経済力があっても学力向上にはつながらない
「我が子を賢い子に!」と望む親は多いものです。親なら誰でも気になる子どもの学力ですが、家族構成や親の年収が同程度でも、伸びる子と伸びない子がいました。経済力があっても、学力向上につながらないと確信しています。
子どもの学力や思考力、どう伸ばす?(画像:Pixabay)
東京都教育委員会が2018年7月に小学5年生と中学2年生を対象に行った「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果をみると、小学校の国語では修飾と被修飾の関係、社会では、文章で指示されている建物の方角を正しく捉えられないなどの課題が浮き彫りになりました。
これは、自分の頭の中で考えて答えを導き出す力、抽象的な思考が定着していないことを意味しています。それでは、いかに子どもの学力を伸ばしていけばいいのでしょうか。カギとなるのは、安定した親子関係、そして子どもの好奇心と忍耐力です。
賢い子とその親の特徴とは?
筆者が塾で仕事をしているときに、同じくらい裕福な家庭の子ども達を担当することがありました。塾講師として働き始めて1年目ということもあり、「裕福な家庭の子=賢い子」と勝手な先入観を持って授業をしましたが、違いはすぐに分かりました。
担当した小学2年生のA君とB君は、父親の職種が全く同じでした。長期休暇はそれぞれ海外旅行に行くなど、いわゆる裕福な家庭で育っていました。親の経済力は同じですが、A君は分からない問題があるとすぐに、「先生分からない!答え何!」と騒ぎ出します。
かたやB君は、黙々と問題に取り組みました。どうしても分からない問題があると、「ヒントを教えてください!」と直接答えを聞かず、あくまで自分で答えを出そうという姿勢だったのです。
ふたりのスタンスの違いはその後も続き、なぜここまで差が出るのか不思議でなりませんでした。しかし、A君とB君のお母さんと面談をしてその理由が分かりました。
塾に通い始めの頃は、大半のお母さんは子どもの様子などを気にするものです。しかし、A君のお母さんは、点数など子どもの結果ばかりに注目していたのです。また、A君は塾のほかにいくつもの習い事をしている影響なのか、自分から進んで考える姿勢が見られず常に受け身でした。
一方、B君のお母さんは、多くのお母さんと同じように子どもの授業態度を気にしていましたが、それ以外にもつまずいている単元や、B君がそれに対してどう対応しているのか事細かに質問してきました。「B君は答えだけを求めず、答えを導く考えを重視している」と伝えたときの、お母さんの安堵の表情を今でも覚えています。
A君のお母さんは子どもの結果だけにフォーカスし、B君のお母さんは反対にプロセスを気にしていたのです。子どもの勉強への姿勢は、特に母親の接し方でこうも変わるのかと驚かされました。
伸びる子がさらに伸びる理由
仕事を通じて分かったことですが、B君のように勉強に前向きになる子どもにはふたつの共通点があったのです。
勉強に前向きな子は、好奇心旺盛で忍耐力がある(画像:Pixabay)
共通点1:好奇心旺盛
好奇心旺盛な子は、新しい問題に出合うと目を輝かせて取り組みます。知識を吸収しようという姿勢が、結果としてさらなる成績向上へとつながるのです。
子どもの好奇心を育てるには、親がアレコレ指図しないようにしましょう。「これだけやれば良い」と言われて育つと、計算問題は解けても、あらゆる知識をフル活用するような文章題ではつまずきます。
2020年度から本格的にスタートする新しい教育改革では、今まで以上に思考力を求められます。幼児期から、親がレールを敷かず寄り道しながら、さまざまな知識や体験を重ねていくことが大切です。
共通点2:忍耐力がある
難しい問題を前にし、すぐにさじを投げる子で、成績を伸ばした子はいませんでした。「分からないから教えてもらう」では、本当の学力は育ちません。
冒頭で述べた、東京都の調査結果からも、抽象的な問題が解けるようになるには、じっくりと考えることが求められます。パッと見てパッと答える問題ばかりやっていたりすると、なかなか忍耐力はつきません。
子どもの忍耐力の有無は、その後の人生にも大きく影響します。忍耐力をつけさせたいと考えているなら、子どもに一方的に押し付けないようにしましょう。「一緒に登山しよう」「今日は(マイカー利用を控える)ノーカーデーにして歩こう」と、親も一緒に忍耐を伴う行動をしていくと、少しずつ変わっていくはずです。
口出ししないことも大切
親は子どもの行動に、つい口出ししてしまいます。しかし、親がアレコレ言うと好奇心の目を摘んだり、子どもが楽な方へ逃げたりするようになります。親から温かく見守られると、子どもはやる気が出て張り切ります。
上辺だけの結果を求めていると、子どもの成績は伸びません。結果はすぐに出なくても、地道に子どもの好奇心と忍耐力を育てていくことが大切です。