【2020年大学受験】明日から国公立大2次試験 「志願者減」傾向は都内難関校にも当てはまるのか?
難関大学が集中する東京での受験者動向は 新型コロナウイルスの感染が広まり緊張感が漂うなか、いよいよ2020年2月25日(火)から国公立大学の2次試験が実施されます。 2020年の大学入試では、私立大学の定員厳格化の影響や2021年度から新たに始まる大学入学共通テストを避けるため、受験生の現役合格志向、安全志向がより強まっていると考えられています。 都内文系最高峰の一橋大学(画像:(C)Google) 全国的にみても難関国公立大学が集中している東京では、こうした受験生の志向を受け、前年よりも志願者の減少は見られたのでしょうか。主要大学ごとに数値を読み解いていきましょう。 東大志願者 前年より224人減少 日本最難関の東京大学2次試験の志願者数は、合計で9259人となっています。2019年に比べると224人減少しているものの、全6科ごとに志願者数をみていくと、三つの科では増加していることがわかりました。 2019年より増えたのは文科1類、理科1類と理科3類です。増加は2~10人の間と微増ですが、これらの科に関しては世間一般でうわさされている「安全志向」とは無縁といえるでしょう。 その一方、減少した科のうち特に理科2類は前年比113人減と3桁の落ち込みとなっています。 実は理科2類は、ほかの科より浪人生の合格率が高い傾向があります。2020年の2次試験に関しては、2021年に予定されている大学入試制度改革を考慮して浪人生が東大受験を回避し、その結果が理科2類の志願者数の減少につながったと考えられます。 一橋大や東工大も全体の志願者数は減少一橋大や東工大も全体の志願者数は減少 社会学部系の学部に特化した一橋大学と、理系学部専門である東京工業大学でも、志願者数の減少が顕著です。 学部ごとの増減をみていくと、一橋大学の場合、前年より志願者数が増えたのは、23人増の社会学部と7人増えた法学部の2学部です。 逆に減少したのは148人減の経済学部と、79人減の商学部。4学部の明暗がはっきりしています。唯一後期試験を行う経済学部の志願者数も約50人減少しており、その結果が一橋大学全体の志願者数減少として出ているのです。 大学入試に合格するイメージ(画像:写真AC) 東京工業大学でも学部ごとの増減の傾向が見られます。 理学部と後期試験の生命理工学部のみ2019年より増え、ほかの学部では全て減少しています。特に工学部では142人も減り、倍率も前年の4.8倍より0.7ポイント下回る4.1倍になっています。 また前期の生命理工学部や物資理工学部では倍率が3倍を切るなど、有名大学としては倍率は低くなっており、受験生の安全志向が影響したとみられます。 学部間で増減の激しい都立大と、志願者が増えた大学 2020年度から「東京都立大学」の名前が復活する首都大学東京は、学部・学科ごとに志願者数の増減が激しく、明暗がわかれています。 前期のみ実施される法学部では520人も減り、システムデザイン学部では前後期を合わせると前年より475人も減少しているのです。 大学受験のイメージ(画像:写真AC) 一方、前年より増加したのは、187人増えた経済経営学部と32人増の理学部の2学部にとどまっています。 東京都立大学全体の志願者数は、前年比708人減。法学部とシステムデザイン学部の落ち込みが影響を受けた形となっています。 東京の国公立大学で合計志願者が2019年を上回ったのは、電気通信大学と東京芸術大学の2校、そして一般的に比べてより専門性の高い大学に限定されています。 しかし、両大学とも大幅に増えたとは言い切れません。 芸大の美術学部では前年よりも志願者は減り、音楽学部の志願者が増えたことで学部合計の結果12人増加となっているからです。また、電気通信大学も前年より62人の増加と、志願者が集中しているとは言いにくいのが実情です。 国公立大は受験生に避けられたのか国公立大は受験生に避けられたのか 東京の国公立大学の2020年の志願者数の動向をみていくと、偏差値が高く人気のある大学を受験生が避けたのは間違いないでしょう。または、今まで挑戦していた学力層が早々に推薦入試やAO入試を利用し、有名私立大学へとシフトチェンジした可能性も否定できません。 目指せ志望校合格!(画像:写真AC) 受験生を取り巻く環境はこの数年流動的な状態が続き、2021年以降は国公立大学入試で新たな入試制度がスタートするなど受験生にとって大きな挑戦がしにくくなっています。 不安定ななか、やみくもに進む学生は多くはないはずです。堅実に進路を選択しようとする受験生が増えるのは避けられず、2021年の大学入試共通テストの内容次第では国公立大学2次試験の志願者減少は加速するのではないでしょうか。
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