コロナで良質な睡眠困難に…「疲れが取れない」を「よく寝た」に変える快眠5カ条とは?
健康のためには栄養バランスの良い食事と適度な運動、それに休養が必要です。毎日の睡眠は十分ですか? 今回は、質の良い睡眠を取るための方法をご紹介します。(ULM編集部) [以下の記事監修:江東区森下 イシハラクリニック副院長 石原新菜医師] おうち時間が増えると睡眠の質は下がる ある企業が実施した「コロナが睡眠に及ぼした影響」調査によれば、3割の人が「コロナ後の睡眠の質が下がった」と回答しています。今までと比べて睡眠時間が長くなったり、短くなったりした理由で最も多いのは「生活リズムが崩れたから」で、これが大きく影響していると考えられます(参考:株式会社ヒュプノス「コロナが睡眠に及ぼした影響アンケート結果」=2020年=より)。 睡眠時間が短くなったせいで睡眠に不満を感じるのは、なんとなく理解できますが、逆に長くなったのに不満を感じる人もいるのはなぜなのでしょうか。これには「睡眠の質」が関係しています。良質な睡眠を取らなければ、いくら長い時間寝たとしても、心と体の休息にはならないのです。 生活リズムが崩れると、睡眠の質が下がる(画像:写真AC)そもそも、人はなんのために眠るのか? 人の一生を80年、1日の睡眠時間を8時間と仮定すると、人間は27年もの時間を眠って過ごすことになります。眠るという行為はそれだけ大切なのです。 では、人はなぜ眠るのでしょうか。疲れを取るのも確かに睡眠の重要な役割です。しかし、睡眠は疲労の回復にとどまらず、生きるために必要な働きをいくつも担っています。睡眠に支障をきたすということは、心身の健康が保てなくなるということ。健康づくりには良質な睡眠が欠かせません。 <睡眠の役割> ・疲労回復…日中、体と脳にたまった疲れを回復させます。 ・記憶の定着…起きている間にインプットした情報を整理し、記憶として定着させます。記憶力、思考力を維持します。 ・免疫力アップ…十分な睡眠を取ると病気への抵抗力が高まり、風邪などの感染症にかかるリスクを抑えられます。 ・細胞の修復…睡眠中に分泌されるホルモンが新陳代謝を促し、傷ついた細胞を修復。美肌にも重要です。 ・ストレス軽減…ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌量を抑制し、ストレス解消に働きます。 睡眠の役割「睡眠ホルモン」の減少が良質な睡眠を妨げる 眠りが浅い、寝ても寝ても眠いといった睡眠の悩みは主に4つのタイプに分けられます。大抵の場合、このうちのどれか1つではなく、複数のタイプが重なって現れます。 ・「入眠障害」タイプ ベッドに入ってもなかなか寝付けない。眠るまでに30分~1時間以上かかり、それを苦痛と感じる状態。シニア世代に多い。 ・「中途覚醒」タイプ 睡眠中に何度も目が覚めて、その後もう一度眠ることができない。中高年以上に多く見られるタイプ。 ・「早朝覚醒」タイプ 起きようとした時間よりも2時間以上早く目が覚める。シニア世代のほか、うつ病の人にも見られるタイプ。 ・「熟眠障害」タイプ 睡眠時間は足りているはずなのに、ぐっすり眠った感じがしない、眠りが浅いと感じる状態。日中の眠気に悩まされる。 仕事や家事の最中に、よく眠くなる人は要注意!(画像:写真AC) これらの睡眠の悩みが現れる原因は「メラトニン」という睡眠ホルモンの減少です。 睡眠には「セロトニン」と「メラトニン」という2つのホルモンが関わっています。朝、明るくなるとセロトニンの分泌が始まり、体が活動状態に切り替わります。そして、起床後約15時間後、日中に分泌されたセロトニンを材料として、メラトニンの分泌が始まり、徐々に睡眠に導かれていきます。 つまり、夜ぐっすり眠るためにはメラトニンが欠かせないのですが、残念ながら、メラトニンの分泌量は年齢を重ねるごとに減ってしまいます。赤ちゃんや子どもの間は睡眠時間が長いですが、高齢者はとても早寝早起きの人が多いですよね。これはメラトニンの分泌量が減るためなのです。 メラトニンを活性化する「快眠5カ条」メラトニンを活性化する「快眠5カ条」 睡眠の質を上げ、ぐっすり眠るためには、メラトニンの働きを活発にすることが大切。そのための快眠法を5つにまとめました。 1)起きてすぐ、朝日を浴びる 毎朝決まった時間に起きて、すぐに朝日を浴びましょう。メラトニンの材料になるセロトニンが速やかに分泌されます。 起きたらまず、カーテンを開けることを日課にしましょう(画像:写真AC)2)日中に体を動かす 積極的に階段を使うなど、生活の中に軽い運動を取り入れ、体を動かしましょう。疲労回復が必要なほど体が疲れていなければ、眠気は起きません。 エスカレーターよりも階段を選ぶ!(画像:写真AC)3)夕食は寝る3時間前まで 寝る直前に食事をすると、寝ている間に胃腸が動くことにより、安眠の妨げとなります。食事は就寝の3時間前までに終わらせるのが理想です。 夜遅く食べると太る原因にも(画像:写真AC)4)入浴は寝る1時間半前 眠気は、体の熱が手足から放出されるときに生じます。お風呂で体をじんわり温めておけば、就寝時間に心地よく眠ることができます。 熱いお風呂は自律神経を刺激し、体が目覚めてしまうので、ぬるめがおすすめ(画像:写真AC)5)寝る直前に光の刺激を受けない メラトニンは、明るい光を感じると分泌が抑えられてしまう性質があります。寝る前は電子機器の電源はオフに。照明は間接照明にし、軽いストレッチなどをして過ごしましょう。 メラトニンに明るい光は大敵(画像:写真AC)【記事監修】 石原新菜医師 ・イシハラクリニック副院長 ・ヒポクラティック・サナトリウム副施設長 ・日本内科学会会員 ・日本東洋医学会会員 ・健康ソムリエ協会理事 イシハラクリニック(江東区森下)副院長 石原新菜医師【略歴】 自然医学の権威である石原結實の長女で現役医師。現在はイシハラクリニックにて、漢方医学、自然療法、食事療法による治療にあたるかたわら、主治医が見つかる診療所(テレビ東京)をはじめとしたテレビ・ラジオ、講演、執筆と幅広く活躍中。 【主な著作】 ・お医者さんがすすめる不調を治す10倍ショウガの作り方 (アスコム) ・やせる 不調が消える 読む冷えとり (主婦の友社) ・オトナ女子の不調がみるみる改善する本 (新星出版社) ・バウエルダイエット (幻冬舎) ・空腹の時間が健康を決める (新星出版社) 【クリニック情報】 イシハラクリニック ・住所:東京都江東区森下1-5-5-607 ・診療時間:10:00〜18:00(木・土は17:00) ・完全予約制 ・休診日:日・月・祝日 ・アクセス:都営新宿線・都営大江戸線森下駅A7出口から徒歩1分、東京メトロ清澄白河駅A1出口から徒歩5分
- ヘルスケア