遠くに行くだけが「旅」じゃない――外出自粛で感じた、散歩という身近な「旅」の愛おしさ
2020年4月28日
ライフ外出自粛のコロナ禍で、何気ない散歩や街歩きの良さを改めて感じた人は多いでしょう。紀行ライターのカベルナリア吉田さんが自らの「散歩哲学」を通して、それらの魅力について解説します。
東京の散歩の記事を書く理由
僕(カベルナリア吉田。紀行ライター)は普段、沖縄や島を旅して、地元東京の小さな街も歩いて紀行文を書いています。しかしこの春はコロナ騒動のせいで、「旅」も散歩も我慢の日々。せめて家にいながら「散歩と旅」のことを、少し書いてみたいと思います。
そもそも僕は「沖縄」が執筆のメインテーマなので、「沖縄の本を書く人がどうして東京のことを書くの?」とたまに聞かれます。ときには「旅人じゃないの?」と聞かれることも。

東京の散歩の記事を書く理由は、いくつかあります。
まずはいま住んでいる東京について、けっこう知らないことが多いんです。だから歩いて勉強して、得た知識をほかの人にも伝えたいと思っています。あと沖縄の取材ばかりしていると、正直旅費がかさんで……(笑/涙)。余計な話ですね、これは。
とにかく東京も狭いようでけっこう広いし、実にたくさんの街があります。
そして東京に住んでいても、実際に出掛ける街はほんの数か所。銀座に新宿、渋谷に池袋、上野に品川、浅草くらい。じゃあ、それ以外の行ったことのない街を歩けば、何か面白いことがあるんじゃないかーーそう思って、東京のいろいろな街を歩いているわけです。
遠くに行くだけが「旅」じゃない
歩く街を選ぶとき、僕はまず鉄道の路線図を眺めます。

東京は狭いけれど、鉄道駅の数は全国の都道府県で一番多いんです。そのそれぞれに駅前風景があり、たぶん多くの駅前に商店街が延び、小さな居酒屋に赤ちょうちんが揺れて――そんな光景を想像すると、小さな駅で降り立って、駅前を歩いて見たくなるんですね。
なるべく特急や快速などの優等電車が止まらず、普通列車しか止まらないような、小さな駅を選びます。あとチョロッと枝分かれした支線の駅とか。そんな風にして、東京の小さな街をもう100以上は歩いたでしょうか。
駅が違えば駅前風景もいろいろで、それぞれの駅前散歩を楽しみました。そしてあるとき気づいたんです。東京に住んでいても、東京の小さな街を歩くことは「旅」なんだなと。
「旅」ってなんでしょうか。飛行機や新幹線に乗るのが「旅」? 遠い場所に行くのが「旅」? だけじゃないと思うんです。

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