軽石の被害が拡大 海底火山「福徳岡ノ場」の噴火は近年最大規模だった!
2021年10月31日
知る!TOKYO新島を形成して話題になっている福徳岡ノ場。その噴火が実はいかにすごいものだったか、ご存じでしょうか。離島ライターの大島とおるさんが解説します。
深刻な軽石被害も
2021年8月に噴火し、新島を形成して話題になっている小笠原諸島の海底火山・福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)。同火山は予想外の被害を生み出しています。

それは噴火によって作られた大量の軽石です。洋上を漂う軽石は噴火直後から観測されていましたが、海流に流され西に向かい、10月に入ってから沖縄県内に漂着するようになりました。
10月4日時点で沖縄県の北大東島と南大東島に漂着していた軽石は、10日に鹿児島県の喜界島へ到達。南西諸島の沿岸は軽石に埋め尽くされる騒動になっています。
軽石の量は膨大で、沖縄本島北部の国頭村では漁港に漂着した軽石を1tトラックで40台分ほど回収したものの、まったく追いついていません。沖縄県近海では、巡視艇の冷却装置の配管に軽石が詰まり航行不能になる被害も出ており、漁船は故障を避けるため、出漁できなくなっています。
今後、軽石は黒潮の流れに乗って本土にも押し寄せると考えられており、太平洋岸の地域では警戒が呼びかけられています。
雲仙普賢岳の噴火より巨大
福徳岡ノ場は小笠原諸島にあるため「東京の火山」で、その噴火の大きさも注目を集めています。これまでの分析によると、噴煙の高さは1万6000~1万9000mに達し、マグマの噴出量はおよそ3億~10億tに達していると推計されています。
火山の噴火は噴出物の量を基準に算出されますが、8月の噴火で福徳岡ノ場から噴出した軽石や火山灰は約1億立方メートルで、東京ドームの容積およそ80個分に相当すると見られています。0~8の数値で噴火の規模を示す「火山爆発指数」は4となりました。

最大が8なら4は大したことのないように見えますが、実は相当な規模なのです。1990(平成2)年から5年あまりに渡って噴火を続けた、長崎県の雲仙普賢岳の火山爆発指数は3でした。
大規模な火砕流が発生し、甚大な被害をもたらしたあの噴火ですら3なのです。10月20日には熊本県の阿蘇山・中岳で大規模な噴火がありましたが、福徳岡ノ場の噴火に比べると規模は「1万分の1」と推計されますから、いかに大規模な噴火かがわかります。
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