白金は「シロガネーゼ」だけじゃない! 下町情緒あふれる「奇数番地」、再開発の波も

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白金は「シロガネーゼ」だけじゃない! 下町情緒あふれる「奇数番地」、再開発の波も

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「シロガネーゼ」の言葉を生み出した港区白金エリア。一般的にはハイソなマダムの住むイメージが強いですが、実際は下町的な色合いも強いといいます。

高級エリアのイメージが先行したが…

 港区・白金――。皆さんはこのエリアに、いったいどのようなイメージを思い浮べますか。都内屈指の高級住宅街で、そこに住んでいる女性たちは、高価な洋服やバッグを身に着け、ぜいたくな暮らしをしている……といったことを思い浮かべる人は、少なくないでしょう。

白金の街並み(画像:photolibrary)



 こういったイメージは、1990年代後半の流行語で、白金や隣接する白金台に住むおしゃれなマダムを意味する「シロガネーゼ」によって作り出されたといっても過言ではありません。
 
 実際、この言葉の誕生後、周辺のエリアにはレストランやカフェ、高級な洋服やファッション小物の店などが増えたといわれています。

 白金と白金台には、服部時計店(現セイコーホールディングス)の創業者・服部金太郎の邸宅や日立製作所創立者・久原房之介の旧邸(現・八芳園)、高松藩松平家の下屋敷、旧朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)などがあり、高級住宅街のイメージを彩る要素は多いです。

 また、目黒通りや外苑西通り、白金北里通りなど、交通量の多い道路に隣接しているにもかかわらず、エリア内が静かで落ち着いている雰囲気であることも、そのイメージを加速させています。

多い町工場、再開発の進む白金1丁目

白金台にある東京都庭園美術館からの眺め。奥に高層マンションが見える(画像:画像AC)

 このようなイメージに異を唱える人がいます。白金に住んで20年、地元ウェブメディア「白金タイムズ」を運営する須佐直人さんです。

「白金台と白金の偶数番地(2、4、6丁目)は落ち着いた住宅街ですが、奇数番地(1、3丁目)は下町感が顕著。昔ながらの白金を残すエリアですよ」

 白金は1丁目から6丁目まであり、その中の1丁目と3丁目が「下町的」であると須佐さんは指摘します。

「1丁目と3丁目は、古川(港区の天現寺橋から河口間の4.4kmを流れる川)と白金北里通りに挟まれたエリアで、印刷所や町工場が今も多く残っています。住民の高齢者率は高いですが、1丁目の再開発でタワーマンションが複数建設される予定のため、今後、人口は増えていくでしょう」(須佐さん)

白金1丁目に立つビル群。左から「白金タワー」、「白金高輪ステーションビル」、「NBFプラチナタワー」(画像:画像AC)

 1丁目には現在、タワーマンション「白金タワー」(2005年9月竣工)と、超高層オフィスビル「NBFプラチナタワー」(同年11月竣工)がありますが、再開発により、さらにタワーマンションが密集する土地になると予想されています。

抜群に良い治安、祭りも多い

白金に残る下町情緒あふれる個人店(画像:白金新聞)

 もうひとつの地元ウェブメディア、「白金新聞」副編集長のMさんは次のように話します。

「以前は、初めて会う人に『白金が地元』というと『お金持ちですね』とよく言われたものです(笑)。『シロガネーゼ』という言葉のイメージはそれぐらい大きかった。かつては奇数番地と偶数番地のイメージの差は明確だったような気もしますが、再開発の影響でそれも線引きしにくくなりました。

 奇数番地にも有名店が出店するなど、状況が変化しています。よく言えば、奇数番地が『進化している』のかもしれません。どちらにせよ、治安は抜群に良いので、一人住まいを希望している女性にはおすすめできますね」(同メディア副編集長のMさん)

 Mさんは下町エリアの出身。こう続けます。

「大学生だった7~8年前、(下町エリアの)商店街にある青果店でアルバイトしていたのですが、当時はまだご年配のお客さんが多かったですね。井戸端会議もよく見かけましたよ。最近は若いファミリー層が増えてきました。

 このエリアの魅力が一番発揮されるのは、夏祭りの時でしょうか。古川の橋のふもとにステージを作って、そこで演歌歌手が歌ったり、じゃんけん大会をやったりしてとてもにぎやかで、屋台もたくさん出ます。浴衣を着た有名人もお忍びでよく来るんですよ。大学時代の友人を誘ったときには、『なんでこんなに人がいるんだ』と驚いていましたね」

白金で行われる祭りの様子(画像:白金新聞)

 白金タイムズの須佐さんも、「白金は、白金阿波おどりや四ノ橋夏まつり、天の川蛍祭、白金氷川神社の例大祭など、お祭りが盛んです」とこの地域の魅力を話しています。

地元民と新住民の交流も

 Mさんは「白金新聞」での取材を通じて、地元出身でありながら、知らない人や場所が多くあったことに気づかされたそうです。また、予想以上に新住民と旧住民の「共存」が進んでいることも感じたといいます。

「JAZZレーベル『Uplift Jazz Record(アップリフトジャズレコード)』と、その音楽スタジオが1丁目にあることを知って、2018年5月に記事化しました。4月には、『白金タワー』の1階にある『理容室かわむら』の店主、河村弘一さんを取材しました。『(旧住民であるご自分が)新しい人と古い人をつなげていくようなことをやっていきたい』とおっしゃっていました。河村さんはお神輿をかつぐ人を集めるのが好きらしく、タワーに住む新住民の人たちをメンバーに誘っていらっしゃるんですよ」

 白金の話題のお店に立ち寄ったら、高級エリアと下町エリアの両方を散策してみるのも面白そうです。意外な発見があるかも知れません。

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