春は出会いの季節 新型コロナ影響も「ネット婚活」が盛り上がる?
「出会いの季節」も2020年は例外か 春といえば「出会いの季節」。通信インフラサービスのオールコネクト(福井県福井市)が20~30代の未婚男女600人を対象に行った調査によると、「春夏秋冬のなかで出会いを期待する季節は?」という問いに対し「春」と回答した人は55.5%と半数以上を占めました。 また「春は『出会い』と『別れ』どちらをイメージするか」に対しても、「出会い」との回答が77.5%。なお、「恋人と別れた経験のある季節」との問いで最も多かった回答は「冬」(27.3%)でした。 新型コロナウイルスが猛威を振るう2020年春のイメージ(画像:写真AC) 社会人歴が長くなるほど、4月に新しい人間関係や出会いに恵まれるわけではありませんが、いやがうえにも期待感が高まるのは、日に日に暖かくなっていく日差しや桜の開花予報のせいかもしれません。 しかし、2020年春は少し様相が異なります。年明け以降、世界中を震撼(しんかん)させている新型コロナウイルスの影響です。 2020年3月9日(月)時点の日本国内の感染者数は1189人(クルーズ船含む)。全国の小中高校が一斉休校となり、東京では小池百合子都知事が都主催の大規模イベントを中止にしたほか、都立公園での花見の自粛を要請。週末の繁華街は銀座も表参道も、普段の華やかさがウソのようにひっそりと静まり返っています。 大和総研(江東区冬木)の試算では、経済活動自粛による2~4月の個人消費の抑制額は約3.8兆円に達するといい、東日本大震災後の約2.6兆円を上回るほどだといいます。 「外出控え」の打撃を受けているのは、小売りや外食、レジャー産業など。そして、異性(または同性)との「出会い」の場づくりをなりわいとする恋活・婚活産業もまた同様です。 「知らない人と会うのはちょっと怖い」「知らない人と会うのはちょっと怖い」 何せ「換気の悪い場所は感染のリスクが高い」「人が集まる場所には行かないで」などと連日報道されている昨今。 プロ野球は東日本大震災以来となる開幕延期を決め、中国・韓国からの入国制限が強化され、身近なところでは友人や会社の同僚との飲み会も中止となり、そもそも会社へ行かず自宅でテレワークを行っている人も増えつつある現状です。 2020年3月2日厚生労働省ウェブサイトにアップされた「新型コロナ いま、拡げないために」(画像:厚生労働省) 会員制交流サイト(SNS)のツイッターでも、 「新型コロナの影響で週末の婚活イベントが中止になった……まあ仕方ないかな」 「外出るの怖いから婚活も自粛中(笑)」 と、婚活関連のイベント参加を断念する書き込みがちらほら。そして何より、 「半個室の狭い空間で知らない人としゃべるの怖くない?」 というつぶやきが象徴するように、この時期に名前も顔も知らない初対面の誰かと会うのは、かなりハードルが高いことと言えそうです。 街コンも中止に 街コンや婚活パーティーなど出会いの場を提供する大手サイト「街コンジャパン」は、2020年2月28日(金)から3月15日(日)まで開催予定だった同社主催イベントを全て中止に。 主催イベントの中止を伝える「街コンジャパン」のウェブサイト(画像:リンクバル) イベントを決行する他社も散見されるものの、同じくツイッター上には 「もし感染したとき感染ルート調べられて婚活パーティー行ってたのバレるのつらい」 とぼやく女性もいて、出会いや婚活もまた政府が言うところの「不要不急の外出や集まり」として控えられているようです。 逆境を逆手に、あの手この手の婚活業界逆境を逆手に、あの手この手の婚活業界 こうした状況を受け、業界は婚活ムードを何とか盛り上げようとあの手この手で客の呼び込みを図っている模様。 日本婚活支援協会(港区北青山)は「【コロナウイルス対応】活動自粛中の独身者を応援!」と銘打って、登録月から2か月分の月会費が無料になるキャンペーンを2020年3月31日(火)まで実施中。 「不特定多数の人に会うのはちょっと……」「せっかくイベントに行っても(参加者が少なくて)気に入った相手と出会えるのか……」といった婚活男女の不安に応える策として、「1対1のお見合いサービス」を展開。 「(新型コロナウイルスの)事態が収束に向かうまでの期間(= 月会費が無料になる2か月)を有効活用したい人、出会いの季節・春にお見合い婚活をしてみたい人を応援します」とアピールしています。なお、登録料や申込金は別途発生するとのことです。 風通しのよいテラス席で1対1で食事をするイメージ(画像:写真AC) さらに、仕事などで海外赴任中の人と日本在住者との婚活をサポートするネクサス(シンガポール)は、ビデオでのお見合いを1回無料、2回め以降は期間中半額で利用できるサービスを2020年4月15日(水)まで展開中。 「ウイルスに負けない婚活!」「渡航が制限されていてもビデオで対面!」というあおり文句で、逆境を逆手にサービスをPRします。 ほかにも、最近ではスマートフォンを使ったテレビ電話方式のオンラインお見合い・婚活パーティーといったサービスも流行し始めているそう。従来型の婚活アプリと違って、実際に会う前に相手の雰囲気や表情を確かめられるのがメリットなのだとか。 震災直後も伸びていた婚活需要震災直後も伸びていた婚活需要 思えばちょうど9年前、東日本大震災の直後にも「ひとり身でいるのが寂しい」「誰かと絆を深めたい」といった声が聞かれるようになり、東京など都市部を中心に結婚相談所への照会が相次いだほか、結婚指輪の売り上げが前年比増を記録したとの報道が流れました。 「新型コロナは怖い。そして、ズルズルと機会を逃してこのまま一生独身でいるのも怖い(泣)」 「どこにも出掛けず、仕事も在宅テレワーク。独身ひとり暮らしだから余計さびしい」 ツイッター上にそんな悲痛な書き込みが流れてくるを見ると、人との接触が減っているからこそ、婚活の機運は今後、逆に高まりを見せるかもしれません。 いまだ収束の気配が見えない新型コロナウイルスの感染拡大ですが、ひとりでいる時間が増えた今こそ、「安全な方法」で婚活に挑戦してみるのもアリかもしれません。
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