渡り、左へ折れて少し西へ進むと、右手に荒木町の飲み屋街が現れます。

荒木町の位置(画像:(C)Google)



 荒木町は元をたどると花街です。江戸時代に大名の屋敷があり、中には庭園や池がありました。明治時代になって屋敷がなくなると庭園や池が近くの人々に知られ、景勝地となります。そして花街へと発展していきました。

 花街自体は戦後衰退しますが、今でも飲み屋街であり、たくさんの個性的なお店や赤ちょうちんがあります。夜にきて飲み歩くのも楽しいですが、昼に訪れて夜の様子を想像しながら歩くのも楽しいものです。

新宿御苑は長野県の大名の屋敷跡地だった

 再び甲州街道に戻り、西へ進みます。しばらくビル街の中を歩いて行くと国道20号線がトンネルに吸い込まれていきます。このトンネルの上が新宿御苑(ぎょえん)で、トンネルの左側からトンネルの上へ行くと大木戸門(おおきどもん)に出ます。

 新宿御苑は元々長野県の高遠藩を治めていた大名内藤氏の屋敷跡地で、はじめは皇室の庭園として作られましたが、戦後は国民に広く開放されました。広さは58.3ha、周囲は3.5kmもあります。広々としているため、筆者が近くで働いていた頃、時折お昼に訪れ、園内でご飯を食べていました。

冬の新宿御苑の様子(画像:写真AC)

 新宿御苑には先ほど紹介した大木戸門のほかに南側の千駄ヶ谷門、北東の新宿門があります。新宿門を出ると新宿駅東側に広がる歓楽街の端っこ。公園を出て1本北へいった通りから西へ進むとすぐに左手には世界堂やマルイアネックス、右前には伊勢丹が現れ、いわゆる新宿と呼ばれるエリアに到着します。

 四ツ谷から新宿まで歩いて巡ってみました。中央線各駅停車や丸ノ内線でも4駅ほどあり、遠いと思われがちな両駅間。歩いて見ると見どころも多く、案外すぐについてしまいます。

 少し違った新宿近辺の姿も見てみたいというとき、ぜひたどってほしいルートです。

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