おひとりさまこそ「コワーキングスペース」に行こう 仕事をしなくても楽しめる、その魅力とは?

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おひとりさまこそ「コワーキングスペース」に行こう 仕事をしなくても楽しめる、その魅力とは?

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冨田格

ライター、編集者

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コワーキングスペースと聞くと若干「意識が高い」イメージがありますが、どうやら純粋な「おひとりさま」利用でも役に立つようです。そんな豊かな現在のコワーキングスペースについて、ライターで編集者の冨田格さんが魅力を語ります。

「おひとりさま」を楽しむ場所としてもOK

 僕は20年間の雑誌編集者生活を経て、50歳を機にフリーランスのライター・編集者として活動を始めました。オフィスで深夜まで長時間仕事をするのが当たり前という生活を長年続けてきたものですから、いざフリーになってみると大変なことに気づいたのです。

コワーキングスペースでひとりで仕事をしている様子(画像:写真AC)



 それは、自分の部屋には「誘惑が多すぎて仕事に集中できない」ということです。スマートフォンに加え、ゲームやテレビ、DVD、漫画、雑誌、そして机に向かっていても振り返ればそこにはベッド。仕事をするには絶望的に誘惑が多い環境でありながら、自宅できちんと仕事をこなしている作家さんやライターの先輩方には、尊敬の念しか湧いてきません。

 自宅では時間を浪費するばかりだと反省し、仕事ができる場所を自宅の外に探し始めました。パソコンを持ち込める図書館やカフェ、ファミレス、マクドナルドなどを一通り試してみた結果、たどり着いたのは、コワーキングスペースです。ちょうど、ノマドワーカーという言葉が流行り始め、オフィスに縛られない働き方を求める人を対象にしたコワーキング・スペースが都内に急増し始めた頃でした。

 コワーキングスペースとは、電源があって、Wi-Fiが使えて、パソコンを広げるデスクがあるという、いわば時間貸しの「大人の自習室」のような場所です。そこには僕のようなフリーランスもいれば、スタートアップの起業家たちや、オフィスから離れて環境を変えて集中したい人、資格を取るために勉強する人など、年齢性別もさまざまな大人が集まっています。

 コワーキングスペースには2種類あります。ひとつは、入会金と月会費を支払う会員限定のところと、もうひとつは、料金を払えば必要な時間だけ使えるシステム(「ドロップイン」といいます)があるところです。

 ドロップインが可能なところを回ってみたら、僕のように目の前にある現実から逃避するためのナマケモノにとって、コワーキングスペースは最適だと実感しました。

 さらにコワーキングスペースは仕事をするのに最適なだけではなく、休みの日に気楽に「おひとりさま」時間を楽しむ場所としても使えそうだと気付きました。そんなコワーキングスペースの魅力を、僕なりに分析してご紹介します。

コワーキングスペースが最高の仕事場である理由

 まずは使って実感した、コワーキングスペースが最高の仕事場である理由を挙げてみましょう。

コワーキングスペースでひとりで仕事をしている様子(画像:写真AC)



1.集中せざるをえない環境である
 誰もが無言でパソコンに向かうか本や書類と格闘していて、とにかく静かです。周囲の人が黙々と仕事をしていると、誘惑に負けやすいナマケモノも集中せざるをえなくなるのです。会話OKのところもありますが、基本は会話NGです。

2.快適な空間であること
 個人経営の小さなものから、チェーン展開している大きなところまで、さまざまなコワーキング・スペースを使ってみましたが、快適に仕事できる環境のところが圧倒的に多いです。空調・電源・Wi-Fi完備は当たり前で、飲み物の無料サービスも珍しくありません。デスクや椅子は長時間のパソコン作業でも疲れない工夫がされていたり、どこもパソコン作業や読書に適した明るさだったりと、以前勤めていたオフィスよりも遥かに快適に仕事ができることに驚きました。

3.「もったいない精神」が発動される
 先述のようにドロップインで使えるコワーキングスペースを渡り歩いてみたわけですが、自宅だとついつい無駄な時間を過ごしてしまいがちな僕ですら、利用料金がかかっているとなると態度が豹変します。「払うお金の元はとってやる」と「もったいない精神」が発動し、集中かつ効率的に複数の仕事をこなすことを考えるようになりました。

 渋谷や新橋など主要駅近くに数店舗を展開するコワーキングスペース「coin space」などは、シンプルかつ快適な内装で仕事に集中しやすい環境です。初めての人でも使いやすいので、興味のある方はドロップインで是非試してみてください。

休日「おひとりさま」にコワーキングスペースを勧める理由

 仕事をする場所として最高の空間であるコワーキングスペースですが、その空間づくりには多様性があります。

新宿「TSUTAYA BOOK APARTMENT」の様子(画像:TSUTAYA)



 例えば、外観も内装も普通のカフェにしか見えない神楽坂の「TIMES CAFE」、書店か図書館のように本が並びゴロゴロしながら読書もできる新宿東口の「TSUTAYA BOOK APARTMENT」のように、遊び心に溢れた空間づくりをしている個性的な店舗も目立ってきました。

 そんな個性的なコワーキングスペースに行くと「若い頃にこんな空間があったら、確実に週末は入り浸ってたな」と思うのです。というのも、しょっちゅう友達とつるんでいると気疲れしてひとりの時間が欲しくなるタイプの僕。今よりも遥かに時間に余裕があった若い頃、休みの日に「おひとりさま」で好きなことをして過ごすのはかなり得意でした。ひとりの寂しさを感じるどころか、「誰にも気を使わずに自分の時間を満喫できる『おひとりさま』最高!」なんて考えていたほどです。

 そんな僕が考える、「休日おひとりさま」にコワーキングスペースを勧める理由を挙げましょう。

1.休日に都内でひとりの場所を確保できる
 週末の東京の街に「おひとりさま」で過ごせる場所はなかなか見つかりません。カップル、グループ、ファミリーで溢れた街では、カフェや図書館も大混雑、落ち着ける空間を見つけるのは至難の技。ところがコワーキングスペースならば利用料を払うことで、ひとりで堂々と過ごせる空間(机と椅子)が手に入るのです。「週末おひとりさま」にとって、場所を確保できることは何より大きなポイントです。

2.週末にひとりでいることに疑問を抱かれない
 コワーキングスペースに来る大半の人の目的は、ひとりで仕事に集中するため。つまり、自分の周囲にいる人たちも、みんな「おひとりさま」というわけです。休日の混み合う店にひとりでいると、ついつい周囲から哀れみの視線を向けられているのでは? と居心地悪さを覚えてしまう人もいるでしょうが、コワーキングスペースならそんな悩みとも一切無縁。堂々と「おひとりさま」時間を満喫できます。

3.緩やかな連帯感を勝手に抱ける
 個室タイプが多い漫画喫茶・ネットカフェと違って、コワーキングスペースは開放的な空間で常に周囲には誰かがいる状態です。見知らぬ他人とはいえ休日をひとりで過ごしているいわば同士のようなもの、緩やかな連帯感が湧いてきて勝手に親しみを覚えてしまいます。また店内が明るく健康的な雰囲気の空間であることは、女性にとって嬉しいポイントになるでしょう。

あなたの時間をさらに充実させましょう

 週末をひとりで過ごすために、僕がコワーキングスペースをお勧めする理由がお分りいただけたでしょうか? 読みたかった本をじっくり読むもよし、見たかった動画をまとめて見るもよし、SNSに1日中触れていたって大丈夫です。

神楽坂「TIMES CAFE」の様子(画像:スパシアル)

 喉が乾けばフリードリンク、お腹が減ったら近くのコンビニまで外出も可能なコワーキングスペースで、週末「おひとりさま」時間を満喫されてはいかがでしょうか。営業スタイル、外出条件などは店舗によって異なります。あらかじめご確認ください。

 仕事はもちろん、プライベートな時間を楽しむために使えるコワーキングスペース。働き方改革が進み自由な仕事スタイルの需要が増えれば、さらに個性的な店舗も増えていきそうです。お気に入りのコワーキングスペースを見つけて、あなたの時間をさらに充実させてください。

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