本当に歩きづらくなかった? 高さ10cm以上、平成の「厚底靴」はなぜ流行したのか
2021年1月31日
ライフ90年代から2000年代にかけ、渋谷のギャルも原宿の個性派女子も、東京の女性たちは皆こぞって「厚底靴」を履いていました。その魅力とは一体何だったのでしょうか。平成ガールズカルチャー研究家のTajimaxさんが過去の資料とともに流行の歴史を振り返ります。
渋谷ギャルも原宿ガールも厚底だった時代
90年代、東京を中心に女性たちの間で流行した靴……というとなんとなくイメージするデザインのひとつは「厚底ブーツ」ではないでしょうか? 平成の流行やカルチャーの変遷を発信する筆者のツイッターでも、当時の靴の画像を投稿すると同世代や下の世代から大きな反響が寄せられます。
それだけ90年代の厚底靴はインパクトの強い存在だったのでしょう。90年代~00年代にかけて青春時代を過ごした筆者にとっても、掛け値なく愛すべき流行でした。今回はそんな90年代の厚底文化について語りたいと思います。
想像以上に長い、厚底靴の歴史
そもそも厚底靴とはなんなのでしょうか? 身長を高く見せるという点では、ハイヒールと同じ印象を持つかもしれませんが、実際に履いてみると両者は大きく異なることに気づきます。踵(かかと)の部分が7cm以上持ち上げられる形状のハイヒールに対して、厚底靴の特徴は踵だけでなくつま先にも厚みがあるのが特徴です。
90年代に脚光を浴びたサブカルチャーのひとつと捉えられがちですが、厚底靴には長い歴史があります。
海外の厚底靴の歴史は深く、最初は古代ギリシアの劇場に登場する重要人物を目立たせるために使われていました。その後は日本の花魁(おいらん)のように、16世紀のベニスで高貴な生まれの男娼や高級娼婦を目立たせるのに使われます。18世紀のヨーロッパでは裏道の泥や汚物を避けるのに履かれ、古代中国での京劇でも使われていました。
日本における代表的な厚底靴として三枚歯の花魁下駄があります。18世紀中頃、京都の花街である島原の発祥と言われ、その後、江戸吉原にも渡り、高級花魁が用いたと伝わります。
時代劇などで見たことがある人もいるのではないでしょうか? 黒塗りで非常に重いがゆえに、転倒は最も恥ずべきこととされ、歩く練習さえ行われていたといいます。
また意外かもしれませんが、靴デザイナーの久我浩二氏が1980年代後半に厚底靴を提案しています。
転倒に気をつけて歩き、そして自分を目立たせるという点では、昔も現代も目的や用途は共通しているのです。

New Article
新着記事
Weekly Ranking
ランキング
- 知る!
TOKYO - お出かけ
- ライフ
- オリジナル
漫画