毎年恒例のハロウィーン、増加する「否定派」のホンネを聞いてみた

  • ライフ
毎年恒例のハロウィーン、増加する「否定派」のホンネを聞いてみた

\ この記事を書いた人 /

稲垣昌宏のプロフィール画像

稲垣昌宏

ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員

ライターページへ

10月末に控えたイベント、ハロウィーン。渋谷駅前のスクランブル交差点やセンター街で騒動が起こるなど、近年は負の側面もクローズアップされがちです。1万人を対象にした意識調査の結果を基に、ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の稲垣昌宏さんが今年の傾向を予想します。

ハロウィーン「参加したい」、過去5年で最低に

 2019年の「ハロウィーン」への参加について、消費者アンケートを実施しました。

 ご存知のとおり2018年、渋谷ではこの時期に軽トラックを倒す騒動が発生するなどし、2019年6月に渋谷区議会が場所・期間限定で路上での飲酒を禁止する条例を可決(罰則規定はない)しました。

 この結果、2019年以降毎年「ハロウィン本番の10月31日と11月1日」と、「ハロウィン前週の10月24日~30日のうち金・土・日曜日」、さらに「年越しのカウントダウンで人が集まる12月31日と1月1日」も、渋谷駅周辺など一部地域で路上での飲酒が禁止となりました。

 こうしたニュースが、このところ加熱傾向にあった「ハロウィーン」に少なからず影響を与えているのかもしれません。「ホットペッパーグルメ外食総研」では、2015年から毎年、首都圏・東海圏・関西圏の約1万人に「ハロウィーン」行事への参加予定についてインターネット調査を行っていますが、2019年の調査ではハロウィーンイベントへの参加意向が過去5年で最低となりました。

毎年ハロウィンのたびに騒動が問題になる渋谷駅前のスクランブル交差点(画像:写真AC)



 2019年のハロウィーンイベントに参加するかどうかを聞く問い(※)では、「参加したい」と答えた人の割合は3圏域の合計で21.2%。2018年の参加予定者が22.6%だったのに対し、1.4ポイント微減しています。

 コスプレや仮装についてもやや停滞傾向のよう。上記の参加予定者に、ハロウィーンイベントへ仮装して参加するかどうか聞いたところ、仮装予定者は36.9%でした。これも、この項目の調査を開始した2017年以来で最も低い数値にとどまっています。

 ただし年代・性別ごとに見ると、30代女性では参加予定者のうち52.8%の半数以上が仮装で参加したいとしており、ほかの性年代より仮装の意向が高いことが分かります。

※2019年に参加したい、ハロウィーンに関連した飲食・パーティー・イベントで「自分が企画・呼びかけしようと思っているもの」「企画はしないが参加しようと思っているもの」の、いずれかに「参加したい」と回答した人を集計。

ハロウィーン肯定派も過去最低……とはいえ6割が支持!

 日本でのハロウィーン習慣の普及について「良いと思う」「良いと思わない」の2択で質問したところ、「良いと思う」が65.3%と多数派となりました。ただし、このスコアも前年比2.8ポイント減で、過去5年でも最小値にとどまっています。

 年代別では年代が若いほど肯定派が多く、同年代を性別ごとに比べると女性の方が肯定派が多い結果となっています。これは参加予定者の傾向とも連動しており、参加意向が最も高かったのは男女とも20代。20代女性では28.2%、20代男性では28.0%という結果とも合致しています。

「ハロウィーン」で仮装することについても「良いと思う」「良いと思わない」の2択で質問しました。こちらも「良いと思う」が59.6%で多数派でしたが、やはりスコアは過去5年で最小値にとどまりました。

 普及の是非同様、仮装に対しても年代的には若い年代ほど肯定派が多く、同年代の性別では女性の方が肯定派が多いという結果が出ました。

 よく、「飲食店選び」は男性の方が女性に比べて「何度も同じ店に行きたがる」保守的傾向があるとされますが、ハロウィーンのような新しいイベント・習慣に対しても女性の方がオープンマインドなのかもしれません。

ハロウィンの仮装をした人たちのイメージ(画像:写真AC)



「ハロウィーン肯定派」(※)に、肯定する理由を聞きました。

 1位は「本来の意味と違っても日本風に楽しめば良い」で45.3%。2位は「子どものためのお祭りとして良い」で36.4%、3位は「経済効果がある」で33.9%でした。

 2位の「子どものためのお祭りとして良い」は、前年比で4.8ポイントも増加してランクアップしています。

 ちなみに、子どものいる人といない人を分けてみると、子どものいる人は「子どもが楽しむために参加したい」とする回答が43.4%と多く、「自分で楽しむために参加したい」とする人(24.6%)は、子どものいない人(29.9%)に比べて少ないという傾向でした。

 年代・性別ごとには、どの層も子どものいる人は「子どもが楽しむために参加したい」とする回答の割合が「自分で楽しむために参加したい」よりも多く、特に20・30代女性では約8割と多い結果でした。

 また、前年2位だった「たまにハメを外す機会として良い」は31.9%で、前年比でスコアを9.6ポイントも落として5位に下がりました。「たまにハメを外す機会として良い」は20~40代男性では平均に比べてスコアが高いものの、30~60代女性では逆にスコアが低く、ハロウィーンでハメを外すことに対して、厳しい姿勢が見られます。

※日本でハロウィーンを祝ったり、イベントが広まったりすることについて「良いと思う」かつ、仮装することについて「良いと思う」と回答した人

ハロウィーン否定派の言い分「騒ぐの良くない!」

 また「ハロウィーン否定派」(※)にも、その理由を聞きました。

 1位が「何かと理由をつけて騒ぐのは良くない」で57.1%、前年よりもスコアが3.3ポイントの増加でした。2位は「本来の意味や趣旨を理解すべきだ」で49.6%、3位は「自分には関係がないように思う」で47.3%。2018年の調査と比べると2位と3位が入れ替わり、日本での「お祭り騒ぎ」に懐疑的な意見がやや強まったように見受けられます。

 また「経済効果より害のほうが大きい」は27.6%と、前年に比べスコアを大きく伸ばしました。このあたりも前年の騒動の影響がありそうです。

「害のほうが大きい」と回答した人を年代・性別で見ると20~30代女性で特に多い傾向。女性の若年層は参加意向が高い一方で厳しい見方をする人も多いことが分かりました。同じ女性でも50~60代では「経済効果より害のほうが大きい」 と回答した人は逆に少なく年代により見方が分かれています。

 このように、データを見る限りは2019年の「ハロウィーン」はこのところの大騒ぎに比べると、多少落ち着いたものになるのではないかと予想されます。

 ただ、渋谷のスクランブル交差点といえば、スポーツイベント後の熱狂や世界的な観光スポットとしても有名な場所。現在、ラグビーワールドカップ2019日本大会の決勝トーナメントが行われていることもあって、日本人はもちろん海外から応援来日したファンが勝利を祝う場所として押しかけることも考えられます。

 このところ飲食店では、外国人観光客等を迎えるにあたり新たにキャッシュレス決済手段を導入したりと、環境整備を進めています。渋谷の飲食店では、条例に従って路上ではなく店内で飲食してもらえることを、切に願っているに違いありません。

※日本で祝ったり、広まったりすることについて「良くないと思う」かつ、仮装することについて「良くないと思う」と回答した人

平和で穏やかなハロウィンのイメージ(画像:写真AC)



●調査概要
調査方法:インターネットによる調査
調査対象:20~69歳の男女、首都圏は東京都(一部除外)、神奈川県(一部除外)、埼玉県(県西の一部除外)、千葉県(県東、県南の一部除外)、茨城県の一部に在住(おおむね90分通勤圏)者が対象
調査期間:2019年9月2日(月)~2019年9月10日(火)
有効回答数:10,378件(首都圏5,940件、東海圏1,586件、関西圏2,853件、各ウエィトバック後件数)

関連記事