「鬼滅」の炭治郎もやっている! 「呼吸」を制する者が健康を制する理由

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「鬼滅」の炭治郎もやっている! 「呼吸」を制する者が健康を制する理由

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 一大ブームとなっている「鬼滅の刃」では、主人公の竈門炭治郎らが身体能力や体力を向上させる「全集中の呼吸」を繰り出し、鬼と戦います。「呼吸」が持つ力とはいったい何なのでしょうか。(ULM編集部)
[以下の記事監修:健康ソムリエ協会(中央区日本橋 水天宮前)理事・健康運動実践指導者 岡田むつみ]

呼吸の重要性を知っていますか?

 普段の生活の中で当たり前にしている呼吸。無意識だからこそ、呼吸について考えたり、意識して呼吸をしたりする機会はほとんどないでしょう。仕事に家事にと忙しくしていると、ゆっくり呼吸をすることも少ないかもしれません。マスク生活が続くと、特に、気付かないうちに呼吸が浅くなりがちです。

最近、深呼吸したのはいつですか?(画像:AC)



 呼吸の役割は、ただ息をして、生命を維持するだけではありません。取り込んだ酸素は体中を巡り、脳や筋肉などのあらゆる臓器や器官を動かすために使われます。呼吸が十分でないと、体は酸欠状態に陥り、臓器や器官の働きが悪くなって、血流が滞ります。血の巡りが悪いと体温が下がり、免疫力が落ちる原因になったり、老廃物の排出が滞ります。

 正しい呼吸は、きれいと健康のためにとても大切なのです。

呼吸で自律神経をコントロール

 呼吸と関りが深いのが自律神経です。自律神経は心臓などの臓器や血液の流れ、汗の分泌といった、自分の意思で動かしたり、止めたりできない部分の働きを支配しています。しかし、その中で、働きをコントロールできる唯一の臓器があります。「肺」です。そして、自分の意思で息を大きくしたり、小さくしたり、また、止めたりできることから分かるように、肺に唯一アプローチできるのが呼吸なのです。

 自律神経には、脳と体を動かし、運動、興奮、緊張したときなどに働く「交感神経」と、脳と体を修復する働きを持ち、休息、睡眠、安心したときなどに働く「副交感神経」があります。交感神経は活動のための“アクセル”、副交感神経は回復のための“ブレーキ”のイメージです。

バリバリ動けるのは交感神経のおかげ、ゆっくり休めるのは副交感神経のおかげ

 この2種類の自律神経は呼吸の仕方によって、一方を意図的に活性化させることができます。胸で息をする「胸式呼吸」は交感神経を、おなかで息をする「腹式呼吸」は副交感神経をそれぞれ活性化させます。これを覚えておけば、自分の今の心身の状態に合わせて、アクセルとブレーキを使い分けられるのです。

・やる気を出したいとき
・スポーツの試合
・ストレスに耐えたいとき
→胸式呼吸⇒“アクセル”の交感神経が活発に!

・リラックスしたいとき
・疲労回復したいとき
・興奮を鎮めたいとき
→腹式呼吸⇒“ブレーキ”の副交感神経が活発に!

腹式呼吸の正しいやり方は?

 交感神経と副交感神経がうまくバランスをとることで、心身もバランスよく保たれます。しかし、ストレス社会である現代は、ストレスに対抗しなければという思いが強すぎて、交感神経が過剰に働きがち。バランスが崩れ、自律神経失調症の人も増えてきています。

 心身のバランスが乱れてきたと感じる人は、少しの時間だけでも腹式呼吸を意識してみましょう。深い呼吸を何度か繰り返すことで、副交感神経が活性化し、心身が癒やされます。

理想は胸式呼吸と腹式呼吸が「4:6」の割合

<深い呼吸(腹式呼吸)のやり方>
1)おなかに手を当てる
2)口から体内の息を全て吐ききる
3)おなかが膨らむように、8秒かけて鼻からめいっぱい空気を吸う(吸う息の量は一定になるよう調整)
4)おなかがへこむように、8秒かけて口から全ての息を吐ききる(吐く息の量は一定になるよう調整)
※3)と4)を10回繰り返す

 呼吸の正しい順番は「吐いてから吸う」です。呼吸の「呼」は「呼気」、つまり「吐く」という意味。だから、呼吸は吐く方が先なのです。

 また、息を吸うときは鼻から、というのもポイントです。

呼吸がしやすくなるストレッチ2選

 呼吸筋(呼吸に必要な筋肉)が硬くなると、息も浅くなります。筋肉をストレッチでほぐすと、自然と呼吸もしやすくなります。普段、呼吸が浅くなっている人や、深い呼吸をしたときに肺のあたりが突っ張るような感じがする人は、こまめに呼吸筋のストレッチを行いましょう(※参考 独立行政法人環境再生保全機構「息苦しさをやわらげる呼吸筋ストレッチ体操レッスン編」)。

息を吐く筋肉のストレッチ−3回繰り返しましょう



<やり方>
1)両手を頭の後ろで組み、ゆっくり鼻から息を吸う
2)ゆっくり口から息を吐きながら、組んだ両手をまっすぐ上にあげて、大きく伸びをする
3)首を少し前に倒しながら、同時に、あげた両手を後ろに少し倒し、残った息を吐ききる。1)の姿勢に戻して楽に呼吸する

息を吸う筋肉のストレッチ−3回繰り返しましょう

<やり方>
1)胸に、両手の指と指を組み合わせて置き、鼻から吸って口から吐く呼吸を大きくゆっくりと3回行う
2)一度口から息を全て吐き切り、鼻から息を吸いながら、組んだ両手を前に伸ばして背中を丸める
3)背中の筋肉が十分に伸びるのを感じたら、口から息を吐きながら、両手と丸めた背中を元に戻す
(3回くりかえし)

【記事監修】
岡田むつみ
健康ソムリエ協会理事
健康運動指導士
健康運動実践指導者
・ダンス技能指導士

健康ソムリエ協会(中央区日本橋 水天宮前)理事 岡田むつみ

【略歴】
国民の健康寿命の延伸を目標に掲げ、健康に必要なことを学べる講座「健康ソムリエ講座」のカリキュラム開発に従事。
「健康ソムリエ講座」では、講師や実技の指導者としても登壇し、受講者が伝統医学と現代医学の両医学から健康的でいるために必要なことを理解し、養生を生活に取り入れられるよう指導。養生文化の普及に努めている。

【監修・出演作品】
・お家で/3分で/症状改善「元気ストレッチ」DVD

【所属団体】
健康ソムリエ協会
・住所:東京都中央区日本橋箱崎町36-2Daiwaリバーゲート16階
・受付時間:9:30~18:00
・定休日:土・日・祝日
・アクセス:東京メトロ水天宮前駅1a出口

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