心と体はつながっている
昔から、「病は気から」とよく言われますね。同じような言葉は、実は世界共通でたくさんあります。
・万の病は心から(日本のことわざ)
・身心一如 (肉体と精神は一体のものであるという仏教の教え)
・Fancy may kill or cure.(病気で死ぬのも助かるのも思い込み次第という英語のことわざ)
などなど…。
心と体は強力な相互作用を持っており、心の状態はその人の健康にも影響を与えるという意味です。
たとえば、ストレスを感じたときはイライラや不安といった心理面の反応だけでなく、深酒や、やけ食いといった行動面の反応、また、動悸(どうき)がする、微熱が出るなど身体面の反応も現れることがあります。これは心と体がつながっていることの証拠です。
さまざまなストレス反応
<心理面の反応>
・怒り、イライラ
・不安、無気力
・思考力低下、集中困難など
<行動面の反応>
・深酒などの現実逃避
・けんか
・過激な行動
・拒食・過食など
<身体面の反応>
・悪寒による震え
・動悸
・発熱
・腹痛
・めまいなど
ストレスがたまっている人(心の健康を損ねている人)は、体の健康を損ねる可能性も高いのです。
ストレスから心と体を守る仕組み
そもそも、ストレスとは物理学の用語で、物体の外側からかけられた圧力によって、ゆがみが生じた状態のことです。
人体には、そのゆがみから心と体を守る「ホメオスタシス」という仕組みが備わっています。自律神経のスイッチを交感神経が優位になるように切り替えてストレスに備えたり、ストレスと戦うホルモンを分泌したり、免疫を活性化させたりして、その時々の状況に応じて、心身を適応させようとするのです。
ホメオスタシスは、ストレス(圧力)に対して、心身を一定の状態に保とうとする仕組み
ホメオスタシスのおかげで、多少のストレスがかかっても、心身は一定の状態を保つことができます。
しかし、長期間、強いストレスにさらされ続けると、圧力によるゆがみが大きくなりすぎて、ホメオスタシスの働きだけでは心身を守りきれなくなります。はじめのうちはストレスに抵抗しようと無理をしますが(これがいわゆる「空元気」の状態)、長くは続かず、次第に疲弊していきます。
心身が疲労困憊(こんぱい)してしまうと、自律神経のバランスが崩れたり、ストレスに対するホルモンの防御力が限界を超えてしまったり、免疫力が弱まったりして、さまざまな病気を招いてしまうことに。
慢性的なストレスが原因で起こる病気の一つが「うつ」です。元気がなくなる、イライラや不安感、物事がおっくうになるといった精神的な症状のほか、眠れない、体がだるいなどの身体的な症状も出てきます。これも、心と体がつながっていることの現れと言えます。
適度なストレスは成長の糧になる
ストレスを与える原因となるものを「ストレッサー」と言い、さまざまなものがストレッサーとなって、心に負担をかけてきます。
しかし、本来、ストレスは心の成長に欠かせないものです。つらく悲しいことがあったとしても、かかるストレスはいっとき。壁を乗り越えた先には、達成感や喜びを感じることができます。ストレスは「心の筋トレ」と言え、適度なストレスは私たちにとって必要なものなのです。
適度なストレスは「心の筋トレ」!(画像:写真AC)
注意しなければならないのは、ただ、つらく苦しい思いを長く続けてしまうことです。ストレスサインが出ていながら、それまでと同じようにストレスを受け続けていると、「うつ」のように心身の健康が損なわれていきます。
体調を崩さないためには、風邪のひき始めで対処することが肝心なように、心の健康を保つためには早めのケアが大切です。
今、長期にわたるコロナ禍において、不安を抱えたり、ストレスを感じている人が多くいます。心の不調が体の不調につながってしまう前に心をいたわりましょう。
コロナ禍で疲れた心をいたわる方法
ストレスを与える原因であるストレッサーそのものをなくすことはできなくても、ストレスに対する自分の感情を上手にコントロールし、すこやかな心身を守りましょう。
1)発散する
笑うことでストレスホルモンが低下し、自律神経のバランスが整ってリラックスできる効果があります。たとえ作り笑いだとしても、脳はそれを勘違いし、本当に笑ったときと同様の効果があります。つらいときでも、1日に1回は口角を上げて笑顔を作りましょう。
声を出して笑うのがおすすめ(画像:写真AC)
2)距離を置く
過去への後悔や未来への不安ではなく、「今現在、ここにある自分」だけに集中。それ以外のものを意識から排除することで、ストレスから一時的にでも距離を置き、気持ちをリセットして、心のバランスを整えることができます。
無心になって没頭できるなら、手段は自由。趣味のランニングを黙々と行うなどでもいいでしょう。
自分一人だけの空間でリラックスしましょう(画像:写真AC)
3)捉え方を変える
同じ言葉であっても、捉え方は人それぞれ。例えば、注意されたとき、「私のことを思って嫌なことを言ってくれてありがとう」と思うか、「否定された」と思うか。
ポジティブに捉えるポイントは「感謝の心」です。感謝の気持ちを持つと、脳への血流がアップして、ストレスを感じにくくなり、意欲が増します。人間関係もスムーズになり、新たなストレスも生じにくくなります。
感謝の心でポジティブに!(画像:写真AC)
イシハラクリニック(江東区森下)副院長 石原新菜医師
【略歴】
自然医学の権威である石原結實の長女で現役医師。現在はイシハラクリニックにて、漢方医学、自然療法、食事療法による治療にあたるかたわら、主治医が見つかる診療所(テレビ東京)をはじめとしたテレビ・ラジオ、講演、執筆と幅広く活躍中。
【主な著作】
・お医者さんがすすめる不調を治す10倍ショウガの作り方 (アスコム)
・やせる 不調が消える 読む冷えとり (主婦の友社)
・オトナ女子の不調がみるみる改善する本 (新星出版社)
・バウエルダイエット (幻冬舎)
・空腹の時間が健康を決める (新星出版社)
【クリニック情報】
イシハラクリニック
・住所:東京都江東区森下1-5-5-607
・診療時間:10:00〜18:00(木・土は17:00)
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・休診日:日・月・祝日
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