「開かずの踏切」なぜ解消されない? 京急線事故から浮かぶ、立体交差化事業の困難
2019年9月7日
知る!TOKYO9月5日に、京急線の踏切で発生した衝突事故。その背景には「開かずの踏切」問題に始まる、立体交差化事業の困難さがあるといいます。フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。
鉄道事故の9割が、踏切関連
2019年9月5日(木)、京浜急行電鉄(京急)の神奈川新町駅~仲木戸駅間にある踏切で、電車とトラックが衝突するという痛ましい事故が起こりました。同事故により、京急本線は運休。首都圏の大動脈を担っている幹線だけに、各所に大きな影響が出ています。

今回の事故が起きた踏切は長時間にわたり踏切が遮断される、いわゆる「開かずの踏切」で起きました。詳細な事故原因はこれから究明されることになりますが、今回の事故で踏切の廃止と立体交差化が加速することは間違いありません。
踏切は道路と線路が交差する地点です。そのため、鉄道事故の9割近くが踏切および踏切付近で発生するといわれています。事故を未然に防ぐ目的で、地方自治体と鉄道会社が協力し、踏切の除去を積極的に進めています。
線路の立体交差は、以前より取り組まれていましたが。その重要性が強く認識されるようになったのは、2005(平成17)年に起きた東武伊勢崎線竹ノ塚駅(足立区)の踏切事故がきっかけでした。竹ノ塚駅の南北両端には踏切があり、ふたつの踏切は開かずの踏切として地元住民の間では有名でした。
竹ノ塚の踏切には、もうひとつ特徴がありました。
それが踏切保安員と呼ばれる、踏切を監視・操作する職員が配置されていたことです。踏切保安員は今では珍しい存在になっていますが、かつては踏切警手とも呼ばれ、あちこちに配置されていました。地元住民にとって、もっとも身近な鉄道職員でもあり、慕われる存在でもありました。
安全を確保することや鉄道の定時運行を守ることが、踏切警手の最大の使命です。いわば、踏切を横断する歩行者や自動車、電車を利用している乗客の命を預かる大事な任務を担っています。しかし、そうした重責はなかなか理解されません。
2005年の竹ノ塚事故では、踏切待ちに業を煮やした通行人が踏切警手を「早く開けろ」と恫喝。恐怖のあまり踏切警手は踏切を開けてしまい、歩行者ふたりが死亡する事故になったのです。

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