コミケファンはなぜ行列に耐えてまで毎年参加するのか? 12月再開を機に考える

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コミケファンはなぜ行列に耐えてまで毎年参加するのか? 12月再開を機に考える

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猫柳蓮

フリーライター

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コミックマーケット準備会が公式サイトで12月30、31日のコミケ開催を報告。それを記念して、フリーライターの猫柳蓮さんがコロナ禍を乗り越えて行われるコミケへの思いをつづります。

コロナ禍に襲われたコミケ

 2年ぶりの開催になるのでしょうか――。

 同人誌即売会・コミックマーケットを運営するコミックマーケット準備会が2021年11月12日(金)、公式サイトで「コミックマーケット99の開催について」という声明を発表。東京ビッグサイト(江東区有明)で12月30、31日の開催が可能になったとしました。

江東区有明にある東京ビッグサイト(画像:写真AC)



 毎年夏冬の2回開催され、世界中から延べ70万人以上の人たちが参加するコミックマーケット(以下、コミケ)。しかし新型コロナウイルスの影響で、2年にわたって開催が困難な状況でした。

 コロナ禍の始まった2020年は元々、コミケの困難が予想されていました。なぜなら東京ビッグサイトが夏に開催される東京五輪で使われるため、従来の開催が困難であることがわかっていたからです。

 そのようなことから、2020年はゴールデンウィークに開催することに。しかし、それもコロナ禍で幻となってしまったのです。

 もっとも苦境に立たされたのは同人誌を印刷する印刷会社でした。多くの印刷会社では東京ビッグサイトの使用が制限されて、ほかの同人誌即売会も開催されないため、業績が数割マイナスになるとされていました。

 ところがコロナ禍はその覚悟を越える事態を引き起こし、業績の悪化が年単位で続く状態になっています。

重要であるイベントの定期性

 2020年以前は、同人誌即売会の開催数が減少すれば、その受け皿としてダウンロード販売サイトへの移行が加速すると見られていました。

 ところがこの2年あまりを見ても、ダウンロード販売されている同人誌がコロナ禍以前よりも盛んになったとは思えません。巣ごもり需要の効果もあり、どのサイトも業績は好調ですが、どこか盛り上がりにかけています。

11月12日に発表された「コミックマーケット99の開催について」(画像:コミックマーケット準備会)



 実際、同人誌を製作していた人たちの間でよく語られるのは、定期的なイベント開催の重要性です。

 従来であれば、イベントのスケジュールは夏冬に開催されるコミケを軸に、ある程度固定化していました。そのため製作側は参加を申し込んだら、締め切りまでに同人誌を作らなければならない意志を持っていました。

 そしてイベント当日は会場で、その後は同人誌を扱うショップで多くの新刊が並び、お祭り騒ぎになる光景もありました。要は「山」があったわけです。これに対して、ダウンロード販売はいつでもどこでも出版・購入できますが、そんな山の部分を平らにしてしまうものでした。

 こうなると、明確な締め切りが存在しないため、製作者の執筆ペースは乱れます。同人誌を楽しむファンも、新刊がどっと発行されるお祭り騒ぎがなく、どうしてもワクワクした気分が味わえません。この2年間は、こうした中途半端な状況が続いていたのです。

五感に訴えるコミケ

 暑さ寒さの厳しい夏冬のコミケは、楽しくもあり苦しくもあるイベントです。朝早くから混雑する電車に乗り、同人誌を買うのにも行列。トイレに行ってもコンビニに行っても行列……こんな日が数日続くのです。

 それでも出掛けてしまうのは、同人誌やグッズが欲しいからだけではありません。コミケでなければ会えない友人がいますし、作者本人と交流ができるのも即売会ならでは。会場独特のテンションも楽しいものです。コンビニの神業的なレジ打ちを見るのも、座れるところをやっと探して食事することにも興奮します。

コミケの光景(画像:写真AC)



 この2年間で、ファンは自分たちが五感全てを使ってコミケを楽しんでいたことを改めて感じたことでしょう。

 きたる12月開催の参加サークルは約1万サークル、参加者数は1日あたり5万5000人が予定されています。参加者数を絞ったとはいえ、2021年の国内最大級イベントです。そこでは一体どのような光景が見られるのでしょうか? あの苦行を思い出して、体がうずうずし始めている人は決して少なくないはずです!

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