都内で増える社内運動会、政府も後押し 社員にも会社にもメリットがたくさん

2018年10月28日

ライフ
ULM編集部

近年、都内の企業による社内運動会が盛り上がりを見せています。いったいなぜでしょうか。取材をすると、その背景にはバブル崩壊以降に日本人が失った「何か」を取り戻そうとする動きがあるのが分かりました。


スポーツ推進企業の認定制度が誕生

 成人の「週1回以上のスポーツ実施率」が51.5%にとどまっていることを受けて、スポーツ庁では2017年、「スポーツエールカンパニー」の認定制度を設けました。
 
 社員のスポーツ活動を促進する企業を「スポーツエールカンパニー」として認定することで、企業のスポーツ実施率と社会的評価を高めることが目的です。

円陣を組んで掛け声を叫ぶ社内運動会の参加者(画像:運動会屋)

 対象となるスポーツ活動は、徒歩通勤からスタンディングミーティング、社内運動会まで多岐にわたります。

「社員が元気だと、業務の生産性向上にもつながります。特に社内運動会は、開催日に向けて社内の士気や機運が高まりやすいですね」(スポーツ庁健康スポーツ課)

再び重視される社員同士の「絆」、社員研修にも

 社内運動会の企画運営を専門に手掛ける、「運動会屋」(横浜市)という会社もあります。同社代表の米司隆明さんによると、近年、東京都内の企業による社内運動会が増えているといいます。

運動会屋が国内外で開催した運動会の数。増加率は都内企業も同様の推移だという(画像:運動会屋のデータを元にULM編集部にて作成)
運動会屋が2017年に社内運動会を手掛けた企業。約6割が都内の企業(画像:運動会屋のデータを元にULM編集部にて作成)

 その理由について米司さんは次のように話します。
 
「1990年代のバブル崩壊以降、日本型経営の年功序列は否定され、多くの企業が成果主義を導入しました。それに加えて、コンピューターを軸とした業務にシフトしたため、『周囲を蹴落としてでも自分が勝たなければ』と考える社員が増え、また、社員間のコミュニケーションが少なくても仕事ができるようになりました。

(社内運動会の増加は)そうした『ひずみ』に気づく企業が増えてきたからです。2011年に発生した東日本大震災で『絆』が見直されたことも関係しています」

運動会屋が実施した社内運動会の大なわ跳び競技の様子(画像:運動会屋)

 同社が事業を始めた2007(平成19)年当時、企業の反応は一様に「社内運動会はすでに終わったもの」との認識でしたが、年月を重ねるにつれ、徐々に変化を見せていったといいます。近年では社内運動会に対する要求も、従来からの「楽しさ」重視に加えて、「一定の効果を期待するようになった」とのこと。

「M&A(合併・買収)や中途採用に積極的な企業、社員のダイバーシティー(多様性)推進を掲げる企業の増加がその背景にあります」(米司さん)

運動会屋が実施した社内運動会の玉入れ競技の様子(画像:運動会屋)

 転職市場がこれまで以上に活性化し、さらに社員の「個性」が重要視されるなか、企業が「ソリューションのひとつとして」(米司さん)社内運動会を活用していることが分かります。

「平日に『研修』として行う企業も増えています。会社を業務を止めてまで実施するという姿勢に、現代の企業のあり方を見てとることができます」(米司さん)。

 実施規模は平均300人程度で、少ない企業では30人から、全社イベントになると2万人が一堂に会することもあるそうです。

女性限定の競技に「思わぬ効果」も


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