五輪で注目! 晴海「選手村マンション」は年収いくらで買えるのか?

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五輪で注目! 晴海「選手村マンション」は年収いくらで買えるのか?

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逆瀬川勇造

不動産ライター

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東京オリパラで注目を浴びた中央区晴海の選手村マンション。そんな同マンションを含む「HARUMI FLAG」の新築住宅が2021年秋より販売再開されます。購入のハードルは高いのでしょうか。不動産ライターの逆瀬川勇造さんが解説します。

選手村マンションは秋より販売再開へ

 史上初の延期・無観客開催など、異例づくしだった東京2020オリンピック・パラリンピック。しかし日本選手団は史上最多のメダルを獲得、私たちに多くの感動を与えてくれました。

 そんなオリパラの選手村施設として使用されたマンションを含め、新たに建設予定の2棟で構成される晴海ふ頭の複合開発都市「HARUMI FLAG」(中央区晴海)の新築住宅が、2021年秋より販売再開となります。購入を検討している人も多いことでしょう。

HARUMI FLAGの選手村マンション(画像:写真AC)



 本記事では販売再開される選手村マンションの概要や、購入にあたり必要な年収について詳しくご紹介します。夢のマンション購入にぜひ役立ててください。

18haもの敷地に誕生する「ALL IN TOWN」

 選手村施設で使用された建物を含め、新たに誕生するHARUMI FLAGは一体どのような計画となっているのでしょうか。

 HARUMI FLAGは約18ha(18万平方メートル)もの広大な敷地のなかに、東京都と

・三井不動産レジデンシャル(中央区銀座)
・三井不動産(同区日本橋室町)
・三菱地所レジデンス(千代田区大手町)
・野村不動産(新宿区西新宿)
・住友不動産(同)
・住友商事(千代田区大手町)
・東急不動産(渋谷区道玄坂)
・東京建物(中央区八重洲)
・NTT都市開発(千代田区外神田)
・新日鉄興和不動産(港区赤坂)
・大和ハウス工業(大阪市)

の民間企業11社でつくりあげる4145戸の分譲住宅と商業施設の複合開発都市です。

 分譲住宅は

・SEA VILLAGE
・SUN VILLAGE
・PARK VILLAGE

の3街区で合計4145戸、賃貸住宅街区(PORT VILLAGE)で1487戸を予定しています。

HARUMI FLAG関連施設の位置(画像:(C)Google)

 また、新たに晴海西小・中学校(仮称)の開校や認定保育園の開設、大型商業施設、公園の整備など生活に必要なものがそろった「ALL IN TOWN」として整備される予定となっています。

 三方を海に囲まれた晴海ふ頭の南端に位置し、開かれた眺望と豊かな自然を体感する東京湾の新たなランドマークといえるのがHARUMI FLAGなのです。

選手村マンションの販売価格は?

 HARUMI FLAGのマンション販売価格は、一体いくらぐらいなのでしょうか。

HARUMI FLAGの完成図(画像:三井不動産レジデンシャル)



 2021年9月末時点で予定販売価格が公表されているのはSUN VILLAGEのみですが、予定販売価格は4900万円~2億2900万円台となっています。予定最多販売価格帯は6400万円台であり、東京都中央区という「東京のど真ん中」でありながらも割安感のある物件といえます。

 割安感の理由は、HARUMI FLAGの土地が東京都からの払い下げで、土地の仕入価格が安いことが挙げられます。

 なお、首都圏の2021年8月の新築分譲マンションの平均価格は7452万円で、HARUMI FLAGの最多販売価格帯を約16%上回っています。

購入をシミュレーションする

 HARUMI FLAGを購入する際、いくらぐらいの資金が必要でしょうか。ここでは、HARUMI FLAGの最多販売価格帯6400万円台を参考とします。

 まず、必要な自己資金です。

自己資金のイメージ(画像:写真AC)

 HARUMI FLAGを購入する場合、手付金として物件価格の1割が必要です。最多販売価格帯6400万円で考えると、必要な手付け金額は640万円となります。

 また一般的な目安として、物件価格の5%程度の諸費用が必要です。その金額は320万円となります。手付金や諸費用も合わせて住宅ローンを組むケースもあります。ただ諸費用はともかく、少なくとも手付金はあらかじめ用意し、住宅ローンを組む前に支払うケースが多いです。

 この点を考慮すると、最低でも640万円は自己資金が必要といえるでしょう。

必要年収は1000万円以上?

 続いては、必要な年収についてです。

 金融機関の審査において、借り入れ可能な限度額は年収の7~8倍までとされるケースが一般的です。6400万円の物件を購入する場合、先ほど説明した諸費用も含めると6720万円必要です。手付金最低額640万円を除いた金額をローンで組むとなると借入金額は6080万円となるため、年収760万円~868万円は必要な計算となります。

 しかし実際には、年収7~8倍の金額で6000万円を超えるローンを組むと、毎月の返済が大きくのしかかる可能性が低くありません。

 例えば、

・借入額:6080万円
・期間:35年
・金利:1.0%

でローンを組んだ場合、毎月返済額17万1630円となり、年間で205万円の支払いが必要となります。

 年収の約3割が返済に消えるため、余裕のある生活が送りにくくなってしまう可能性があります。子どもがいる場合には、子どもの成長に伴って多くの教育資金も必要となります。将来の生活設計も考えると、年収7~8倍以内に収まるからといって安易に申し込むのはおすすめできません。

若い親子のイメージ(画像:写真AC)



 また分譲マンションの場合、毎月の管理費や修繕積立金も必要となります。HARUMI FLAGにおいても例外ではありません。

 HARUMI FLAGでは、毎月の管理費・修繕積立金として約4万円必要です。インターネット使用料、自治会費などの別途負担な費用も含めると年間50万円以上、駐車場料金、固定資産税も考慮するとさらに支払いは増加してしまいます。ローンの返済以外にも、必要な費用を考慮しておかなければなりません。

 6000万円を超える住宅ローンを組む場合、最低でも年収760万円以上必要であると紹介しましたが、実際にはすでに述べた事柄を総合すると、「年収1300万円以上」は必要です。

 一般的には、住宅ローン返済負担は年収の10~15%程度に抑えられれば、無理なく返済しやすいといわれています。

 借入額6080万円・期間35年・金利1.0%でローンを組んだ場合の年間返済額は、205万円です。年収の15%で考えると、少なくとも1366万円以上の年収が必要な計算になります。子どもにかかる将来的な教育資金や自身の老後の生活資金の貯蓄を考慮すれば、余裕を持った生活を送るには、年収1300万円以上が理想的といえるでしょう。

購入前に将来の生活設計を考えよう

 本記事では、2021年秋から販売が再開される選手村マンションの概要や販売価格、購入に必要な資金などについて詳しくご紹介しました。

HARUMI FLAG(画像:三井不動産レジデンシャル)



 東京のど真ん中に新たなランドマークとして誕生するHARUMI FLAG。東京都からの払い下げとなった土地であることから、都内の新築分譲マンションと比べても割安感も強く、購入を検討している人も多いでしょう。

 しかし将来の生活設計を考えずに無理に購入してしまえば、せっかく手に入れた夢のマンションが日々の生活を圧迫する結果を招いてしまうかもしれません。そうならないためにも、本記事をぜひ参考にしてください。

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