若者はやっぱり1回くらい「東京」に住むべきか? テレワークが進む今あらためて考える

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若者はやっぱり1回くらい「東京」に住むべきか? テレワークが進む今あらためて考える

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Boshiko

節約ライター

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新型コロナ禍でテレワークが進み、またインターネットが発達して情報格差が是正される今、若者が東京を目指す意味は何でしょうか。この機にあらためて考えてみたいと思います。

今の時代、東京に住むメリットは

 新型コロナウイルスの感染拡大を機に、東京都心を中心にテレワーク(在宅勤務)を導入する企業が増えました。日々の出勤がマストではなくなり、比較的自由に在住地を選べるようになった今、地方への移住を検討する人も増加傾向にあると言われます。

 ふるさと回帰支援センター(千代田区有楽町)が2021年7~8月に行った調査では、東京はじめ1都3県に住む20~74歳の男女1万5000人のうち、転居・移住に関心があると答えた割合は24.2%。男女とも20~30代の若い層ほど強く感じる傾向があるようです。

 総務省統計局が発表する住民基本台帳人口移動報告(2021年8月)では、東京都の転出超過数は3363人でした。

コロナ時代に若者が上京する意味とは?(画像:写真AC)



 今30代の筆者にとって、東京は10代後半以降「一度は必ず住んでみたい」と憧れる街でした。ただ今は新型コロナ禍に加えて、インターネットが発達したことにより全国どこにいても欲しいものは通販で入手することができるようになったことで、憧れの度合いはかつてより薄まっているようです。

 そんな今なお「若者が東京に住むメリット」とは何か、あらためて考えてみたいと思います。

貴重な経験ができる

 地方出身の人なら何となく分かるのではと想像しますが、東京へ出た友人が長期休暇などで帰省した際、「やっぱり東京はさぁ……」などと唐突に自分語り・東京語りを始めることがあります。

地元で久しぶりに集まったとき、唐突に東京語りを始める旧友も(画像:写真AC)



 聞かされる方は唐突な“マウント”に少々戸惑うものですが、東京が好きでもそうでなくても「東京に住んだことがある」という来歴は、話の引き出しが多くなることを意味します。

 渋谷の人混みを歩くときのわずらわしさ、夜遅くまでともる新宿のネオン、原宿の交差点を飾るすカラフルな広告……。そうしたものを実際に自分の目で見ることで、スマートフォンの画面越しに眺めるのとは全く違う感慨が生まれるのは確かでしょう。

 また東京に限ったことではありませんが、いろいろな地域に住む経験をすることで比較対象が生まれ、自分のふるさとの長所・短所もより鮮明に見えてきます。在住地に求める自分なりのこだわりも徐々に分かってきて、先々の移住先を決める際の好材料にもなるでしょう。

 本当に自分が住みたい場所を決めるためにも“東京に住む”ことは大きな意味を持ちます。

仕事の数が多い

 日本の仕事の大半は東京に集まっています。

「東京の産業と雇用就業」2020年版によると、東京都内の従業者数は約900万6000人(2016年)。全国の労働者の6人にひとり以上が東京都内に勤めており、また事業所(会社)は10社に1社以上が東京都内にあるという計算になります。

 特に突出して多いのは情報通信業で、全国の51.7%が東京に集中。比較的テレワークがしやすいとされるIT関連の仕事も、その半数以上は東京に事業所を構えていることが分かります。

 就職活動をするうえで東京に住むことは、選択肢が増えることに直結すると言って間違いないでしょう。コロナ禍でテレワークが導入されていても、事態が収束すればまた出社を求める企業も多いかもしれません。

 また東京は、約1400万人の在住者のうち約45.6%が他の道府県生まれの地方出身者(国立社会保障・人口問題研究所「第8回人口移動調査」)。進学や就職を機に全国から大勢の人が集まってきます。

 なかには当然、優秀な人も数多くいるので、そうした人々が集う環境に自身の身を置くことで自分の能力を相対的に把握することができ、スキルアップにつなげることもできるでしょう。

 ネットの普及によって情報格差はほとんど是正されているとはいえ、まだまだ現場でしか得られない情報も少なくありません。具体的な夢や目標を抱いている若い世代は、修業の意味も込めて東京に住んでみるのもアリではないでしょうか。

さまざまな出会いがある

 言わずもがな、東京は日本の中心。若者に限らず多くの人々が集まってきます。「出会い」という観点で見ても、東京よりチャンスの多い場所は国内には存在しないのはないでしょうか。

東京ではさまざまな出会いのチャンスも多い(画像:写真AC)



 若者に関して言えば、マッチングアプリなどの利用者もケタ違いです。たとえば「Yahoo!パートナー」というサービスで「25~35歳」「男性」「東京都内在住」を条件に検索すると、ヒット件数は9999人以上。一方、在住地を地方の1県に変更すると途端に200人前後にまで落ち込んでしまいます。

 また先述の通り会社の数、さらに教育機関の学校数も全国一多いため、アプリ以外のリアルな出会いのチャンスも圧倒的に多いのは言うまでもありません。

 もちろん人数だけでなく、人々のキャラクター性も実にさまざま。恋人だけでなく友人として付き合う相手も“運命の出会い”があるかもしれません。

 人との交流という側面でも刺激やメリットが大きい東京。とりわけ若い人には新鮮に映るはずです。

たくさんの個性的な街がある

 東京には個性の強い街がいくつもあります。

 港区をはじめとするセレブ感ただよう街もあれば、台東区上野・浅草のような下町の雰囲気をたたえた街もあります。

個性的な街がいくつもある東京(画像:写真AC)



 街ごとに風景も住む人の趣味嗜好も大きく異なるので、その違いを楽しんでみるのも一興です。東京以外の道府県でこれほど多様な街がある場所は他にないでしょう。

 前述の通り、東京に転入する理由は人それぞれ。実に多様な価値観を持った人との出会いが期待できます。

 例えば沖縄への移住希望者をイメージしたとき「海が好きだから」「ゆったりとした空気が好きだから」などの具体的な理由を想像できるでしょう。しかし東京には、それほど画一的なイメージはありません。「どうして上京しようと思ったの?」と尋ねることで、相手との会話も広がっていくはずです。

 都会に対して怖い印象を抱いている人もいるでしょうが、一方でどんな人がいるか分からないからこそ知りたいというワクワク感があります。

やっぱり一度は住んでみたい

 人によって興味の濃淡は異なるでしょうが、若いうちに東京に住むことで得られるものは少なくないはず。

 とりわけ20代後半から30代以降になると、結婚や出産などいろいろなライフイベントが重なりやすくなり、東京に住んでみたいと思ってもなかなか行動に移せなくなる場合もあります。

「自分も一度くらい」と上京を考えるのなら、早いに越したことはないかもしれません。

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