80~90年代のアイドルと芸能界が描いた「空っぽな東京」

1980年代後半、空前のバブル景気を東京で目の当たりにした人たちは今、同じ東京で何を思い、何を感じ、どう生きているのでしょう。その時代を知る編集者の中川右介さんが、アイドル評論家・中森明夫氏の著作をベースに当時の東京を振り返ります。


「バブル時代」という自覚など、当時ないまま過ごしていた

 普段あまりクルマでは移動しないけど、たまに乗ったときに、 四谷四丁目交差点にさしかかると思い出す痛ましい事件があります。

 1986(昭和61)年4月、その交差点にあったビルからアイドル歌手・岡田有希子が投身自殺した、あの事件です。

 前年に松田聖子が最初の結婚をして 芸能活動を休止していた時期で、同じサンミュージック(当時・新宿区四谷)に所属していた岡田有希子がその穴を埋めるかのようにブレイクしたところでの、突然の悲劇でした。

 アイドル評論家・中森明夫氏の『青い秋』(光文社、2019年10月)には、この事件のことを描いた『四谷四丁目交差点』という短編が収録されています。

 中森氏は芸能界に近いところにいて、デビュー当時の岡田有希子にも会っていました。そんな思い出と、30年が過ぎても彼女を忘れないファンの光景などを交差させた、美しくも哀しい1編です。

アイドルのイメージ(画像:写真AC)

 後に「バブル景気」「バブル時代」と呼ばれる1980年代後半ですが、当時はそんな呼ばれ方はしていなかったし、景気がいいとの実感も、その渦中では分からなかったものです。

 ただ、華やかで、騒々しく、忙しかったのは確か。

『青い秋』は、その華やかな時代を現在の「私」が回想していく形の私小説集で、8編の短編が収められています。1970~80年代を青春として過ごした世代のひとりとして、懐かしくも、どこか胸の痛む記憶が呼び起こされる、そんな本でした。

地方出身者のための「東京物語」という物語形式


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