20~30代女性、想像以上に浮気性だった……あ、「外食時」の話なんです。

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20~30代女性、想像以上に浮気性だった……あ、「外食時」の話なんです。

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稲垣昌宏

ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員

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外食の頻度や利用するお店は、男女でどのような違いがあるのでしょうか。外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」の上席研究員 稲垣昌宏さんがデータをもとに解説します。

飲食店利用は週平均3回、初めての店は0.67店

「ホットペッパーグルメ外食総研」では2018年、首都圏在住の20~64歳の、月に1回以上外食する人を対象に

・どのくらい外食しているのか
・どのくらい同じ店に通っているのか(裏を返せば、新しい店を開拓しているのか)

を調査しました。

 月に1度も外食しない人は、今回の予備調査で33.1%でした。筆者のようにほぼ毎日のように外食している人間からすると、約3分の1もいるのは少しびっくりでしたが、これが世の中の平均的な姿でしょう。

外食回数は男性の方が多い(画像:写真AC)



 ここからが本題です。調査対象者に過去1週間の外食状況(朝昼晩、喫茶、飲酒など)を聞いたところ、平均で2.97回の外食を行っていることがわかりました。男性が平均3.54回、女性が平均2.41回と、男性のほうがやや多め。これは就業率に関係しているかもしれません。

 男性の内訳は、朝食が平均0.19回/週、昼食が1.35回/週、夕食以降(飲酒含む)が0.94回/週、その他(喫茶など)が0.49回/週となっています。つまり、外食回数でもっとも多いのは、ランチタイム利用というわけなのです。

 2.97回の外食で利用した店舗数は平均2.65店舗。うち、その回が初めての利用にあたるお店(初利用店)は平均0.67店でした。昼食や喫茶は、初利用店の割合が低め(つまり、慣れた店を利用する傾向)で朝食や夕食以降(飲酒含む)では、初利用店の割合が高めとなっています。

 ランチや喫茶は、家や職場・学校などの普段の生活圏で行うことが多いのが、同じ店の利用(リピート利用)につながっているのかもしれません。

男性は総じて「リピート店を使う」

 外食回数とリピート店の利用率(リピート利用率)の関係を性別・年代別に見ると、男性は総じて「外食回数が多く、リピート店を使う」傾向にあります。一方、女性は総じて「外食回数が少なく、初利用店を多く使う」傾向にあることが分かりました。

男性客は手堅い(画像:写真AC)



 仕事の性格上、飲食店から相談を受ける機会があり、お店の方から「どうしたら若い女性を呼び込めるのか?」というご質問をよくいただきます。

 もちろん、若い女性をターゲットにすることに反対しませんが、実はデータ分析をすると、20~30代女性は初使用店を使う比率がもっとも高く、新規顧客としては呼び込みやすいターゲットなのです。ただし、リピート率が低く、すぐに他の店に“浮気”する傾向にあります。

 逆に50~60代男性はリピート店の利用率がもっとも高く、慣れない店に抵抗が強い年代です。お店にとっては、一度捕まえてしまえばなかなか“浮気”をしない忠誠心の強い存在ともいえます。

横丁は女性の「テーマパーク」、男性は?

 筆者は、数年前に「横丁」の流行を予見し、その魅力について若者にインタビューを行ったことがあります。

 その時に感じたのは、若い女性は横丁に「テーマパーク」的なレジャー要素を期待しており、遠くの横丁までわざわざ出かけるのに対し、若い男性は昭和レトロ的な飲み方をするなら、「生活圏のスナックにボトルキープをして通いたい」という願望が聞けました。

 レジャー要素と「サードプレイス」(家や職場以外で自分らしくいられて落ち着ける場所のような意味)的な観点で見ると、外食に求めることが、男女でまったく異なっていることに驚きます。

 人口減少社会は、「胃袋の減少」が「外食機会の減少」に直結するため、外食産業にとっても大きな問題です。人口が減るなか、「いかにリピート客を確保するか」を、どのお店も必死に考えています。

 しかし、このデータやインタビュー結果から判断する限り、若い女性をつかむよりは、中高年男性をつかんだほうが、商売として手堅いことが分かります。

 しかも、人口比率的に、これから若者はますます減少するため、その傾向はよりはっきりしてくるかもしれません。   

“おじさんウケを狙った店”というとあまり魅力を感じないかもしれませんが、女性の就業率がどんどん上がっており、「サードプレイス」的なお店を求めるニーズは、女性でも高まってくるでしょう。

 横丁ブームの次は、ひょっとすると女性ウケのする、例えばマツコ・デラックスさんのようなママが切り盛りする「ネオ・スナック」が流行るかもしれません。

●調査概要
調査方法:インターネットによる調査
調査対象:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に住む20~64歳の男女
調査対象:夕方以降で1日2軒までの外食・中食
調査期間:2018年2月23日(金)~2月28日(水)
有効回答数:2,106件(性別×年齢5歳刻みで117サンプルずつ均等に回収)
※対象者のうち「60~64歳」について、便宜上「60代」と表記している。

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