コロナ対応が鬼速だった早稲田も苦戦? どうなる大学再開と受験シーズン到来
コロナ禍で混乱が続く都内の大学 年度末から年度初めにかけての時期に重なるように、感染が拡大した新型コロナウイルス。その勢いは、いまだ終息する気配がありません。 しかし5月末の緊急事態宣言の解除を受け、会社への通勤や学校再開など、街には徐々に普段の生活が戻り始めています。 早稲田大学(画像:(C)Google) そんななか、大学生だけが取り残されています。 当初、気温が高くなるとウイルスの感染力は弱くなると期待され、夏休み以降は徐々に対面授業が再開すると考えられていましたが、その夢はもろくも崩れ去ってしまいました。 都内の感染者数は経済活動の再開後、再び上昇。この現実に、大学側は秋以降の対応を練り直す状況に立たされています。 大勢の学生が集まるキャンパスでは、細心の注意を払っても感染リスクを完全に取り除くことは不可能なため、大学側も「構内立ち入り全面解除」「対面授業再開」に踏み出せずにいます。 行事の中止を決めた早稲田大学の動き行事の中止を決めた早稲田大学の動き 新型コロナの感染者が出始めた頃、多くの大学では卒業式の中止や大幅な縮小を発表しました。 さらに入学式も見送る大学が続出するなか、早稲田大学(新宿区戸塚)は2月27日(木)、卒業式だけでなく2020年度の入学式中止も決定。また新年度の授業開始を5月の連休明けとし、春学期中の授業をオンラインで行うことにしました。 早稲田祭のウェブサイト(画像:写真AC) 構内への立ち入り規制はその後、政府の移動自粛要請と東京都の休業要請の全面解除を契機に、6月22日(月)から緩和。 構内の立ち入り禁止は解除となりましたが、毎年夏に行われていたオープンキャンパスの開催は全面中止と、大規模イベントは軒並み見送られています。 日本最大級の学園祭を誇る早稲田祭も2020年はオンライン開催が決定しており、キャンパスライフは様変わりしています。 サークルは8月1日まで活動自粛 サークル等の課外活動自粛要請と関連施設の使用停止は8月1日(土)までで、翌2日以降に段階的に解除する方針を7月20日(月)に発表しました。 オンライン授業のイメージ(画像:写真AC) ただし条件は厳しく、練習を目的とした活動に限定し、感染者が出た場合には濃厚接触者を把握するため、代表者は活動日に参加した学生の一覧表を直ちに作成する必要があります。 参加者自身も「誰と行動したか」「どのルートで来たか」「使用した施設はどこか」を記録することを求められています。 対面授業解禁は夏休み明けから対面授業解禁は夏休み明けから 早稲田大学では7月15日(水)、秋学期(9月25日開始)は引き続きオンライン授業を基本としながらも、教室等で行う授業の再開を発表しました。 しかし早稲田大学のように、学生数もキャンパスも多い総合大学の場合、特効薬やワクチンのない未知のウイルスが構内でまん延すると感染経路を絶つのは極めて難しい状況です。 早稲田大学(画像:写真AC) そのため、大勢の学生を相手に行う授業ではなく、ゼミといった3年次以上の学生に限定されるような専門性が高く、また出席者を把握できるような少人数規模の授業のみ再開されると予想されます。 早稲田大学の秋学期以降の慎重な対応をみても、事態が急激に好転しない限り、新入生は入学から半年以上たってもキャンパスライフを楽しめないでしょう。 秋以降に求められる入試を見据えたかじ取り秋以降に求められる入試を見据えたかじ取り 夏休みが明けたら、大学は2021年度に向けた動きを活発化しなくてはいけません。総合型選抜入試(旧AO入試)や学校型推薦入試(旧推薦入試)の選考には、受験生本人が大学に来て面接を受けなければならないのです。 国際教養学部では総合型選抜入試の筆記審査日を10月25日(日)としていますが、状況によっては変更なることを試験要項に明記しています。 早稲田大学(画像:写真AC) 2月中旬以降に行われる一般入学試験は、学部ごとに入試日は異なりますが、2020年度は6万人を超す受験生が集まりました。 例年通りの入試では、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つことはほぼ不可能です。真冬に窓やドアを全開にして換気するのも難しく、今から対策を考えても時間が足りません。 コロナ禍でまだ問題をクリアしきれていないなか、早稲田大学だけではなく他の大学も秋以降は入試を見据えたかじ取りを強いられます。 見通しが立てない難しい局面に オンライン授業を導入し、少人数のゼミでは対面授業を再開する段階を迎えていますが、今後は入試を安全に行うにはどうすべきかという難問と対峙(たいじ)するときが来ています。 早稲田大学のウェブサイト(画像:早稲田大学) 2020年度の受験生は入試制度で振り回されており、大学側のいち早い対応を望んでいます。 一難去ってまた一難。急変する大学教育は受験でも大きな決断を迫られています。
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