肉じゃが、みそ汁……嗚呼、思い出す「おふくろの味」! 東京の下町人情描く『しあわせのひなた食堂』

年間読書量が5000冊を超える書店員で漫画評論家のマロン正紀さんが、おすすめの一冊を紹介します。今回は、「どこにでもある幸せ」が「どこにも無くなった」この時代に読みたい「ごはん漫画」です。


家族で食卓を囲むことが当たり前ではなくなった

 仕事や学校が終わって家に帰ると、あったかくていい匂いがするご飯があって、家族みんなでそれを食べる。今日あったことをそれぞれしゃべったり、テレビを見たり、その場面はそれぞれの家庭によって違いますが、この「晩ごはんの風景」はきっと少し昔はどこにでもあった幸せな時間だったのだと思います。

『しあわせのひなた食堂』の表紙(画像:小学館)

 そんなどこにでもあったはずの幸せな時間ですが、最近はあまり見られなくなったと聞きます。ごはんは家族別々にひとりで食べる。それが当たり前の時代になってきているようです。

 そんな今の時代に、「ごはんを食べること」を中心とした幸せを描き続ける一人の漫画家います。彼の漫画は多くの人に求められいくつもの雑誌などで連載されています。

 その漫画家の名前は魚乃目三太(うおのめ・さんた)。名前は知らなくても絵を見れば「あっ? 知ってる」という方は多いのではないでしょうか。

『戦争めし』(秋田書店)、『車窓のグルメ』(日本文芸社)、『しあわせゴハン』(集英社)などなど本当に多くの人気作があるのですが、今回はその中で2015年~2016年に女性週刊誌「女性セブン」で連載された『しあわせのひなた食堂』(小学館)をご紹介したいと思います。

 物語の舞台となるのは、東京下町の曳船(ひきふね。墨田区東向島付近の通称地域名)にある小さな食堂「ひなた食堂」。

 メニューは日替わりの定食のみという少し変わったお店です。このお店の日替わり定食は、5歳の長男と1歳の赤ちゃんの面倒を見ながらお店に立つ照子さんが毎日作る「どこにでもあったはずの家庭料理」なのです。

 しょうが焼き、肉じゃが、みそ汁、カレーライス、たけのこごはん、お好み焼き……。
 ひなた食堂に来るお客さんはそんな日替わり定食を食べてお腹と心を満たされてみんなほんの少しだけ心を救われて普段の生活に帰っていきます。

「ひなた食堂」が教えてくれること


GW10連休に読まれた、作品ランキングはこれだ!

画像ギャラリー

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