音楽聴くならどっち?「有料配信サービス」と「無料でYouTube」派、それぞれの言い分
「CD購入」から「ダウンロード」へ 東京はじめ全国の若年層を対象に調査分析を行っている「TesTeeLab」「それ、わたし調査します」(運営・テスティー、中央区日本橋兜町)のアンケート結果から、最新のトレンド動向を探る連載。今回のテーマは「定額制音楽配信サービス」をテーマに、「サブスク」と言われるサービスのメリットや、音楽視聴のトレンドについてご紹介します。 ※ ※ ※ デバイスの発展とともに音楽は「購入して保有」から「データでダウンロード」するものへと進化をしてきました。好きな音楽を好きなだけ聴くことができるサブスクリプションサービス(サブスク)と呼ばれる月額定額制が一般化してから、その勢いはさらに加速しています。 スマホで音楽を聴く機会が増えた今、定額制の有料配信サービスを利用している人の割合は?(画像:写真AC)「2020年第3四半期の音楽配信売上は、前年同期比109%の197億7400万円。なかでもストリーミングは前年同期比122%の148億620万円と堅調に推移ししている(引用:日本レコード協会)」とあるように、音楽配信の中でもストリーミングと呼ばれる再生方法は、ストレージ容量を気にせずにインターネットに接続した状態で映像・音声データが楽しめるため伸び率が高いことがわかります。 音楽配信関連のサブスクには機能制限付きで無料から利用できるものもあり、有料会員になると機能が拡張していくものが多くみられます。 以前であれば好きなアーティストの新曲発売日に、渋谷や新宿のレコード店・CDショップに足を運んでいたものが、今では手元のスマホで簡単に入手できるようになっているのです。 今回は、20~30代の男女を対象に行ったアンケート結果から、利用率の高い音楽配信サービスや視聴方法について紹介します。 有料サービス、20代は3人にひとり有料サービス、20代は3人にひとり「定額制音楽配信サービスに関する調査」は2020年12月15日(火)~12月21日(月)、20~30代の男女6642人を対象に行いました。 定額制音楽配信サービスを「利用している」と回答した人は、20代で33.2%、30代で24.0%という結果になり、30代よりも20代のほうが、定額制音楽配信サービスを利用している人の割合が高いことが分かりました。 20~30代の男女6642人を対象に実施した、「定額制音楽配信サービス」の利用に関する調査の結果(画像:テスティー) 次に、どの定額制音楽配信サービスを利用しているかを尋ねたところ、最も利用率が高かったのは「Apple Music」となりました。 他にも「Spotify」や「LINE MUSIC」「YouTube Music」などが挙がり、それぞれ音楽配信の特性と自分の聞きたいアーティストやプレイリストの豊富さなどを基準に音楽配信サービスを選んで使っているようです。 その中でも共通して「Apple Music」「Amazon Music」の利用率が高かったことから、利用率の高い上位2つのサービス利用者に対し、「そのサービスを利用している理由」を深掘り調査しました。 Apple Music利用者からは「配信されている曲数が多い」という回答が最も多く、ついで「プレイリストの選曲の良さ」という回答が見受けられました。 ほかにも、自由回答では「以前他の定額制音楽配信サービスを利用していたものの、Apple Musicは流行曲だけでなく他のサービスではそもそも配信されていなかった昔の曲も聴くことができるから(20代女性)」という声もありました。 YouTubeが定額制利用のハードルにYouTubeが定額制利用のハードルに 対してAmazon Music利用者からは「料金が安いため」という回答が最も多く見られました。このほかにも「Prime会員であれば無料で利用することができるから」という回答も見受けられました。 利用者の自由回答の傾向からApple Music利用者は新たな音楽との出会いやすさ、充実した音楽体験を重視するユーザーが多いということ、Amazon Music利用者はコストパフォーマンスの良さを重視するユーザーが多い様子がうかがえました。 次に「現在、定額制音楽配信サービスを利用していない」と回答した人を対象に、その理由を調査しました。 20~30代の男女6642人を対象に実施した、「定額制音楽配信サービス」の利用に関する調査の結果(画像:テスティー) 20代、30代を通じて最も多く挙げられた回答は、「YouTubeで無料の音楽を聴けるから」といったものでした。他にも「価格が高いから」という回答や、「そもそも定額制サービスに対し抵抗がある」という回答も多く見受けられました。 「YouTube」では無料で音楽を聴けるという環境が当たり前となっているため、お金を払って音楽を聴くという行為に対してのハードルが上がってしまっている様子がうかがえます。 ライブ参加はYouTubeユーザーが断トツライブ参加はYouTubeユーザーが断トツ 一方、音楽業界としてはこの「無料視聴」でも、続々と公式アーティストやレーベルが動画や楽曲配信を行っており、広告収益という形で収益を得る仕組みがあり、一概に「無料」を侮(あなど)ることはできません。 そしてコロナ禍においてはリアルでのイベント開催が不可となりました。そこで「オンラインライブ」への切り替えを行った配信者(アーティスト、イベント)も多くみられました。 オンライン上ではあるものの「リアルタイム」での配信を行うことでライブ感を演出し、完全無料で参加できるものからチケット制、また「投げ銭」と呼ばれるチップ制の参加など、その演出方法も多岐にわたります。 そこで、最後に定額制音楽配信サービス利用者を対象に「音楽イベントやライブに行く頻度」を調査しました(※新型コロナウイルスの感染拡大以前の状況)。 するとYouTube Music利用者の30.1%が「月に一度以上、音楽イベントやライブに参加する」と回答。 YouTube Music利用者におけるライブ参加率は、20~30代・男女のどの性別・年代においても1位となり、YouTube Musicの利用者は他のサービスに比べ、音楽イベントやライブに行く頻度が高いということがわかりました。 YouTubeの特性として、ライブ配信映像やミュージックビデオが多くアップロードされています。YouTube Musicではバックグラウンド再生や、通常の動画視聴時に流れる広告を排除できることからもYouTube Music利用者は他サービスに比べ、積極的かつ日常的に音楽に触れているユーザーが多いことが伺える調査結果となりました。 コロナ禍でも増した音楽の存在感コロナ禍でも増した音楽の存在感 新型コロナウイルスの感染拡大でさまざまな業界で変革が求められました。その中でもエンターテイメント業界ではリアルの場で人が集まって共有・体感することができない状況となり忍耐の2020年だったと思います。 そんな中でもオンラインへのシフトを柔軟に行い、よもや他のエンターテイメントを牽引(けんいん)する兆しとして音楽配信売上は年々増加傾向にあります。 日常に溶け込む、あるいは非日常を演出する音楽は形を変えながら楽しまれているようです。
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