都内「町中華」の相次ぐ閉店 解決策を「シューマイ目線」で考えてみた

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都内「町中華」の相次ぐ閉店 解決策を「シューマイ目線」で考えてみた

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シュウマイ潤

シュウマイ研究家

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町中華の存続は、東京のシューマイ文化の存続にも不可欠です。町中華を取り巻く課題の解決策を、シュウマイ研究家のシュウマイ潤さんが考えました。

町中華が教えてくれた「新シューマイ法則」

 全国のシューマイを食べ歩いてきた私(シュウマイ潤。シュウマイ研究家)ですが、東京のシューマイを食べる際、日本橋「小洞天」(中央区日本橋)や浅草「セキネ」(台東区浅草)など、シューマイを看板としている専門店以外では、やはり中華料理店のシューマイが大半を占めます。

 そしてその中でも、いわゆるグルメのジャンルとして近年注目されてきた「町中華」と呼ばれる、昔からその地域に根ざした、家族を中心とした個人経営の中華料理店――のシューマイを食べる割合がかなり多いです。

2019年も多数の東京の町中華のシューマイを食べ歩いた。写真は「恵比寿ちょろり」のシューマイ(画像:シュウマイ潤)



 町中華のシューマイは、まさにオンリーワン。その店でしか食べられない大きさ、具の質感、食感、うま味。ほとんどが豚肉ベースのシューマイなのですが、店ごとに微妙に趣が異なり、その店がシューマイに対してどのように愛情を注いでいるのか、が伝わってきます。

 つまり、町中華の数だけシューマイがある。特に東京においては市区町村や地域ごとに味のある町中華が存在し、その数は膨大になるでしょう。

 そしてその店の数とシューマイの数はイコールであり、その多様性こそ「東京のシューマイ文化」の特徴と言えるのではないか、と私は思っています。

 2019年も東京のさまざまな町中華の、そこでしか味わえないシューマイを食べてきました。特に2019年は、ギョーザや焼きそば、料理芸人(?)など、中華系料理に詳しいスペシャリストの人々と、町中華を巡る某テレビ番組の気分で、東京のさまざまな名店と呼ばれる町中華を巡り、新たなる名シューマイを発掘しました。

 そこで実感したのは、名店と呼ばれる町中華にはシューマイがある確率が高く、逆にシューマイがある町中華は、名店である確率が高い。東京の町中華が教えてくれた、新シューマイ法則(?)でした。

都内の名店が次々と閉店で絶句

 ただ、東京の町中華をめぐる中で、新たな課題も見えてきました。

 とある日。定期的にシューマイをめぐる企画をしていた某グルメメディアで、今回の取材先はどこにするか相談を受け、神田にある町中華「巴家」を紹介しました。中華屋というより地域に根ざした居酒屋という雰囲気が漂い、小ぶりのあっさり目のシューマイは、焼酎水割りなどでちびちびやると最高でした。

 しかし、アポイントをとろうと連絡した担当編集者から一言。「閉店したみたいです」。あの小ぶりのシューマイを2度と食べられない。一瞬、目の前が真っ暗になりました。

 別の日。知人が八王子駅周辺で用があるといい、夜ご飯にシューマイを食べたいので紹介してほしいと言われ、某ミュージシャンが昔通ったことで知られる町中華「宮城」を紹介しました。中ぶりでほどよい肉感で食べ応えあり、ビールがすすむ一品でした。

八王子にあった「宮城」のシューマイ(画像:シュウマイ潤)



 私も久しく行ってないなあ、食べたいなあ、と思っていた夕方過ぎ、知人から連絡があり、「閉店しているよ」。あの肉感を2度と味わえない。がくぜんとしました。

 前出の、中華系料理のスペシャリスト軍団と町中華をめぐる中でも、周辺の開発や他の飲食業態の台頭、後継者不在などの影響で、東京の名店と呼ばれる町中華でも存続が難しい店が決して少なくない、ということがよく話題に上がりました。

シューマイの活性化が、町中華の活性化に

 町中華は、中華料理というジャンルを超え、その町の「食堂」的な存在として、町の人々を家族のように受け入れ、安く、おいしいものを提供し続けてきてくれました。

 ただ、時代とともに家庭における飲食店に求めるものが変化し、町中華の「食堂」的機能は薄れつつあり、それが町中華の存続の難しさにつながっているのかもしれません。一方で、昨今の町中華ブームにより新たな側面から価値が見いだされ始めています。その追い風を生かさない手はありません。

研究家の皆さんとともに味わった、浅草「博雅」のシューマイ。なくならないでほしい(画像:シュウマイ潤)



 町中華の存続は、東京のシューマイ文化の存続にも不可欠。先に紹介した二軒のような閉店の店を増やしてはなりません。私なりに町中華を取り巻く課題の解決策を、頼まれもしないのに勝手に考えてみました。

 ひとつは、町中華の魅力の要素としてシューマイにも光をあてること。ラーメン、ギョーザ、焼きそばなどが町中華の名品として取り上げられることはあっても、シューマイが語られることはほとんどないと思うので、「微風」ではありますがシューマイもその仲間に加えていただき、前出の「シューマイある町中華に名店あり」を声高に語っていきたいと思います。

 もうひとつは少し経営戦略的ですが、町中華シューマイの飲食チェーンでの商品化です。最近、ラーメンチェーンで人気ラーメン店のオマージュのようなメニューが出されることが増えていますが、ぜひそのひとつに「あの名店町中華のシューマイ」も加えてほしいです。その監修費で町中華に店舗営業以外の収益が上がり、存続の基盤となります。飲食チェーンも競争が激しいでしょうから、その差別化要因として町中華ブランドを生かし、そのひとつとしてシューマイを組み込んでみてはどうでしょうか。

 他にもアイデアはありますが、長くなりそうなので、続きは2020年の別の機会に。東京のシューマイの活性化が、町中華の活性化につながる。そう信じて、私は2020年も東京でシューマイを食べ続けようと思います。

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