神社にまつわるアレコレを分かりやすく解説!参拝や御朱印巡りの参考に―東京神社案内【番外編】
東京都には約2,000社の神社があると言われています。初詣に七五三、またお祭りなどで神社にお参りする機会は何かと多いのでは。今回は「東京神社案内」シリーズ番外編として、全国の神社にまつわる豆知識を写真家の石津祐介さんがご紹介します。出雲大社(画像:石津祐介)【画像】神宮、大社、どう違う?「延喜式内」ってどういう意味?>> ●神社に祀られる神さま 「八百万の神」という言葉があるように、神社には海・山・風・雨のような自然や衣食住を司る神、また歴史上の偉人などさまざまな神が祀られています。 その中でもよく祀られているのが「古事記」や「日本書紀」などの日本神話に登場する神々です。伊邪那岐命・伊邪那美神(イザナギ・イザナミ)、天照大神(アマテラス)、大国主命(オオクニヌシ)など、一度はその名を耳にしたことがあるでしょう。 古事記と日本書紀は共に奈良時代に成立し、天地誕生から天皇(古事記は推古天皇、日本書紀は持統天皇)の時代までが記された歴史書です。物語としても面白く、マンガにもなっていますので一度読んでみると神話への理解が深まると思います。 神社のご由緒には、ご祭神について書かれていますので、まずはどの神を祀っているのか確かめてみましょう。 出雲大社にある大国主の像(画像:石津祐介)●神社の名前について 一般的に多いのは「〇〇神社」という名称ですが、「〇〇神宮」や「〇〇大社」という名称の神社もあります。神社名に付く名称を「社号」といいますが、それぞれご祭神や歴史的背景で用いられています。 「神宮」は伊勢神宮の正式名称ですが、皇室の祖神や歴代天皇、皇室と縁の深い神を主祭神とする神社で用いられており、明治神宮、霧島神宮、鹿島神宮などがあります。 伊勢神宮内宮(三重県伊勢市)の大鳥居(画像:石津祐介) 「大神宮」は伊勢神宮から勧請(かんじょう=神の分霊を移すこと)した神(主に天照大神と豊受大神)をお祀りしている神社で、「〇〇のお伊勢さま」と呼ばれています。東京大神宮、伊勢原大神宮などがあります。 「東京のお伊勢さま」東京大神宮(東京都千代田区)(画像:石津祐介) 「大社」は、本来は出雲大社を示す社号でしたが、戦後の社号整備の際に諏訪大社や春日大社など同系列の神社の総本社に社号を与えられました。 大国主を祀る出雲大社(島根県出雲市)(画像:石津祐介) 「宮」には、皇室の皇子や親王など歴史上の人物が祀られています。代表的な神社に太宰府天満宮や東照宮などがあります。 菅原道真を祀る北野天満宮(京都府上京区)(画像:石津祐介) 「神社」は、最も多く使われる社号で、神道の神々をお祀りしています。「社」は、最も規模が小さい施設を指す社号になります。 ●神社の格式「社格」 神社の名が刻まれた社標や御朱印には、神社の格式を示す「社格」が記されているものがあります。社格制度は何種類もあり、時代によって変化しましたが、その神社のご由緒や歴史を知る手掛かりとなりますので、参拝する際に参考となるでしょう。 ●式内社 「式内社」は延喜5年(972年)にまとめられた法典「延喜式」の神名帳に記載された神社のことで、延喜式内社とも言います。つまり式内社は、1,000年以上の歴史がある神社ということになります。 式内社は、朝廷の管理する「官幣社」と国司が管理する「国幣社」に区別され、その中でさらに大社と小社に区分されました。 日本武尊を祀る「延喜式内」焼津神社(静岡県焼津市)(画像:石津祐介)●二十二社と一宮 「二十二社(にじゅうにしゃ)」は平安時代後期に朝廷により定められた社格です。朝廷から国家の重大事や天変地異の時に特別に奉幣を受ける事が許されており、主に近畿地方の神社が選ばれました。 「一宮(いちのみや)」は、その地域で最も社格の高い神社で、二十二社と同時期に成立したと言われています。一宮に次いで社格が高い順に二宮、三宮と呼ばれ、四宮や五宮まで定められた地域もありました。明治以降は、北海道や沖縄にも一宮が加わり現在では100社以上の一宮が存在しています。 二十二社の一つ伏見稲荷大社(京都市伏見区)(画像:石津祐介)「国幣中社」越後一宮の彌彦神社(新潟県弥彦村)(画像:石津祐介)●近代社格制度と別表神社 明治に入ると新たに「近代社格制度」が定められ、官社(官国弊社)と諸社(民社)、いずれにも属さない無格社に分類されました。官社は官幣社(大社、中社、小社)、国幣社(大社、中社、小社)、別格官幣社に分けられ、諸社は府社、県社、藩社、郷社、村社と分けられました。 戦後には、GHQの神道指令により社格制度は廃止されますが、神職の人事で不都合があるため、大規模な神社については特別に扱う「別表神社」が定められました。 神武天皇生誕の地、「別表」狭野(さの)神社(宮崎県高原町)(画像:石津祐介)●神社の建物と特徴 神社の境内には社殿と呼ばれる建物があり、中心となる本殿と拝殿、神楽を奏でる神楽殿、社務所などがあります。本殿は神が祀られている建物で、拝殿は本殿を拝するための建物になります。通常、参拝者がお参りするのは拝殿になります。ただし、山や岩などをご神体とする神社には本殿がない場合があります。 また境内にある小さな神社を「摂末社(せつまつしゃ)」といい、摂社(せっしゃ)はその神社の祭神に縁のある神を、末社(まっしゃ)はそれ以外の神を祀っています。 本殿を持たない大神(おおみわ)神社(奈良県桜井市)(画像:石津祐介)熱田神宮(名古屋市熱田区)の境内摂社、南新宮社(画像:石津祐介) 神社の建築様式は「大社系」と「神明系」に分かれ、大社系の代表は出雲大社、神明系は伊勢神宮です。大社造は、屋根の八の字側に入り口を持つ「妻入り」で、古代の神殿を模していると言われています。対して神明造は屋根に対して平行する側に入り口のある「平入り」で、古代の穀物庫を模していると言われています。 大社系は他に、住吉造(住吉大社など)、春日造(春日大社など)があり、神明系は他に八幡造(宇佐神宮など)、流造(伏見稲荷など)、日吉造(日吉大社など)、権現造(北野天満宮など)があります。 日本最古の大社造、神魂(かもす)神社(島根県松江市)(画像:石津祐介)阿佐ヶ谷神明宮(東京都杉並区)の神明造の本殿(画像:石津祐介)
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