「1つ2000円の高級アボカドを売ってみせる!」 テレビ局出身39歳社長が手掛ける一風変わった通販サービスとは

日本各地にある、まだ知られていない魅力的な名産品や生産者を紹介するECサービスが2021年12月にスタートします。流通品と比べてだいぶ値の張る商品を、どのようにして消費者にアピールするのでしょうか。


安くて良いものがたくさんある時代に

「安かろう悪かろう」という慣用表現がすでに過去のものになった現代。安くて高品質なものがいくらでも手に入る今、日本各地の名産品をあえて“適正価格”で紹介するECサービスが、2021年12月5日(日)にスタートします。

 第1回目に登場するのは宮崎県の国産アボカド。1玉なんと2000円もするのだとか。超高級品とも言えるこの商品を、一体どのようにして消費者にアピールするのでしょうか。

港区のベンチャー企業が各地をつなぐ

 ECサービスの名前は「日本全国・地産伝承 いき物語」。訪日外国人客を対象にした観光案内サイトなどを展開する、EXest(港区三田)が運営します。

EXest社長の中林さん(画像:EXest)



 毎月1回程度ライブ配信を行う予定で、第1回目は宮崎産アボカドの生産者である「横山果樹園」(宮崎市)代表の横山洋一さんと、九州食品通販サイト「やお九州」(同市)の服部学さんが出演。化粧箱に入れて販売するブランド品種「ひなたプリンセス」をはじめ、丹精込めた自慢のアボカドを紹介します。

 第2回(2022年1月末)以降も山梨や北海道、新潟など、各地の名産品とその生産者たちが登場予定です。

 各回とも、系列を超えた各地方テレビ局が独自の取材網を生かして地元の名産品と生産者をチョイス。それぞれの産地に根ざして生きる思い、生産へ行きつくまでのストーリーや生きざま、またそのリアルな息遣いなどを丹念に伝えていくというのが、「いき物語」最大の特徴です。

持続的に商品が売れる仕組みづくりを

「今どきスーパーへ行けば、メキシコ産のおいしいアボカドがひとつ100円ちょっとで買えますよね。でも、安いから買うという消費スタイルだけでなく、生産者に共感して応援したいから買う、というモチベーションの購入の仕方がもっともっと広まってもよいのではと思っているんです」

 そう話すのは、同社社長の中林幸宏さん。早稲田大学を卒業後、広島テレビに入局し番組制作や広告営業に携わってきました。

宮崎で育てられた国産アボカド(画像:EXest)



 かつて自身も身を置いた地方テレビ局について、地域の特性を掘り下げる取材能力に優れている半面、その情報を全国へ発信していくチャンネルは決して十分ではないと分析します。

 地元でしか知られていない魅力的な名品や人を、より多くの消費者に知ってもらいたい。生産者の人柄や思いを深く掘り下げることで「応援したい」という気持ちを見る者に喚起して、根強いファンを増やしたい。ひいては、大掛かりなプロモーションが無くても持続的に商品が売れるエコシステムを構築して、各地の第1次産業を活性化したい――。

 ECサービス「いき物語」には、そうした狙いが込められています。

 とはいえ、生産者の思いを消費者に紹介することと、「1玉2000円のアボカド」を購入してもらうこととの間には、まだまだ高いハードルがあるように感じられます。従来の流通品に満足している消費者に、どうやって地方の名産品を買ってもらうのでしょうか。

ロンブー淳さんが生産者を直撃

 そのハードルを越えるための重要な役割を果たすのが、「いき物語」のライブ配信で進行役を務める、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんです。

 タレントやコメンテーターとしてメディアで活躍する田村さんは、地方創生に対して人一倍高い関心を持っており、今回の企画の趣旨にも賛同して進行役を快諾したのだそう。

「いき物語」に出演するロンドンブーツ1号2号・田村淳さん(画像:EXest、吉本興業)



 彼が出演するテレビのトーク番組を見たことがある人ならご存じの通り、自然体の語り口と“愛あるツッコミ”で相手の話を次々引き出す能力に長けている田村さん。ライブ配信では生産者と直接のやり取りを通してその魅力を深掘りし、ファンを増やすことに一役買うのだとか。

 中林社長いわく、目指しているのはトークバラエティー番組『マツコの知らない世界』(TBSテレビ系)と、紀行グルメ番組『満天☆青空レストラン』(日本テレビ系)の良いとこ取りな配信。

 もともと商品を買う目的でない視聴者が見たとしても番組として十分面白く、田村さんと生産者のやり取りを聞いているうちについ引き込まれるようなコンテンツにしていきたいと話しています。

 また配信中には、田村さんが視聴者に向けてクイズやアンケートを出題するなど、相互コミュニケーションができる場面も用意する予定。参加型のやり取りを体験することで、生産者に対する親近感をより高めてもらうという狙いがあります。

直接購入と、ふるさと納税の違いとは

「一大消費地である東京に住むわれわれにとって、地方を応援する仕組みとしては『ふるさと納税』も長らく注目を集めています。言うまでもなく、ふるさと納税は大変意義のある取り組みで、地方の応援につながっていることに疑いの余地はありません。一方で、ふるさと納税は返礼品の牛肉や海鮮などが目当てになりがちで、納税先の地域や生産者に愛着を持つかというと少し違う気がするんです」

人気を博す、ふるさと納税。ECサービスとの違いとは?(画像:写真AC)



「牛肉の返礼品で多くの納税を集めた自治体は、翌年以降も持続的に寄付を集められるのか? 今年は宮崎牛を食べたから来年は近江牛、というふうに消費者の関心は一過性で終わってしまうかもしれない。各地域を支援するためにはやはり、人と人とをつなぐことが大切なのだろうと私は考えます」

「ふるさと納税は自治体に対する納税ですが、(いき物語を通して)商品を購入することで、地元の人と直接のつながりを持つことができます。いき物語に参加した消費者の方々が『生産者に会いに行ってみたい』とまで思っていただけたら大変うれしいです」(中林さん)

 地方や海外の生産地から大量の商品が供給され、東京という経済圏がそれらをただ消費するという関係性は今、SDGs(持続可能な開発目標)の浸透などによって少しずつ変化を遂げています。

 安く供給されるモノをやみくもに消費するのではなく、生産者の姿勢に対して共感やリスペクトをもって商品を選ぶ。商品の背景に広がるストーリーに意味を見いだす購買スタイルは、じつに現代らしい価値観だと言えます。その後押しの一助を、いき物語が担います。

きっとあなたも買いたくなるはず

 それでも「応援消費って、なんだか堅苦しい」と思っている人は、ロンブー淳さんのフレンドリーなトークが少しだけ背中を押してくれるはず。約1時間の配信を通して、生産者・横山さんの思いに触れ、見終わる頃には「横山さんのアボカドをぜひ食べてみたい!」と思うようになっている……かもしれません。

 いき物語の第1回ライブ配信「宮崎はマンゴーだけじゃない。実はフルーツ『魅惑の国産アボカド』」(企画:UMKテレビ宮崎)は、2021年12月5日(日)13時から配信予定。

 参加費はひとり1100円。参加には事前申し込みが必要です。


【画像】販売予定の「高級アボカド」

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