コロナ禍で日本の「祭り」が大ピンチ 「今後なくなる」と考える人は4割も

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コロナ禍で日本の「祭り」が大ピンチ 「今後なくなる」と考える人は4割も

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アーバンライフメトロ編集部

コロナ禍でさまざまな「ニューノーマル」が生まれる一方で、存続が危惧されるものもあります。そのひとつが、各地域に古くから伝わる「祭り」です。このたび行われたインターネット調査で、「今後祭りが開催されなくなると思うか」という問いに対して、「そう思う」「ややそう思う」と答えた人は4割近くに上りました。

神田祭が中止、三社祭は台車に載せて

 働き方や暮らし方、レジャーなど生活のあらゆる面が変化した新型コロナウイルス禍。

 旅行やコンサート、外食などが軒並み中止・自粛を迫られる一方、空いた余暇時間を埋めるように、自宅で楽しめる動画視聴やデリバリーなどのサービスは活況です。「おうち時間をいかに充実させるか」という術を、私たち消費者はこの1年余りで否が応でも身に付けました。

 仕事の打ち合わせも、友達との飲み会も、ショッピングも、オンラインで代替可能となった今、それでも外へ出なければ体感できないものは当然あります。長い歴史とともに日本各地で受け継がれてきた伝統の「祭り」もそのひとつです。

過去に開催された神田祭の様子。2021年は中止を決定した(画像:写真AC)



 東京では2021年、江戸三大祭りのひとつとして隔年で開かれる神田祭(神田明神、千代田区外神田)が中止を決定(神事のみ実施)したほか、前年は神輿(みこし)をトラックの荷台に積んで街を走らせた三社祭(浅草神社、台東区浅草)は、台車に載せて各町会を回ることを決めるなど、苦肉の対応を迫られています。

 2020年はオンラインでの盆踊りなどが開催されましたが、一般社団法人マツリズム(文京区本郷)が行ったインターネット調査では、祭りはオンライン開催での代替が「できないと思う」と答えた人が85.0%。

 さらに、コロナ禍で失われる恐れがある日本文化に「祭り」を挙げる人が最多となるなど、祭りを取り巻く深刻な状況が浮かび上がりました。

「祭りは今後開催されなくなる」4割弱

 調査は2021年2~3月、20~60歳の男女400人を対象に実施。

 それによると、コロナ禍以前に地域などの祭りに参加していた人は23.3%。しかし「緊急事態宣言」が発令され外出自粛が呼び掛けられた2020年は、参加しなかったという人が92.5%に上りました。

 大きな掛け声を発し、参加者や観客が大勢集まる祭りは、コロナ禍で回避すべき要素を多分にはらんでいます。

コロナ禍の2020年、祭りに参加した人はわずか7.5%(画像:マツリズム)



 こうしたコロナ禍での変化を受け同調査では、「今後、祭りが開催されなくなると思うか」と尋ねたところ、「そう思う」「ややそう思う」と答えた人は合計38.5%と約4割に。日本文化の伝統継承を危ぶむ声が広がっています。

 一方、祭りを「無くなってはいけないもの」と感じている人は71.0%。その理由は

「日本の伝統文化だから」(78.2%)
「四季を感じるイベントだから」(44.7%)
「人を元気にするものだから」(44.4%)

と多岐にわたります。

 コロナが収束したら、祭りに参加したいと考えている人は48.1%。年代別では20代が最も多く(37.5%)、特に若い世代を中心に伝統継承への危機感や能動性がうかがえる結果となりました。

祭りの開催、東京が抱える固有の課題

「祭りの力で人と町を元気に」を掲げる同会。代表理事の大原学さんは、

「人口減少や高齢化に伴い、祭りが失われるという危機感を持つ祭りの担い手・地域はコロナ以前から多くありましたが、新型コロナを機に、その考えは祭りに参加していない人にも広がったと捉えています」

と話す一方で、

「祭りの存続が危惧(きぐ)される状況となっていることで、私たち日本人にとっての『祭りの価値』があらためて見直されのではないでしょうか」

とも。2021年4月には全国の大学生を募り、地域の祭りを応援するためのプロジェクトを発足させるなど、日本文化を未来へ継承するための取り組みを進めています。

コロナ禍では、祭り同様に花火大会も中止を余儀なくされた(画像:写真AC)



 同会に、「東京と祭り」の関係や現状について尋ねました。

 東京の場合、ほかの地域と比べて祭りの担い手が必ずしも地元住民とは限らず、地縁が無くても祭りに携わる人が多いというのが特徴だそう。「肌感覚としては(地元以外の担い手が)7~8割程度」と言います。

 そのため、平時の開催における大勢の人出や華やかな見栄えとは裏腹に、ひとたびコロナ禍のような移動制限の掛かる事態に見舞われると、自粛・中止だけでなくそもそも地元以外からの人出確保が難しくなり、祭りの運営自体が厳しくなってしまうケースもあるのだそう。

「結果、『そんなに無理し(て開催し)なくてもいいのではないか』といった声が上がり、簡略化されたり、場合によっては廃止されたりしてしまうこともあるのです」と同会担当者は話します。

コロナ禍で消滅が危惧される伝統文化

 先に紹介したインターネット調査。「コロナ禍で失われる恐れが高いと思う日本文化」を尋ねる問いでは、

「祭り」(42.3%)
「花火大会」(32.8%)
「屋形船」(29.0%)
「花見」(24.3%)
「初もうで」(18.5%)

といった回答が並びました。

「祭りは無くなってはいけないものか」との問いには、71.0%が「そう思う」「ややそう思う」と回答(画像:マツリズム)



 いずれも「決して無くなってほしくない日本文化」でもあります。

 オンラインでの代替では補い切れない魅力を持つ伝統をいかに存続させていくか、現場や関係者の模索が続いています。

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