東京湾はアジの「天然いけす」 船釣り体験したら大漁だった!

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東京湾はアジの「天然いけす」 船釣り体験したら大漁だった!

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アーバンライフ東京編集部

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手ぶらで船釣りへ行き、釣った魚を調理してもらって食べる。東京湾でそんな気軽な釣り体験が初心者でもできると、釣りアンバサダー兼ツッテ編集長の中川めぐみさんに聞き、さっそく案内してもらいました。

「釣りアンバサダー」中川さんオススメ、東京湾の船釣りへ

「釣り」はやってみたいけれど、釣り針や釣り竿、餌にクーラーボックス、船釣りなら風除けや長靴……と諸々の用意が面倒です。技術の習得も難しそう。そう思っている人は少なくないことでしょう。記者もそのひとりです。

 しかし、手ぶらで行って道具一式を借り、初心者でも簡単に釣れる魚のポイントに連れて行ってもらい、釣ったばかりの魚を店で調理してもらって食べる、それなら話は別です。東京都内でそんな体験ができることを「釣りアンバサダー兼ツッテ編集長」の中川めぐみさんに聞き、体験してみることにしました。

釣りアンバサダー兼ツッテ編集長の中川めぐみさん。釣りを通して全国の食・景観・人・文化など地域の魅力を発見・発信している。初心者・女性向け釣りメディア「ツッテ」を運営(2019年4月5日、宮崎佳代子撮影)



 中川さんは釣りの楽しさを知ってもらうため、全国各地に赴いて初心者でも気軽に楽しめる釣り場を発掘しています。釣った魚を調理してくれる宿や店探しもセット。日本の子どもや若者たちの食生活から魚離れが進む昨今、釣ったばかりの新鮮な魚を食べて、魚本来のおいしさや地域の魅力を知ってもらうことも、目的のひとつとしています。

「昨年(2018)は、100日くらい釣りに行きました」との言葉に、卓越した腕前の釣り人なのかと思いきや、「初心者が楽しめる釣り場を発掘しているので、未だに初心者レベルです」と一笑。

 訪れたのは、木場駅から徒歩約5分の吉野屋(江東区木場)。深川で屋形船や釣り船を運営しています。ここで中川さんと一緒に、初心者でも簡単に釣れるというアジの釣り船に乗ることに。

 受付で釣り船料金(女性:午前6500円、午後6000円)、貸し釣り竿と釣り針代を支払い、用具一式とライフジャケットを受け取ります。船上は足元が濡れている上に滑りやすいと聞き、長靴もレンタル(無料)。そして船に乗り込んで午前7時に出発しました。

 この日は、深川を下って横浜中華街沖のポイントへ。船体の頭スレスレの高さの橋桁下をスリリングにいくつも通り抜け、視界が開けた先にはビル群やレインボーブリッジ、お台場と東京らしい景観が迫ってきます。東京湾で釣りをするという実感が沸々と湧いてきました。

アジの船釣り初体験の収穫はいかに?

 1時間ほど走って、船はポイントに到着。魚釣りを始める前に、中川さんが薄手でピタピタのゴム手袋、軍手、ペンチ、そしてウェットティッシュという「釣りに役立つ4つのアイテム」を紹介してくれました。

 ゴム手袋と軍手は、指先の汚れや魚臭さ、滑り止めや日焼け、怪我を防ぐため。軍手はゴム手袋を装着した上にはめるとのことで、親指から中指まで先端を切っておくと、指先が自由に使えるというのが中川さんのアイデア。ペンチは魚から針を外しにくい時の便利アイテムで、ウェットティッシュは、洋服や手先が汚れたときに活躍してくれるものです。

「どれも百均で買えて、女性にオススメすると好評です」と中川さん。確かにこの4つはかなり役立ちました。

 準備が整うと、スタッフが釣り竿の使い方や、針先への餌の付け方、魚がかかった後のリールの巻き方などを丁寧に説明してくれます。

初心者にはスタッフが釣り方について一から教えてくれる(2019年4月5日、宮崎佳代子撮影)



 餌は針先に赤く染めたイカを、コマセ(撒き餌)にはイワシのミンチを使います。コマセは網目状の小さなカゴに詰めて海中に投下。撒き散らされた餌に近寄って来たアジが、針先の餌に食いついてくるのを待ちます。

 釣り初心者の記者は、最初はすぐに釣り糸が絡まってしまい、コマセも海中でうまく撒けません。さらにはコマセのカゴを手元に引き上げる際、顔や頭にぶつけそうになること数回。中川さんに何度も「危ない!」と叫ばれる始末でしたが、度重なるトラブルも、スタッフの人が呼ぶとすぐにやってきて手助けしてくれるため安心でした。

 途中でコマセの撒き方について、中川さんから「カゴが海底についたらリールを巻いた後に、釣り糸をなるべく垂直にスピーディに上に引き上げるといい」と教えてもらい、その通りにするとカゴ内の餌の減りが早くなりました。

 餌をうまく撒き散らせるようになると、次から次へとアジがかかるように。「ここはアジの天然いけす?」と思うほど掛かってきます。

 アジはさほど大きくないため、最初はアタリ(魚が針先の餌に食いついた振動)を感じにくいと感じましたが、記者も次々掛かるうちにアタリを体得。当初は危なげな釣り竿さばきをチラ見していた中川さんに、「アジ釣りは習得ですね」と言ってもらえ、初心者レベルでもかなり楽しめました。

 記者は3時間程度で20匹、中川さんは5時間弱で50匹ものアジを釣って14時に帰着。レンタルした釣り具をそのまま返して終了です。なお、釣った魚は全て持ち帰ることができます。

自分で釣った魚は、なぜこんなにおいしい?

 釣った魚を保冷バッグに詰め替えて、門前仲町にある居酒屋・釣り人(江東区深川)へ。オーナーの稲葉聡さんは「釣ったばかりの魚のおいしさを知って欲しい」との想いでお店を2018年6月にオープン。釣り人が持ち込んだ魚を、相談に応じて1000〜2000円で調理してくれるとのことです。

 この日、お任せで作ってくれた料理は、アジの素揚げ、南蛮漬け、フライ、刺身、なめろうの5種類。

居酒屋「釣り人」の店長が捌いてくれたアジの刺身(2019年4月5日、宮崎佳代子撮影)



 薄っすらと塩が振られたアジの素揚げは、新鮮さを物語るかのようにパリッとしていて小気味良い食感がたまらない一品。薬味とポン酢醤油を浸けると、さっぱりとした味わいでアジの旨みを楽しめます。

 アジフライは、中川さん一押しの料理。「新鮮なアジのフライは、身がフワッとしていて最高なんです」と店に来る前から力説していたとおり、身が驚くほどふんわりとして、サックリとした衣との食感の違いが絶妙でした。さらに、脂の乗ったアジの刺身がおいしかったのは言わずもがな。

 釣りたてのアジのおいしさの理由。それは、自分で釣ったことや新鮮さに加えて、漁のように網で大量に獲るのではなく、「1本釣りですぐに血抜きをすることも大きい」との中川さんの説明に深く納得。魚嫌いの子どもや若者たちが、釣りたての魚のおいしさを知ったら、魚好きになるに違いないと思えました。

 釣り用具を持たずに気楽に船着場へ行き、魚を釣って、料理屋で調理してもらっておいしく食べる。なんとも贅沢な体験でした。吉野屋代表の吉野吾朗さんによれば、子どもは小学校高学年くらいからの参加が多いとのこと。家族で参加すれば、食育にもうってつけの体験ができるでしょう。中川さんにはこれからも、こんな楽しい釣り体験ができる場をさらに発掘してもらいたいものです。

●吉野屋
・住所:東京都江東区木場6‐15-11(乗船所)
・営業時間:9:00〜20:00
・定休日:火曜日
・アクセス:東西線「木場駅」2番出口から徒歩約5分
・紹介の釣り船料金:LTマアジ船(7:00出航〜14:00帰港) 男性8500円、女性6500円(前日までに予約)
 ※貸し釣り竿1本500円、釣り針1袋200円。表示の金額は全て税込

●居酒屋 釣り人
・住所:東京都江東区深川1-1-8 村松ビル2F
・営業時間:17:00〜22:30(L.O.)※ドリンクのL.O.は23:00
・定休日:月曜、第2・4日曜
・アクセス:東西線、都営大江戸線「門前仲町駅」6番出口から徒歩約2分
※魚の持ち込みは前日までに要予約

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