21世紀の「価値ある企業」とは? 「ESG」という評価基準、GAFAを例に考える

さまざまな情報が氾濫するなか、財務面だけでなく、環境や社会への貢献度など、多面的に企業を評価し、投資活動を行う動きが広がっています。正当な企業評価とはどのようなものでしょうか。ESGに特化した金融サービス会社「アラベスクS-Ray」の日本支店代表・雨宮寛さんが解説します。


インターネット界を代表する4大企業「GAFA」

 日ごろ、経済ニュースにあまり関心のない読者も、おそらく「GAFA(ガーファ)」という言葉を耳にしたことはあるでしょう。グーグルの頭文字の「G」、アマゾン・ドット・コムの「A」、フェイスブックの「F」、そしてアップルの「A」を合わせてGAFAと呼ばれます。

2018年7月に発売され、話題を呼んだビジネス書『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(画像:パーソナルブレーン)



 いずれも米国のIT企業ですが、グーグルはインターネットの検索エンジンやユーチューブなど、インターネットサービスを代表する企業です。アマゾンは世界最大級のネット通販で、アップルはiPhoneやiPad、そして音楽配信サービスのiTunesで世界中に多くのユーザーを抱えています。フェイスブックはSNSの先駆的な存在で、2017年の流行語大賞に選ばれた「インスタ映え」のインスタグラムも同社のサービスです。

GAFAの企業価値は、日本のGDPの「3分の2」

 GAFAはそれぞれの得意分野で圧倒的な地位を築いていることから、その分野の基礎を構築する「プラットフォーム企業」とも捉えられています。どれだけ大きな企業なのでしょうか。時価総額という、株価で企業価値を計算する方法で比べてみましょう。

・グーグル:8096億ドル(約89兆円)
・アマゾン:9305億ドル(約102兆円)
・フェイスブック:5376億ドル(約59兆円)
・アップル:9072億ドル(約100兆円)
※2019年5月10日現在。1ドル=110円で換算
※グーグルの時価総額は、親会社アルファベットの時価総額を使用。

 2019年5月10日現在、アマゾンの企業価値がGAFAで最も大きく約102兆円です。普通の生活では考えられない金額となっています。日本の国内総生産(GDP)は約535兆円ですから、アマゾンの企業価値は日本のGDPの約2割に相当するということになります。

 世界最大の経済大国である米国のGDP(約2130兆円)と比較しても、アマゾンの企業価値は約5%に相当します。GAFAの4社合計で考えると、合計した企業価値の大きさに驚くのではないでしょうか。しかし、これら4社の提供するサービスが日頃の生活に密接にかかわっている人も多いと思いますので、不思議さはあまりないのかもしれません。なお、GAFAの企業価値を合計すると日本のGDPの3分の2に相当します。

 GAFAの4社はいずれも世界の企業の時価総額ランキングで現在上位10社にランクインしています。ちなみに世界企業の時価総額ランキングで、常時100社以内に入っている日本最大企業のトヨタの時価総額は約18.5兆円です。アマゾンの企業価値の2割程度の水準に留まっているのです。

ESGの評価基準は「地球環境や人間社会への貢献度」

 このように巨大化し、影響力の強くなったGAFAを株価だけではなく、「地球環境や人間社会にとってプラスに貢献しているのか、マイナスに影響を及ぼしているのか」といった尺度から、GAFAの価値を見ることも重要です。

 例えば、インターネットやSNSにおける個人情報の取り扱いなどは大きな社会問題になっていますが、このような社会問題に対してGAFAはどのように対応してきているのでしょうか。

 人間社会や地球環境に対するGAFAの取り組みを、「ESG」(E:環境、S:社会、G:企業統治)で分析し、ESGスコアを算出します。本分析にあたってはビッグデータとAIを活用し、世界の主要企業約7000社のESG評価を毎日行っているスコアリングシステム「アラベスクS-Ray(R)」を使用しました。結果は次のとおりです。

・グーグル:59.74(E:74、S:52、G:60)
・アマゾン:47.30(E:52、S:47、G:45)
・フェイスブック:53.02(E:74、S:40、G:53)
・アップル:56.25(E:74、S:40、G:53)
※2019年5月11日現在。スコア対象企業は世界78ヶ国7222社
※グーグルのスコアは、親会社アルファベットのスコアを使用。

 このようにGAFAのESGスコアを比べると、グーグルが最も高く、続いてアップル、フェイスブック、そしてアマゾンの順となっています。ちなみに、トヨタのESGスコアは49.95(E:68、S:50、G:39)です。

GAFAとトヨタのESGスコア(画像:アラベスクS-Ray日本支店のデータを基にULM編集部で作成)



 ESGスコアの見方ですが、最も優れているスコアは100点満点になります。2019年5月11日現在、スコア対象企業7222社の平均点は50.21点です。したがって、アマゾンを除いて3社は平均点を上回っていることになります。

 アマゾンは大株主のひとりでもある創業者CEOのジェフ・ベゾスの離婚問題やニューヨーク市に予定していた第2本社が建設予定地の地域住民から反対されるなど、企業統治や地域社会のステークホルダー(利害関係者)との関係で問題が生じています。

 また、平均点は上回っているものの、GAFAの中では3番目に位置しているフェイスブックは個人情報の管理で問題となっており、S(社会)のスコアが足を引っ張っています。グーグルも個人情報の管理問題でSのスコアが低いですが、環境面で先進的な取り組みを行っており、スコアを上げています。

 アップルもサプライチェーンで問題を抱えておりSのスコアが低いですが、小売り店舗のカーボンオフセットなど、E(環境)で頑張っています。

「生き物」である企業をどう評価していくか

 時価総額という株価で計った企業価値では圧倒的な強さを誇っているGAFAも、ESGの面では世界の主要企業の平均点水準に留まります。しかし、温暖化ガスを排出しない社会への変革が求められているなか、グーグルやアップルは環境面では高いスコアを上げており、環境に関する新たなサービスや環境効率を向上した経営方法など、今後の環境面での取り組みに期待が高まります。

 フェイスブックとアマゾンは前述のような問題を抱えているにもかかわらず、ESGを通じた積極的な行動(グーグルやアップルのように環境面で力を入れるなど)が現在のところ評価されていません。今後は現在抱えている問題を解決し、スコアの改善に努めるとともに、将来の企業の方向性を示すようなESGの取り組みが求められます。

 企業は生き物です。今日の株価で計った企業価値も大切ですが、企業が人間社会や地球環境にどのように取り組んでいるのかを見ていくことは、その企業の将来を占う上で重要です。


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